英雄伝説~焔の軌跡~ リメイク
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第134話
前書き
超久しぶりの更新でホントすみません……
庭園に仲間達と共に戻ったリースが封印石を解放するとリース達とティア達、それぞれにとって見覚えのある人物が光から現れようとした。
~隠者の庭園~
「へ………」
「あら、あの女性はもしかして……」
「この方は確か……」
「偶然とはいえ、イオンのすぐ後に現れるなんて凄いタイミングなんじゃねぇのか?」
「フフ、そうね。まさに”従騎士”の鏡ね。」
光の中から現れようとする見覚えがある人物を見たアニスは呆けた声を出し、ナタリアは目を丸くし、リースは驚きの表情をし、フレンの言葉にアーシアは微笑みながら頷いた。すると光の中からアリエッタが現れた!
「今の光は一体………―――!イオン様、ご無事ですか!?総員、迎撃態勢を―――――え………」
目を開けたアリエッタはすぐに血相を変えると共に立ち上がって周囲を見回して指示をしかけたが、リース達に気づくと呆けた声を出した。
「えへへ……お久しぶりです、アリエッタさん!」
「ふっ、半年ぶりだな、アリエッタ。」
「お元気そうで何よりです。」
「ハハ、俺達にとっても”久しぶり”だが随分と見違えたじゃねぇか。」
「そうね。とても綺麗になったわね。」
「はいですの!アリエッタさん、ちょっとしか成長していないアニスさんよりもとっても成長していますの!」
「へえ~、今までミュウはそんな事を思っていたんだ~?――――後で覚えてろ。」
(ま、前々から疑問に感じていたけど、この人って、本当に聖職者なのか……?)
エステルやバダック、カリンがそれぞれ懐かしそうな様子でアリエッタに声をかけている中興味ありげな様子でアリエッタを見つめて呟いたガイの評価に頷いたティアは微笑み、ティアに続くように答えたミュウの言葉を聞いて威圧を纏った笑顔を浮かべた後一瞬”本性”をさらけ出したアニスの様子を見たロイドは疲れた表情をし
「ですが、確かにミュウの言う通り、”色々な部分”がアニスより遥かに成長していますねぇ?」
「中将……さすがにその発言はアニスに失礼ですわよ。」
「つーか、中年の親父臭い発言だよな?」
「まあ、”一応”年齢は十分”中年”の域なんだがな……」
「フフ、ジェイドの場合、とてもそうは見えませんしね。――――アリエッタ、貴方も無事でよかったです。」
からかいの表情で答えたジェイドにナタリアと共に呆れた表情で指摘したルークの言葉を聞いたイオンはガイと共に苦笑した後優し気な微笑みを浮かべてアリエッタに声をかけた。
「イオン様こそ、ご無事でよかった、です。それよりも、これはどういう状況、でしょうか?この空間もそうですが、何故世界が違うエステル達とアニス達が一緒に、いるんですか?」
「詳しい事情については私の方から説明させて頂きます、アリエッタ・タトリンさん。」
アリエッタの疑問を聞いたリースは申し出、その後アリエッタに事情を説明した。
「そう、ですか。事情は、わかりました。イオン様も、協力しているのですから、アリエッタも今後の探索に、加わります。」
「……ありがとうございます。所でアリエッタさんは、バダックさん同様かつてジェイド中将達と敵対していたとの事ですが………」
アリエッタの協力の言葉を聞いたリースは会釈をした後ジェイド達を気にしながらアリエッタに問いかけ
「そう、ですね。私はアニス達と何度も戦って、最後は、アニスとの決闘に負けて、死にました。」
「け、”決闘”って……!」
「やれやれ……いきなりヘビーな話になったねぇ。」
「バダック殿とナタリア陛下の時は特に何事もなく、和解した様子だったが……」
アリエッタの答えを聞いたジョゼットは信じられない表情をし、オリビエは疲れた表情で呟き、ミュラーは複雑そうな表情でアリエッタとアニスを見比べていた。
「……何?もしかしてあの時負けた事を根に持っていたから、あたしのファミリーネームをあたしの許可なく勝手に使っているの?」
「別にあの決闘の事は特に気にして、いません。あの時のアリエッタはアニスより弱かった、だけですから。それに、アリエッタ、今度こそイオン様を守ります。ですから今のアリエッタ、アニスに興味は、ありません。」
「アリエッタ………」
一方複雑そうな表情でアリエッタを見つめていたアニスだったがすぐにかつてのように喧嘩腰でアリエッタに話しかけ、対するアリエッタは冷静な様子で答え、アリエッタの答えを聞いたイオンは複雑そうな表情をし
「うぐっ……!根暗ッタの癖に、”色々な意味”で生意気よ~!?」
「というか、アリエッタの方が”大人”になって冷静でいるのだから、むしろ貴女も彼女を見習って冷静になるべきよ……」
「ハハ、確かに昔の時と比べると立場が逆転しているな。」
「まあ、アニスの場合アリエッタの態度以外にも”色々な意味”で、”冷静になれない事情”もありますから仕方ないんじゃないですか?」
「フッ、実際の年齢で言えばアリエッタの方が年齢は3年も年上なのだから、本来ならばこれが正しい形なのだがな。」
「まあ……そうだったんですの?」
「アニスの3つ上って事はあの頃のアリエッタは16歳って事になるから、あの容姿や口調で俺やティア達と同年代だったのかよ!?」
アリエッタの答えを聞いて唸り声を上げた後アリエッタを睨んで声を上げたアニスの様子に呆れた表情で指摘したティアの言葉にガイは苦笑しながら頷き、ジェイドは呆れとからかいを混ぜた言葉で答え、静かな笑みを浮かべて呟いたバダックの言葉を聞いたナタリアは目を丸くし、ルークは驚きの表情でアリエッタを見つめた。
「アハハ………――――アニス、アリエッタ。過去の件で互いに色々と思う所があるでしょうが、今は一致団結しなければならない状況です。難しいとは思いますが、過去の件は一端頭の片隅に置き、互いに冷静になって協力関係を築いてくれないでしょうか?お願いします。」
「イオン様…………わかりました。ですから、どうか頭をお上げ下さい!」
「アリエッタは最初から、そのつもり、でした。どうか、頭を上げて、下さい。」
イオンに頭を下げられたアニスは驚いた後イオンの頼みに同意して慌てた様子で頭を上げるように答え、アリエッタは冷静な様子で答えた。
(うふふ、あの二人の仲が悪かった理由は間違いなくイオンお兄さんでしょうね♪ヨシュアやエステル達も、下手したらアリエッタお姉さん達みたいな複雑な関係になっていたかもしれなかったから、他人事じゃないわね♪)
(え、え~と……何で、そこで僕達が出てくるのか、よくわからないんだけど……)
(ヨ、ヨシュアお兄ちゃん……)
(……鈍感。)
小悪魔な笑みを浮かべたレンに話を振られて困った表情をしているヨシュアの様子を見たティータは疲れた表情になり、クローゼは呆れた表情で呟いた。
その後探索を再開したリース達は探索の途中でなんとパテル=マテルが見つかり、その近くにあった封印石を見つけ、中にいる人物を解放する為に庭園に戻った。
「パテル=マテルの傍にあった事から、予想はしていましたが……」
「おいおい……大丈夫か?この二人の場合、アリエッタやバダックの時と違って今も正直微妙な状況だぞ?」
「……………」
封印石を解放した後光の中から現れようとした人物を見たイオンは重々しい様子を纏って呟き、ルークは疲れた表情で呟き、レンは複雑そうな表情で黙り込み
「……………」
光の中から現れる人物―――ユウナは眠った状態で現れた。
「あ………」
「ユウナちゃん………」
「……眠っているみたいだね。」
ユウナの登場にエステルやティータ、ヨシュアは優し気な微笑みを浮かべた。
「…………パパ………ママ………どうして………お姉ちゃん………助けて…………」
「………っ………」
「………ユウナ………」
「……………………」
ユウナの寝言を聞いたエステルとヨシュアは辛そうな表情をし、レンは複雑そうな表情で黙り込んでいた。
「…………?…………ここ………は………そっか……夢……」
そして目覚めたユウナは周囲を見回した後静かな表情で呟いた。
「ユウナ……」
「エステル……それにヨシュアに……ティータやレンまでいるなんて……うふふ……なんだか都合のいい夢ね………」
エステルに声をかけられたユウナは呆けた後静かな笑みを浮かべた。
「……ユウナ……!」
するとその時エステルがユウナにかけよってユウナを抱きしめた。
「あっ……うふふ………エステルってば……お姉さんなのに甘えん坊なんだから………そんなんだから、レンもエステルの事を”お姉ちゃん”って呼ばないんだと思うわよ?でも……あったかくていい匂いで……まるで夢じゃないみたい――――なっ!?ど、どういうことなの!?」
エステルに抱きしめられたユウナは呆けた後幸せそうな表情を浮かべたがすぐに状況に気づくとエステルから離れて混乱した様子でエステル達を見回した。
「ユウナ……」
「ど、どうしてエステルがこんな場所にいるの!?ううん……違う……どうしてユウナがこんな変な場所にいるの!?」
「ユウナ……落ち着いて聞いて。これには色々と訳があって……」
表情を厳しくしているユウナの様子を見たエステルはユウナにゆっくりと近づいたが
「ち、近寄らないで!それ以上寄ったら……ユウナはエステルを殺すわ!」
「……っ………」
ユウナの必死の言葉に息を呑んで立ち止まった。
「エステル……ちょっと下がってて。」
「あ……」
そしてヨシュアに声をかけられたエステルはヨシュアにその場を譲った。
「ユウナ……本当に久しぶりだね。実際に顔を合わせるのは”中枢塔”以来かな?」
「そ、そんなの知らない!ヨシュアだって……エステルと同じよ!さんざんユウナの事、追いかけ回したりして………」
「やっぱり気づいていたんだね。うん、たしかにここ数ヵ月、僕達は君の事を捜していた。今はクロスベルにいるけど……結構、近くにいるんじゃないかな?」
「そ、そんな近くまで……どうして……なんで追いかけたりするのよお!」
ヨシュアの話を聞いたユウナは不安そうな表情をした後声を上げた。
「とにかく一度、君と話がしたかったんだ。裏ルートで聞いたけど……君、あれから”結社”にも戻っていないそうじゃないか?」
「そ、そんなのユウナの勝手でしょう!?ユウナは、あなたたちとなんか話したくも顔も見たくもないんだから!なんで放っておいてくれないの!?」
「それは……」
「ごめん……ユウナ。あたし、あれからずっとユウナの事が気になってて……ヨシュアに調べてもらって色々な場所を捜して回って……でも……こうして会えて本当によかった。」
「そんな……そんなの…………………………うふふ、わかったわ………エステルってば、上手い事言ってユウナを捕まえるつもりでしょう?」
言葉を濁しているヨシュアの代わりに答えたエステルの答えを聞いた不安そうな表情をしたユウナだったが少しの間考え込み、ある事に気づくと意味ありげな笑みを浮かべてエステル達にとって予想外の答えを口にした。
「え………」
「言っておくけどユウナは”結社”のことなんてヨシュア程度にしか知らないわ。知っていたとしても教えるつもりなんてないし。クスクス、残念だったわね。」
「ちょ、ちょっと待ってよ!」
「この状況でそんな”答え”を出すなんて、呆れたわねぇ……」
ユウナが自分達を疑っている様子にエステルが困惑している中レンは呆れた表情で呟いた。
「うふふ、なんだか知らないけど見たような顔もゾロゾロいるわね。さすがにユウナも、この人数を一人で相手にするのは難しいけど………―――確実に何人かは殺してあげるからその気ならかかってくるといいわ。」
「っ………!」
「ユ、ユウナちゃん……」
「おいおい……」
「おい、ルーク、あのお嬢ちゃん、一体何者だ?」
「容姿がレンと随分と似ているようだけど……」
「あー……事情は色々と複雑なんだが簡単に説明すれば、今の俺やエステル達にとって”六神将”みたいな存在なんだよ。」
得物である大鎌を構えて残虐な笑みを浮かべたユウナの様子にエステルは息を呑み、ティータは不安そうな表情をし、アガットは疲れた表情で溜息を吐き、ガイやティアの疑問にルークは言い辛そうな表情で答え
「ええっ!?という事は彼女はエステル達にとっての敵対組織の幹部なのですか……」
「しかも私達の場合はお互い、既に”終わった事”として処理していますが、彼女達の場合は現在もあちらの少女の組織と敵対中なのでしょうね。」
「ちょっ、それって色々と不味いじゃない!?」
「みゅ~……仲間じゃなくて、敵なんですの……?」
ルークの説明を聞いたナタリアは驚き、ジェイドの推測を聞いたアニスは表情を引き攣らせ、ミュウは不安そうな表情でユウナを見つめた。
「シェ、シェラ先輩……ど、どうしましょう。」
「参ったわね、こりゃ……」
「………………………」
(リース……?)
一方不安そうな表情をしたアネラスに話を振られたシェラザードが疲れた表情で溜息を吐いたその時ジト目でユウナを見つめていたリースが前に出て、リースの様子をアーシアは不思議そうな表情で見守っていた。
「なるほど……あなたの正体がわかりました。”結社”の執行者――――No.ⅩⅤ”殲滅天使”ですね?」
「そうだけど……お姉さんは初めて見る顔ね。教会の騎士さんかしら?」
「ええ……星杯の従騎士、リース・アルジェントといいます。事情は存じませんが……我儘は大概にしたらどうですか?」
「へえ?」
「わ、わがまま……?」
リースの指摘にレンが興味ありげな表情をしている中ユウナは信じられない表情をした。
「……聞けばあなたは類まれなる処理能力を持つとか。レンさんがその才を持って遊撃士協会に見出されたように、あなたは結社に見出され、あらゆる技術を修得したそうですね。ならば、これがあなたを捕える罠ではないことくらい本当はすでにわかっているはず……なのに駄々をこねるというのは我儘としか言いようがないでしょう。」
「リ、リースさん……」
「は、はっきり言うなぁ……」
リースのユウナへの指摘を聞いたクローゼは不安そうな表情をし、ジョゼットは呆れた表情をした。
「……面白いわ、お姉さん。いくら星杯騎士とはいえ従騎士ごときがユウナに向かってそんな口の利き方……よっぽど殲滅されたいみたいね?」
「そちらこそ……どんな事情があるかは知りませんが”蛇”と馴れ合うつもりはありません。……そちらがその気ならいつでもお相手しましょう。」
「あ……」
「リ、リースさん!?」
「ちょっ、まさか本当に戦うつもりですか!?」
(おい、どうするんだ?さすがにあのお嬢ちゃん相手だとお前の妹も分が悪いんじゃないか?)
(…………本当に不味い状況になりかけたら、止めるわよ。)
法剣を構えてユウナと戦おうとしているリースの様子を見たエステルは呆け、ティータとロイドは信じられない表情で声を上げ、フレンに判断を迫られたアーシアは考え込みながら答えた。
「うふふ、法剣使いさんね。前に何人か戦ったけど確かにそこそこ手強かったわ。もっともパターンが読めたらユウナの敵じゃなかったけど……最後にはみんなみっともなく泣き喚きながらユウナに命乞いをしていたわ。うふふ、お姉さんはどんな声で鳴いてくれるのかしら?」
「ちょ、ちょっと……!?」
「ユ、ユウナちゃん……!」
「……御託は結構です。早くかかってきたらどうですか?」
「クスクス……そうね。」
「くっ………」
「ふ、二人とも!いい加減に―――」
「いい加減にしてくださいっ!」
一色触発の状況にヨシュアが唇を噛みしめ、エステルが制止の声を上げたその時ティータが声を上げた。
「あ………」
「え………」
ティータの声に気を取られた二人はそれぞれティータに視線を向け
「ティ、ティータ……?」
「お、おいこら……!」
ティータの様子を見たエステルが戸惑っている中アガットがティータを制止しようとしたがティータは二人の間に割って入った。
「二人とも!なんでそーなるんですか!?ユウナちゃんは本当はお姉ちゃんたちと会えて嬉しいって思ってるくせにっ!リースさんだってレンちゃんが悪い子じゃないって本当は気づいてるくせにっ!」
「ティータさん……」
「な、なにを……ユウナがエステル達に会えて嬉しいだなんて、あるわけが―――」
ティータの指摘にリースが反論できない中ユウナは必死に反論をしたが
「だったらどうしてお姉ちゃんに抱きしめられてあんなに幸せそうにしてたの!?あったかくていい匂いだって……!それなのに……話したくもないとか……顔も見たくないとか……」
「ちょ、ちょっと、ティータ……」
涙を流しながら答えた自分への指摘に反論する意志を失い、困惑の表情を浮かべた。
「そんなの……そんなの絶対にウソなんだからああっ!」
「……っ………」
そしてティータの大声の自分への指摘を聞いたユウナは辛そうな表情で黙り込んだ。
「……うくっ………うぐっ………ううっ……」
「ティータ……」
「ったく……無茶しやがるぜ……」
「うふふ、ティータもクーデターや異変の件で散々無茶をして自分に心配をかけた貴方にだけはそれを言われたくないと思うけどねぇ?」
泣き始めたティータの様子にエステルが苦笑している中呆れた表情で溜息を吐いたアガットにレンは小悪魔な笑みを浮かべて指摘し
「ぐっ………」
「フッ、正論だな。」
レンの指摘に唸り声を上げたアガットの様子を見たバダックは静かな笑みを浮かべた。
「……まったくもう……」
一方ティータの様子に毒気を抜かれたユウナは武器を収めてティータに近づいた。
「ティータってば……ユウナの一つお姉さんなんでしょう?なのにそんなにベソかいて……本当にお子様なんだから………」
「……うぐっ……!だって……!せっかくお姉ちゃんたちとユウナちゃんが会えたのに……!こんなのって……ううっ……こんなのって悲しすぎるから……!ううぅ…………うわあああああああん!」
「ちょ、ちょっと……!ああもう……なんでティータが……どうしてティータが……泣いたりするのよぅ………」
「ふふ……―――前にも言ったけど、そんなの決まってるじゃない。ユウナの事が、好きだからよ。」
「え………」
大声で泣き始めたティータの様子に戸惑っていたユウナだったが得意げになったエステルの指摘に呆けた表情をした。
「ねえ、ユウナ。ここは一時休戦にしない?」
「……休戦?」
「そ、今あたしたち、かなり困った状況にいるのよ。そして何の偶然か、ユウナも同じ状況にいる………それを打開するために色々な事情は一旦置いておいて協力し合えないかってこと。」
「あ………」
「確かに……我々が置かれている状況はいまだ不明瞭な部分が多い。君ほどの頭脳の持ち主がいれば新たな事がわかるかもしれない。その意味でも協力してくれると非常に助かるな。」
エステルの提案にユウナが呆けている中リシャールは口元に笑みを浮かべてユウナを見つめ
「そうそう。大佐、良い事言うじゃない。」
「だから、大佐じゃないんだが……まあいい、さらに言えば君だって一人で行動するよりは我々を利用した方が効率がいいはずだ。情報を収集するにしても、当面の安全を確保するにしてもね。」
「………………………たしかに………どう考えても普通の状況じゃないし………ユウナがいたら助かるっていうのも当たり前といえば当たり前よね………ティータに免じてこの場は大人しくしてあげるわ。まずは話を聞かせてちょうだい。」
リシャールの提案を聞いて少しの間考え込んだユウナは納得した様子で呟いて立ち上がりエステル達を見つめた。
「………あ………」
「ユウナ………」
「………ありがとう。」
「相変わらず素直じゃないわねぇ。」
「お前も他人の事は言えねぇだろ……」
ユウナの答えを聞いたティータは呆けた表情をし、エステルとヨシュアは優し気な微笑みを浮かべ、呆れた表情で呟いたレンにルークは疲れた表情で指摘した。
「い、言っておくけど……まずは話を聞くだけよ?それ次第で、ユウナが協力するか決めさせてもらうんだから!」
その後リース達はユウナに事情を説明した。
「……なるほど、ね。おおよその事情は理解したわ。………”影の国”か………うふふ、よく言ったものね。」
「え………」
「もしかして何かわかったのかい?レンも似たような事を言っていたけど……」
事情を聞き終えたユウナの答えを聞いたリースは呆けた表情をし、ヨシュアはユウナに問いかけた。
「うふふ、わかったっていうほど確信はないんだけど……でも、大佐さんの話を聞いてひとつ見えてきたことがあるわ。」
「私の……?」
「ええ、確かにユウナもあの白い光に包まれたんだけど………大佐さんは、その時着ていたのはその黒い軍服じゃなかったのよね?」
「(だから大佐じゃ……まあいいか。)ああ、その時に着ていたのは普通のシャツにスラックスだった。」
ユウナの心の中で溜息を吐いたリシャールは気を取り直して答えた。
「うふふ、それじゃあ聞くけど………大佐さん、その軍服にすごく思い入れがあるんじゃない?」
「え………」
「うふふ、図星みたいね。未練があるのに切り捨てなくてはならない………そういった過去の象徴なんじゃないのかしら?」
「…………………………ああ、その通りだ。」
「リシャールさん………」
「………………………………」
「……当然だろうな。」
ユウナの指摘に少しの間考え込んだ後重々しい様子を纏って頷いたリシャールの様子をクローゼは心配そうな表情で見つめ、ユリアは辛そうな表情で黙り込み、ミュラーは静かな表情で呟いた。
「そして、この世界に呼ばれた時、大佐さんはその服をまとって現れた。うふふ、それは一体何を意味しているのかしらね?」
「……………………未練が現実のものとして実体化した……すなわち、この”影の国”は人の想念によって変容しうる。」
「あ……!」
「はは、そう来たか……!」
「いやはや……姉妹共々、本当に頭が良いお陰様で私も楽ができますよ。」
「ど、どういう事!?」
「も、もうちょっとわかりやすく!」
「ボクも全くわかんないですの!」
ユウナに話を振られて答えを出したリシャールの答えを聞いて何かに気づいたヨシュアは声を上げ、オリビエとジェイドは笑顔になっている中、事情が理解できていないジョゼットとエステル、ミュウはそれぞれ声を上げた。
「うふふ、簡単な事よ。ほら、ロレントでの”霧事件”の時にレンやルークお兄様達が”ゴスペル”による夢を”幻惑の鈴”に見せられたでしょう?」
「あ…………」
「その人が望む夢の世界……」
レンの問いかけを聞いたカリンとシェラザードはかつての事を思い出した。
「もちろん、この世界はけっして夢なんかじゃないわ。でも、人の望みに反応し、それを実体化させる………もしくは知っている場所を本物と同じように再構築する…………そうしたプロセスはとっても似ているといえるわ。」
「なるほどな……」
「確かにその説明だと”石碑”とか”扉”の働きも納得できるかも………」
「し、しかし……この状況そのものは我々の望んでいるものではあり得ないと思うんだが……」
「そうですわね………ルークやお父様達はともかく、エステル達と私達は初対面だったのですから。」
「それを言ったら俺なんて、誰も知り合いがいないんですが……」
ユウナの推測にジンとアネラスが納得している中新たに出て来たユリアの疑問にナタリアは頷き、ロイドは疲れた表情で呟いた。
「もちろんそうでしょうね。でも……ユウナ達以外の誰かなら?」
「あ………」
「私達以外の誰かが、この世界の在り方を望み、そしてその通りに、なっている………つまり、そういうこと、ですね。」
「うふふ……やっとたどり着いたみたいね。もともと”輝く環”は人の願いを叶えるための至宝。それが失われた今、何がそれを可能にしているのかユウナにもわからないけれど……その”誰か”っていうのはほぼ明らかなんじゃないかしら?」
「”影の王”ですか……」
アリエッタの言葉に頷いたユウナの問いかけにイオンが静かな表情で呟いた。
「そう、そしてその人は最初から”影の国”にいたわけじゃない。最初からいたのは女の幽霊さんの方みたいね。幽霊さんはこの場所で”影の国”を見守ってきたけど………………”影の王”さんがやってきて彼女の力を奪って好き放題し始めた。そして”影の国”は”影の王”さんの望むままにどんどん作り替えられていった……――――そんな所じゃないかしら?」
「す、すごいユウナちゃん………」
「あんたってば………よくそこまで考えつくわね。」
ユウナの推測を聞いたティータははしゃぎ、エステルは苦笑しながら感心した。
「フフ………これは参った。まさか現時点の情報でそこまで読み解けるとはねぇ。」
「いやはや……”六神将”の中に彼女のような”知”に長けた人物がいなくて本当によかったと、改めて思いましたねぇ。」
「あー……確かにあの中で唯一の頭脳担当は色々と”アレ”だったしな…………」
「というかディストは頭脳じゃなくて、お笑い担当だったと思うけど?」
「それは私達に、対する、”皮肉”、ですか?」
オリビエが感心している中ジェイドの言葉を聞いたガイは苦笑し、アニスはからかいの表情で呟き、アリエッタはジト目でジェイドを見つめ
「ユウナ……やっぱり君は天才だよ。」
「もう………このくらいその気になればヨシュアにだってわかるはずよ。エステルと長い間一緒にいた影響でニブさが移ったんじゃないの?」
「あ、あんですって~!?」
一方ヨシュアに感心されたユウナは溜息を吐いた後呟いた言葉を聞いたエステルはジト目で睨み
「うふふ、その意見には同感ね。半年前の”異変”の件もよくよく思い返してみたら、ヨシュア、エステルと合流するまでは”結社”の裏をかく為に”紅き方舟”への潜入までできたのに、エステルと合流してからは”結社”の裏をかくような事はパパの助言による”教授”がヨシュアに打ち込んだ”聖痕”を打ち砕いた事くらいだもの。」
「なるほどね………うふふ、冗談半分で言った言葉だけど今のレンの話を聞いてユウナも本気でそんな気がしてきたわ。」
「こ、この小生意気腹黒双子姉妹は揃いも揃って………!というかあんた達、何であたしの話に限って息ピッタリになるのよ!?やっぱりあんた達、本当は仲がいいんじゃないの!?」
自分の意見に同意した後話を続けたレンの話を聞いて納得した様子でいるユウナを見たエステルは身体を震わせた後ジト目で二人を睨み
「クスクス………」
「やれやれ………」
その様子をティータとシェラザードは微笑ましそうに見守っていた。
「でも、どうやら”影の王”さんはユウナみたいにゲームが大好きみたい。エステルたちだけだとちょっと頼りなさそうだから、ユウナが手助けしてあげるわ。うふふ、特別なんだからね?」
「あー、はいはい。せいぜい頼りにさせてもらうわ。」
「よろしくね、ユウナちゃん!」
ユウナの自信ありげな言葉にエステルは苦笑し、アネラスは笑顔で見つめた。
その後リース達は探索を再開した後、迷宮内でまた封印石を見つけ、庭園に戻って解放した。
後書き
3度目の正直もエタってしまい、ホント超久しぶりの更新ですいません………今後の予定はわかりませんが、とりあえず5章のボス戦までに登場する残りのキャラの話はあと少しでできますので、次回の更新は結構早いと思います。それにしても今年はテイルズの新作の発表がなかったですね……来年末でもいいから、来年にはTVゲームでテイルズの新作が出て欲しいですね
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