レーヴァティン
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第二十六話 騎士その九
「質素な騎士でした」
「騎士は贅沢とは無縁か」
「正しい騎士は」
「それでこの街もか」
「はい、質実剛健なのです」
王のみらびやかさはなくだ。
「そうなのです」
「わかったぜ、じゃあ今からな」
「街に入る」
「四人目に会うか」
「そうしましょう」
こう話してだ、そしてだった。
四人は城の中に入ろうとした、しかし正門から入ろうとすると。
門番の兵士、他の街よりも質のいい武装の兵士が彼等に対して強い声で注意をしてきた。
「待ってくれ」
「おい、何でだよ」
「今から騎士団の方々が帰られるのだ」
「この街のか」
「うむ、外の見回りに出ておられるな」
その彼等がというのだ。
「その方々が入城されてな」
「それからか」
「入ってもらいたい」
「そういうことか」
「あと少しだ」
その見回りに出ていた騎士団の者達が帰って来るのはというのだ。
「待っていてもらいたい」
「それじゃあな」
久志も頷いて応えた。
「待たせてもらうな」
「そういうことでな」
「やっぱり騎士団の街なんだな」
久志の言葉はしみじみとしたものになっていた。
「ここは」
「そうだな、ここはな」
また言った正だった。
「これまで俺達とは縁がなかった世界だな」
「騎士だからな」
「じゃあその見知らぬ世界にな」
「今から入るか」
「入城の後でな」
騎士達のだ、まずはその彼等を待ったが。
馬に乗り全身をプレートメイルと盾、そして剣や槍で武装した彼等を見てだ。久志は思わず言った。
「威風堂々ってな」
「そんな感じだね」
源三も言う。
「まさにね」
「見ているだけで強そうだな」
「数は少ないけれどね」
見れば二十騎程だ、確かに見回り程度の数だ。白銀の甲冑は馬も着けておりその旗はというと。
赤いドラゴンが描かれていた、それこそが騎士団の証だった。
第二十六話 完
2017・7・17
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