転生とらぶる
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ペルソナ3
1851話
その人物は、どこか気怠げな表情のままで教壇の上からこっちを見てくる。
「有里君、自己紹介を」
「有里湊です。よろしく」
短く告げるその言葉に、教室の中の何人かの女がうっとりとした表情を浮かべる。
中性的な姿の有里だけに、そういう趣味の女にとってはかなりの好感触なのだろう。
もっとも、クラスの女に黄色い悲鳴を上げられているのが面白くないのか、何人かの男は不機嫌そうな様子を見せていた。
何だか面倒な事にならないといいけどな。
そんな風に思いつつ、俺は有里を見る。
顔立ちは整っていると言ってもいいだろう。身体も華奢で、運動の類は得意ではないように思える。
だが、この人物は影時間に適性を持っており、桐条達の様子を見ると、恐らくペルソナ使いとして覚醒する可能性も高い筈だ。
桐条パーティの戦力が増えるというのは、俺にとっても悪くはない。
……出来れば、あの16階にある鉄格子っぽい感じの空間をどうにか出来るような能力を持っていればいいんだが。
この時季に転校してくるという事は、恐らく……いや、間違いなく原作に関係してくる人物だろう。
しかも、状況的に有里がこの世界の主人公である可能性は非常に高い。
そう思って改めて有里を見てみれば、やはりどこかそれらしい雰囲気のようなものがある。
「……えっと、有里君。趣味とか、そういうのは……」
「趣味? 趣味は、音楽を聴く事と、寝る事かな」
鳥海の言葉に有里は短くそう答える。
うん、何だかんだで結構面白そうな奴なのは間違いない。
「有里君の席は、ほら、あそこの空いている場所ね。分かる?」
「はい」
「じゃあ、あそこで授業を受けてね。さて、じゃあこれで連絡事項は終わりだから、授業の準備をするようにね」
そう言い、鳥海は教室を出ていく。
有里はそんな鳥海の様子に構う事もなく、空いている席に座る。
「……ねぇ、もしかして……」
そんな有里の様子を見て、何か思うところがあったのだろう。ゆかりが俺に視線を向けて尋ねてくる。
「ああ。詳しいことは休み時間に話す。……ただ、俺達が気を遣ってやった方がいいだろうな」
桐条のパーティに入って活動する事になる以上、間違いなくこれからそれなりに長い付き合いになる筈だ。
そう考えると、出来るだけ早く接触した方がいい。
もっとも、今の教室の様子を見る限り、休み時間になれば多くの生徒が有里に殺到して質問責めにするだろうが。
そうなると、俺とゆかりが有里に接触するのは、ある程度落ち着いてからの方がいい。
それと、有里自身が影時間とかそういうのの存在を既に知っているのかどうかという問題もある。
まぁ、わざわざ桐条が……もしくは桐条グループが呼び寄せたのだ。
既に有里は影時間について知っている可能性は十分にあるだろう。
そう考えていると、やがて教師が入ってきて1時限目の授業が始まるのだった。
「で、どうなの? やっぱり真田先輩達の関係?」
1時限目の授業が終わると、昨日の昼休みの如く俺はゆかりに引っ張られて空き教室まで連れてこられた。
ちなみに、有里は俺の予想通り大勢の生徒に取り囲まれていたので、この選択肢は決して間違ってはいないだろう。
そんな風に思いながら、ゆかりの質問に頷く。
「ああ。桐条から、昨日影時間に適性のある人物が今日転入してくるって話を聞いていたんだよ。……まぁ、真田の一件ですっかり忘れてしまっていたけど」
「あのね。そういう大事な件を忘れたりしないでよね。真田先輩の件より、寧ろ有里君の件の方がよっぽど重要じゃない」
「それは否定しない」
月光館学園の生徒であるという点だけを考えれば、昨日の俺と真田の一件は非常に重要な事だろう。
だが、影時間について知っている身としては、寧ろ有里の方が重要な事になると言ってもいい。
であれば、ゆかりが俺の方を見て不機嫌そうな表情を浮かべている気持ちも、分からないではない。
取りあえず、機嫌を取る為に空間倉庫から取り出した、缶の紅茶を渡してみる。
その紅茶を受け取ったゆかりは、少しだけ呆れた表情を浮かべていたが、やがて小さく溜息を吐くと缶を開けて紅茶を口に運ぶ。
「ふぅ。……それで、どうするの?」
「どうするって? 別に特に何かをどうこうするつもりはないけど」
「そうなの? てっきり荒垣さんみたいに誘うのかと思ってたけど」
「荒垣は俺達がペルソナに詳しくなかったから誘って、それ以後は何となくって感じなんだけどな。ああ見えて慎重派だから、ストッパー的にもいいし」
それに荒垣の面倒見の良さを考えると、何気に俺達にとってはかなり必要な存在のようにも思える。以前教えて貰った釜玉うどんとかも美味かったし。
戦闘には一切参加しない荒垣だが、その存在感はもの凄い。
それに比べると、有里は影時間に適応はしているものの、まだペルソナには適応していない。それに、現在俺達のパーティはあくまでもゆかりを鍛える事を最優先にしている。
そこに全くの素人が入ってこられると、色々とやりにくいのは確かだ。そして何より……
「有里は、多分桐条達のパーティに入るだろ」
そう。それは半ば確定事項だった。
そもそも桐条グループが有里を月光館学園に呼んだのは、自分達の戦力を高める為というのが一番大きい筈だ。
俺達が向こうに合流していれば、向こうも戦力的には問題ないと判断していた可能性もあるが……少なくても今の状況で向こうの戦力が少ないというのは確実だった。
まぁ、元々影時間に適応する能力がある人間というの事態が希少な存在である以上、研究対象として呼んでもおかしくはないのだが。
「……彼、全てを知った上で、自分から協力してるのかな? それとも桐条先輩達にいいように丸め込まれているとか?」
「どうだろうな。有里は泰然自若な感じだったし、そう考えれば自分から影時間に関わっていてもおかしくはないと思うけどな。どうしても気になるなら、自分で聞いてみればいいんじゃないか? もし桐条達のパーティに入るのなら、当然俺達にも紹介されるだろうし」
「それは……うーん、そうかも。分かった。聞いてみる」
俺の言葉に、ゆかりは頷く。
どうやら妙な暴走はしないで済んだらしい。
元々ゆかりは桐条に……正確には桐条グループに思うところがある以上、下手に暴走すると厄介なんだよな。
もっとも、実際に有里を半ば強引に自分達の仲間に引き入れる……といった真似をした場合、間違いなく爆発するだろうが。
出来れば桐条達には有里に真摯な対応をして欲しいところだ。
桐条はともかく、真田辺りは半ば強引に引っ張り込もうとかしそうな気がするんだよな。
幾月は……どうなんだろうな。
人当たりはいいから、その辺は心配しなくてもいいようが気がしないでもない。
だが、生理的に合わないせいか、俺から見ればどうにもいまいち好きになれないタイプだ。
だが、その生理的に合わないというのが、単純に性格が合わないだけなのか、それとも幾月が何か妙な事を考えているのか……その辺りが微妙だ。
こっちとしては、出来れば生理的に合わないだけ……ってのが希望なんだが。
「じゃあ、今日の影時間には桐条達に会いに行ってみるか?」
「うーん……有里くん、今日転入してきたばかりでしょ? だとしたら、まだ忙しいんじゃない?」
「どうだろうな。その辺は向こうに聞いてみた方がいいかもしれないが……なら、今日はタルタロスに行くか」
「それは……でも、昨日死神が出たでしょ? 2日続けて現れるとは思わないけど、もしかしたらと思うし」
「それは否定しないが、一応昨日は死神が逃げたんだから、勝敗で言えば俺の勝利なんだけどな」
そう言うも、ゆかりの表情は晴れない。
実際に直接死神の力を間近で見ているだけに、俺の言葉を完全に信じられないのだろう。
実際には左肩を切断させたのだから、間違いなくこっちが有利だったのだが。
ただ……純粋な魔力による爆発、それも巨大な爆発のメギドラオンだったか? あの魔法が厄介なんだよな。
あの威力は、それこそ俺の魔法障壁も突破するのに十分な威力を持っている筈だ。
……片腕を失ったのに、それでもあの魔法を使えるというのは、死神の強さだよな。
というか。ネギま世界の魔法と違って詠唱せずに魔法名を口にするだけで発動出来るというのは、正直なところペルソナ世界の魔法の大きな特徴だ。
もっとも、ネギま世界の魔法は応用力が高かったり、一定までは誰でも覚える事が出来たりといった具合にそれぞれに特徴はあるんだが。
ペルソナ世界の魔法は、ネギま世界の魔法のように系統立てられている訳ではないので、きちんと勉強して習得する……といった真似が出来ない。
あくまでも、ペルソナの存在が前提になっているので、異世界から来た俺はともかく、この世界の人間でも影時間に適性はあっても、ペルソナ使いとして覚醒していなければ絶対に使えないのだ。
そういう意味だと、やっぱりペルソナ世界の魔法は特殊だよな。
ただ、特殊であるが故にペルソナ世界とホワイトスターが繋がった時、ペルソナ世界の魔法はその汎用性の低さ、敷居の高さからネギま世界の魔法に比べると地位が低いものになる。
ネギま世界の魔法は、魔法書や杖、更にはかなり高額になるが、魔法教師や魔法先生のような魔法使いを派遣して貰って家庭教師代わりになって貰う事が出来る。
実際、麻帆良はそれによって大きな利益を上げている。
だが、ペルソナ世界ではそんな真似は出来ない。
となると、もしホワイトスターとペルソナ世界が自由に行き来出来るようになっても、この世界から輸出出来る物は……ああ、でもマジックアイテムがあるか。
魔法においてはネギま世界の魔法にかなり劣る――敷居や汎用性の問題で、だが――この世界だが、マジックアイテムに関してはかなりの水準を誇る。
そう考えれば、もしこの世界と異世界間貿易の条約を結んでも特に問題はないか。
「アクセル? どうしたの?」
「いや、何でもない。ただ、昨日の死神との戦いを思い出してな。……取りあえず、俺だけで正面から戦うのであれば、そう簡単に負ける事はないってのは保証するよ」
取りあえずそう誤魔化しておく。
まぁ、誤魔化したと言っても、別に嘘って訳じゃない。
実際に正面から俺だけで戦えば、幾らでも攻撃の手段はある。
……ただ、基本的に魔法を使ってくる死神だけに、マハラギダイン、メギドラオン以外にどんな魔法を持っているのか、もしくは魔法以外にどのような攻撃手段を持っているのかは、分からないが。
「私がもっと強ければ……アクセルだけに任せなくても済むのよね?」
「そうだな、それは否定しない。けど、以前にも何度か言ったと思うけど、俺はお前と違って今までずっと戦いの中で生き延びてきた。それこそ、命懸けの戦いというのは日常茶飯事と言ってもいいし、宇宙規模の戦いに参加した事も珍しくはない」
もっとも、こうも戦いに巻き込まれているのは、ゲートで他の世界に向かう時に俺が最初に行くから、というのもあるのだが。
実際、このペルソナ世界での戦いだって似たようなものだし。
……俺の意思で来た訳じゃなくて、何らかの意思で飛ばされたというのはちょっと違うが。
「じゃあ、私はいつまで……どれくらい戦えば、アクセルの足手纏いにならないの?」
「あー……そうだな。正直なところ、今のゆかりはこの世界の基準……そして桐条達ペルソナ使いの面々と比べれば、恐らく最強に近い。それは保証する」
俺の助けも多少はあったが、実質殆どゆかり個人の力で16階まで到着したのだ。
また、現在最上階――敵が出てくる階という意味で――の15階でレベル上げを行っているのもあって、ペルソナを使った戦闘という一点においては、ゆかりは何年も前から影時間に関わってきている桐条や真田と戦っても勝つのは間違いないだろう。
勿論、それはあくまでもペルソナを使った戦闘に限定した話であり、それこそペルソナなしで生身の戦いとなれば、ボクシングをやっている真田は勿論、フェンシングをやっている桐条と戦っても勝ち目は薄いが。
「でも……それでも、アクセルがあの死神と戦う時には足手纏いにしかならないわ」
「それは否定しない」
ビクリ、と。
俺が言い切ると一瞬ゆかりの身体が反応する。
そんなゆかりが俺に向かって何かを言うよりも前に、俺は再び口を開く。
「けど、それは今だけだ。このままタルタロスでシャドウとの戦闘を経験していけば、そのうち俺と肩を並べて戦う事が出来るようになると思う。少なくても、お前にはそれだけの才能が眠っていると思っているよ」
「アクセル……うん」
俺の言葉に、ゆかりは小さく、それでいて嬉しそうな笑みを浮かべながら頷くのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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