レーヴァティン
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第二十四話 都その九
「今からな」
「では円心殿をお呼びします」
「頼む」
「そして、ですな」
「他の奴等も集めてだ」
十二人の彼等をというのだ。
「島を統一してだ」
「それからですね」
「世界を救う」
「下の海にいる魔神を倒し」
「どんな奴かはまだわからないが」
魔神についてはまだわかっていない、それでもだというのだ。
「しかしな」
「必ずですね」
「そうする」
こう僧侶に約束した。
「俺はその為に来たらしいからな」
「そうですか、ではお呼びします」
「頼む」
こうしてだった、一人の髪の毛を剃った若い整った顔立ちの僧侶が来た。彼はすぐに英雄達い一礼して言ってきた。
「はじめまして、円心と申します」
「法名はだな」
「はい、外の世界から来ました」
僧侶、円心は自ら名乗った。見れば細い眉に涼し気な目元、微笑んだ唇に白い面長の顔とかなり整っている。背は一七二程で法衣と袈裟を着ている。
「その時の名を中村謙二といいます」
「中村か」
「そうです」
「確か八条大学宗教学部か」
「ご存知なのですか」
「聞いている、宗教学部に知り合いがいてな」
そしてというのだ。
「そいつから聞いている、仏教学科一の秀才だな」
「いえ、拙僧はとても」
「ある大きな寺の跡継ぎともな」
「お聞きだと」
「そうだが」
「確かに拙僧はです」
その彼、謙二も英雄に話した。
「本来の世界にいる時はそうですが」
「そうだな」
「そして八条大学とお話されましたが」
「俺達もだ」
英雄は正に顔を向けつつ謙二に話した。
「そちらから来た」
「やはりそうですが」
「長い話になるが」
「はい、それではです」
長い話と聞いてだ、謙二は英雄と正にあらためて話した。
「立ったままでは何ですから」
「だからだな」
「茶室でお茶を飲みながら」
そうしてというのだ。
「お話をしたいのですが」
「そうしよう、ではな」
「はい、これより」
謙二も応えてだ、そのうえでだった。
三人は彼の案内で寺の中にある茶室に入った、そうして三人でそれぞれの話をしたのだった。
その話が終わってからだ、謙二は瞑目した顔になり述べた。
「そうですか、お二人共」
「そうだ、巡り巡ってな」
「こうしてここにおります」
「この世界ではそうなっている」
「東の島に」
「そうですか、そしてそのうえで」
謙二は二人を見つつ話していく、三人共彼が煎れた茶を飲んでいる。言うまでもなく日本の茶である。
「拙僧もですか」
「そうして欲しいが」
「そうですか、わかりました」
謙二は英雄の頼みをまずは受けた、そうしてから一旦目を閉じて開いてから彼に対して答えた。
「それでは老師にです」
「この寺の最高位の僧侶か」
「はい、僧正様です」
僧侶の階級はそうなるというのだ。
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