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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百二十六話 神戸の残暑その三

「流石に留美のことだからいつも服装もしっかりしてるけれど」
「乱れてないんだね」
「寝る時も着物だしね」
「浴衣?」
「夏はね、それ着て寝てるわよ」
「何か似合いそうだね」
 留美さんに和服と聞いてだ、僕は実際にこう思った。
「それは」
「そうでしょ、まあとにかくね」
「留美さんもそうした飲み方してるんだ」
「お部屋で飲むこともあるのよ」
「成程ね」
「ちなみにお酒は何でも飲むわよ」 
 美沙さんはさらに言ってきた。
「日本酒でもワインでも焼酎でもね」
「結構アルコール度高くない?」
 特に焼酎だ、少なくともどのお酒もビールよりアルコール度はずっと高い。
「そういうのが好きなんだね、二人共」
「千歳も来ること多いしね」
「あっ、千歳さんも」
「実は千歳とはお隣だから」
 お部屋がというのだ、美沙さんは103号室で千歳さんは104号室だ。僕も管理人なのでどの娘がどのお部屋にいるかは頭に完全に入れている。
「やっぱりよくお互いに行き来してるのよ」
「そうだったんだ」
「そう、それで飲んだりするのよ」
「うち皆よく飲むからね」 
 僕個人もだ、この前の栞さんみたいに一日で日本酒一升空けたりなんてこともある。
「だからだね」
「そう、二人でお酒飲みながらあれこれお話してるわ」
「学校のこととか」
「そうそう、千歳っていい娘でね」
「性格凄くいいよね」
「だからお話していても気持ちがいいのよ」
 美沙さんは笑って僕に話してくれた。
「だから美和も一回ね」
「千歳さんとだね」
「一緒に飲んでお話してみればいいわよ」
「そうなんだね」
「そうそう、何かとね」
「それじゃあね」
 僕も美沙さんの言葉を受けて考える顔になって答えた。
「今日にでもね」
「そうしたらいいわ、ただね」
「ただ?」
「千歳って結構お酒の趣味が独特なのよね」
「よくアイスでワイン飲んでるよね」
「チョコレートとかでね」
「ワインは赤でね」
「あれ最初びっくりしたわ」
「いや、あれが美味しいんだよ」
 僕もよくそうして飲んで食べる、これは日本酒では出来ないことだ。
「実はね」
「そうなのよね、けれど千歳はよくでしょ」
「甘いもので飲んでるよね」
「ワイン派でね」
「美沙さん日本酒結構飲むから」
「甘いもので飲むのに最初びっくりしたわ」
 ワインでもというのだ。
「いや、ああした飲み方あるのね」
「ここで覚えたみたいだね」
「ビールでも出来ないからね」
 ビールは苦い、だから甘いものには合わない。ワインとか林檎酒みたいな甘いお酒じゃないと甘いお菓子には合わない。
「どうしても」
「紹興酒でも無理ね」
「ああ、紹興酒もね」
「あれは苦いから」
 その苦さがまたいいにしてもだ。
「甘いものには合わないね」
「そうよね」
「中華料理には合うけれどね」
 中国のお酒だから当然と言えば当然だ、ただ中華料理は甘いお酒も合う。というか僕的には桂花陳酒とかライチ酒みたいな甘いお酒の方がいいと思う。 
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