レーヴァティン
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第二十五話 最後の修行その三
「それは出来るが」
「しかしですね」
「殆ど使ったことはない」
「刀があまりにも強いので」
「そうだ、だからだ」
まさにそれが理由だというのだ。
「使ってこなかった、だが」
「はい、何かあればです」
「魔法も使えるとな」
「その分身を助けます」
「魔法で攻撃する、敵を弱める」
「そうして難を逃れられるので」
「それだけにだな」
英雄も応えた。
「術が強ければいい」
「そうなりますので」
「わかった、ではな」
「術が強いに越したことはありません」
「その時は使わせてもらう」
強くなったその術をというのだ。
「絶対にな」
「その様に。して円心」
英雄との話を終えてだ、老師は今度は譲二に顔を向けて彼にも声をかけた。
「これまでよくやってくれた」
「はい」
譲二は老師に確かな声で応えた。
「有り難うございます」
「これまでの修行で相当な法力と知識が備わった」
「そしてその二つをですね」
「存分に使いそのうえでだ」
「この島、ひいては世界を」
「救うことだ」
是非にと言うのだった。
「頼んだぞ」
「はい、それでは」
「大きな戦いになるが」
それでもという返事だった。
「必ずな」
「果たしてそして」
「生きるのだ」
ただ望みを適えるだけでえなく、というのだ。
「果たすのだ、いいな」
「死ぬのではなくですね」
「生きることだ」
それが大事だというのだ。
「拙僧がずっと言っていたな」
「はい、人は願いを果たすべきですが」
「それで死んでもいいとは思わぬことだとな」
「そうでしたね」
「人は天命まで必死に生きて何事にも励むべきなのだ」
「それが人があるべき施鵜方ですね」
「だからだ」
そうした考えだからこそというのだ。
「死ぬな」
「はい、それでは」
「そなたはこの島を統一し世界を救ってどうする」
「魔神を倒して」
「それからで終わりだと思ってはおるまい」
「それからもです」
師匠の言葉を思い出しつつだ、譲二は答えた。
「おそらくまだ世界を脅かすものがありましょう」
「脅威は一つとは限るまい」
「そう思いますので」
「ではその脅威にだな」
「あればですが」
向かう、その為にというのだ。
「拙僧はです」
「生ていくな」
「そしてその脅威に向かいます」
「そう考えるべきだ、望みを果たしもうこれで思い残すことはないと思うことはだ」
巷にあるそうした考えはというのだ。
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