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とある3年4組の卑怯者

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44 帰国

 
前書き
登場人物の台詞の特徴その3
はまじ:母音が伸ばし音になる。「そーだな」「どーしたんだ?」など
ブー太郎:語尾に「ブー」がつく
山田:「アハハハ」という笑い声、「だじょ~」が語尾に付く、そして人名を除き小学四年生以上で習う漢字は使用せずに平仮名で表記

 今回からアニメにも時折登場するアメリカに住む花輪クンの友達・マークが登場します。 

 
 花輪はヒデじいの車で帰宅すると、一人のお手伝いさんから呼びかけられた。
「お坊ちゃま、パリにいる奥様からお手紙が届きました」
「え、mamaから・・・?」
 花輪が母親からの手紙を受け取り、そして自分の部屋に行き、封を切り、中の便箋を出して読む。

 カズちゃんへ

 元気にしていますか。フランスを出て一旦アメリカに行き、今度の週末に日本に帰ってきます。それからマークも日本に遊びに来るって言っていたわ。一緒に楽しい日になるといいわね。是非カズちゃんの学校のお友達も誘ってね。
 
 ママより

「Mamaが帰ってくるんだ・・・、それにマークも来るのか・・・、こりゃmy friendも誘わないとな」
 花輪は母親の再会できる事に感激した。

 翌日、学校で花輪はリリィに声をかけられた。
「ねえねえ、花輪クン、花輪クンの家って大きいからお客さん(ゲスト)が泊まれる部屋ってあるの?」
「もちろんさ!僕の家には客人が来る事がよくあるからね」
「凄いわね!それでお願いがあるんだけど・・・」
 
 藤木はリリィと花輪が談笑しているところを羨ましく見ていた。藤木は好きな女子が他の男子と仲良く話している所や、誰かを優しくしている所を見ると、いつも自分も同じような目に遭いたいと羨ましがるのだった。
「藤木君、君もしかしてリリィと花輪クンが話していて羨ましいと思ったんだろ?」
 藤木は急に永沢に話しかけられた。
「え・・・!?い、いや、そんなことないさ!!」
「まあ、残念だけど、君には花輪クンには敵わないさ。君は卑怯者だから君を好きになってくれる人なんていないだろうね」
 藤木は永沢の言葉に余計に落ち込んでしまった。その時、花輪との話が終えたリリィが藤木と永沢の元へ歩み寄った。
「藤木君」
「リリィ、何だい?」
 藤木はリリィに話しかけられて顔を赤くしてしまった。嫌われたわけじゃなかったと思って安堵した。
「今度、アメリカにいる花輪クンの友達が日本に来るんだけど、ちょうどイギリスにいた頃の私の友達も来るの。良かったら一緒に会いに行かない?」
「え、友達・・・?」
「うん、さっき花輪クンとその事を話していたの」
「う、うん、行くよ!」
 藤木は喜んだ。永沢も気になった。
「リリィ、僕も言っていいかい?」
「ええ、いいわよ。私の友達にも是非日本の友達を紹介したいもの」
 リリィはそう言ってまる子とたまえのところに行って彼女らを誘おうとした。
(今週はリリィと一緒にいられるんだ!今週はきっといい事あるぞ!)
 藤木は胸を躍らせた。

 下校時に藤木はリリィと一緒に帰ろうかと思った。リリィがイギリスにいた頃の友達とはどんな人物か気になったのだった。勇気を持ってリリィに話しかける。
「リリィ、一緒に帰ってもいいかい?」
「ごめんね、今日は花輪クンの家に寄っていくからできないわ」
「あ、そうか、いいんだ、じゃあね」
 藤木はそう言うと、リリィは花輪と共に教室を出た。その時、みぎわがリリィと花輪が一緒にいることにショックを受けていた。
「あ、ああ、私の花輪クンが、どうしてリリィさんなんかと、どうして!?私だけの花輪クンなのに!!」
 みぎわは花輪を追いかける。そしてリリィに文句を言う。
「フンッ!花輪クンと一緒に帰って、花輪クンは誰にも渡さないって言ってるでしょ!フンッ!」
「え、あの、その・・・」
「みぎわクン、お、落ち着きたまえ、僕がリリィクンと帰るのは別の事でだよ・・・」
「え、なあに、それって~」
 みぎわの口調が甘ったるい喋り方に変わった。
「リリィクンのイギリスの友達が、日本に来るっていうから、その人が泊まるための部屋をリリィクンに確認させるのさ。いわゆる、打ち合わせってやつさ、baby」
「まあ、そうだったのね~、・・・って何ですって!?」
「まあ、まあ、落ち着きたまえ・・・」
「あの、みぎわさんもよかったら日曜に私の友達に会いに行かない?貴女にも紹介したいの」
「え・・・?まあ、いいけど」
「だから、誤解しないでくれたまえ、Baby」
「まあ、花輪クンったらあ、やっぱり私の事を想っているのね~」
 花輪は早速みぎわに誤解されていた。
「り、リリィクン、行こうか!」
「そ、そうね・・・」
「それじゃあ、see you good bye,baby!」
 花輪はリリィと共に急ぎ足でヒデじいが待つ車の場所へと向かった。

 藤木はリリィの友達とはどんな人か考えた。自分は英語が話せないので言葉が通じなかったら意味ないだろうと不安になった。
「藤木君、君リリィの友達ってどんな人か気になっているんじゃないのかい?」
 一緒に歩いて帰っている永沢に心の中を読まれた。
「いや、そんなことないさ!」

 翌日、藤木は山根と共に帰ろうとした。その時、リリィが二人を呼び掛けた。
「あの、私も一緒にいいかな?」
「え、も、もちろん!」
 藤木は昨日できなかったリリィと一緒に帰ることが叶って嬉しかった。
「昨日断ったお詫びもあるし、今日は藤木君と帰ろうかなと思って」
「え、う、うん・・・」
 こうして藤木、山根にリリィも入れた三人で帰ることになった。
「それで、花輪クンのお母さんも帰ってくるって言ってたわ。花輪クンも両親となかなか会えなくて大変なのね」
「うん、花輪クンの寂しさは僕も分からなくはないよ。僕は花輪クンと違ってお金持ちじゃないけど、両親は共働きで遅くまで帰ってこないからね」
「うん・・・、あ、そうだ、山根君」
 リリィは山根の方を向いた。
「山根君も是非花輪クンの家に行かない?イギリスの私の友達も花輪クンの家に泊めてもらうように頼んだの。是非会って一緒に遊べたらいいなと思ってね」
「僕もいいのかい?ありがとう!」
 山根もリリィの友達に会うことを楽しみにしている様子だった。そこで藤木が聞く。
「リリィ、君の友達ってどんな人だい?」
「そうね、結構可愛い人よ。その人のお父さんは日本人だから日本語もある程度は話せるわ」
「そうなんだ」
 藤木は言葉が少しでも通じると思うと安心した。
 
 やがて、花輪の母とアメリカに住む花輪の友人、そしてリリィの友達が日本に来る日となった。花輪とヒデじい、そしてリリィの家族は新幹線の静岡駅で待っていた。列車が到着する。そこに一人の美しい女性とアメリカ人の男性が降車した。
「カズちゃん、ただいま」
「Hi,Kazu!」
「Mama!それにマーク、long time no see!」
「奥様、お帰りなさいませ」
 花輪は母とマークとの再会を喜び、ヒデじいは花輪の母にお辞儀をした。そしてそばにいるリリィの家族も紹介する。
「こちらが僕のclassmateさ。彼女の友達も今日一緒に来るんだよ。そして僕の家に泊まることになったのさ」
 花輪に紹介されてリリィは挨拶をする。
「初めまして、リリィと申します」
「よろしくね」
「Nice to meet you,Lilly!」
 花輪の母とマークはリリィに挨拶を返す。
「ところでリリィクン、君の友達はまだかい?」
「一本後の列車で来ると思うわ」
「それじゃあ、一旦僕はmamaとマークを家へ送るよ。その後戻ってくるさ」
「では、また後で」
 花輪たちはホームを後にした。そして一本後の列車から、リリィの友達が降車した。 
 

 
後書き
次回:「交流」
 花輪家に来た藤木達は花輪の母、花輪の友達のマーク、そしてリリィの友達と対面する。日本、アメリカ、イギリスと3つの国の人物達が交差する・・・。

 一度消えた恋が蘇る時、物語は始まる・・・!! 
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