十月の嵐
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第五章
「いいわね」
「そうだね、それでね」
「赤の後は白だね」
「ムニエルだから」
魚料理だからだ。
「そうなるわね」
「そうだよね」
「赤と白一本ずつね」
「お互いにかなり飲むね」
「そうね」
くすりと笑って彼に返した。
「今日は」
「そうだね、けれどいいよね」
「ええ、何か飲みたい気持ちだから」
「僕もだよ」
「そんな気持ちになってるわ」
「今はそうだよね」
「正直お昼はね」
一緒に車の中にいた時はだ。
「こんな気持ちにはね」
「なってなかったね」
「飲んでもね」
今みたいにだ、そうしてもだ。
「こんなにね」
「楽しくはね」
「飲んでいなかったわ」
本当にそう思う、自分でも。
「絶対にね」
「そうだよね」
「すっきりしてるから」
今の私はだ、そして彼もだ。
「こうして気持ちよくよ」
「秋の味覚を楽しめて」
「飲めるのよ」
ワイン、それをだ。
「こうしてね」
「そうだね、プールに行ってよかったね」
「ええ」
私はにこりとして彼に答えた。
「本当にね」
「それは何よりだよ」
「ええ、デザートも食べて」
「そしてだね」
「ゲームしましょう」
「そうするんだね」
「酔ってるからゲームはあまり上手に出来ないと思うけれど」
手が動かない、そして頭も回らないだろうから。お酒のお陰で。
「けれどね」
「それでもだね」
「やるわ、まあ上手くいかなくても」
「いいね」
「それで適当なところで」
ゲームをしていてそう思ったらだ。
「お風呂に入りましょう」
「最後に?」
「お酒が少し抜けてから」
あくまでそれからだ、飲んですぐには入らない。
「そうする?」
「いや、それなら朝に入った方がいいよ」
彼は飲みながら私に言った。
「それならね」
「ああ、お酒飲むと」
「危ないから」
だからだというのだ。
「朝早く起きてね」
「それから」
「入った方がいいよ」
「明日休みよね」
「うん、僕はね」
「私もよ」
「じゃあ今日はゆっくり食べてゲームをして」
そしてというのだ。
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