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真田十勇士

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巻ノ百七 授かった術その一

           巻ノ百七  授かった術 
 幸村は空の中で不動と何時終わるとも知れぬ修行を行っていた、もっと言えばその修行を課せられていた。
 不動の紅蓮の炎に剣も己の心を具現化させた刀で受け止めてだ、彼は言った。
「何とかです」
「余の一撃を受けたな」
「これまで修行をしてやっと」
 ようやくと言うのだった。
「それが出来ました」
「そうだな、だが」
「それでもですね」
「ようやくだ」
 それに過ぎないとだ、不動も言った。
「そなたはこの域に来たのだ」
「明王の剣を受けられる」
「そこまでな、だが」
「だがといいますと」
「この域まで来られたのは僅かだ」
 こうも言うのだった。
「人ではな」
「そうなのですか」
「そうだ、そなたとだ」
 不動はさらに言った。
「真田家の初代か」
「我等のですか」
「その者だけであった」
「そうだったのですか」
「そのことは見事だ、そしてだ」
「初代はですね」
「ここから極めてだ」
 そうしてというのだ。
「ある術を備えた」
「実はです」
「わかっている、そなたもだな」
「その術を極めてです」
「備えたいな」
「そして」
 幸村はさらに言った。
「その力で道をさらにです」
「進みたいか」
「武士の道を、さらに強くなり」
 その術を備えることによってというのだ。
「そうしたいのです」
「わかった、ではだ」
「それならは」
「そなたもわかっていよう」
 不動は幸村と激しい打ち合いをしつつ言った、身体も切り合うがお互いに傷付くことは一切ない。
「七匹の龍を」
「それがしの中にある」
「身体の中央にな」
「下から上にですな」
「龍達がおる」
 それぞれというのだ。
「その龍達が一匹一匹ずつ目覚めてな」
「そしてですな」
「お主が悟れば」
 龍達が目覚めたうえでだ。
「お主は星達を見る」
「星達を」
「七つ、もっと言えば八つのな」
「その星達はまさか」
 幸村は不動のその言葉を聞いてはっとなって言った。
「あの」
「そうじゃ、七曜じゃ」
「左様ですな」
「その星達の力が入りな」
 幸村のその中にというのだ。
「お主はその星達の力を得るのじゃ」
「この修行の葉てには」
「あの星の力を使えば」
 それでというのだ。
「お主の望む通りの働きが出来よう」
「左様ですな」
「ではじゃ」
「はい」 
 幸村は不動にあらためて答えた。
「お願いします」
「お主の目は澄んでおる」
 そこから幸村の心も見ての言葉だ。 
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