転生とらぶる
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ペルソナ3
1848話
「あはははは。まぁ、アクセルの能力を少しでも見せれば、そうなるわよね」
ショートボウを手に、タルタロス15階の通路を歩きながらゆかりが面白そうに笑う。
そんなゆかりの近くでは、荒垣がどこか呆れたような視線を俺に向けていた。
真田と模擬戦をした日の夜、今日は珍しくゆかりからタルタロスに行きたいと誘われ、結局荒垣を入れていつもの面子でタルタロスを攻略する事になった。
迎えに行った当初は少し不機嫌だったゆかりだったが、その不機嫌さも真田との件を聞くと吹き飛んだのか、面白そうに笑っている。
多分ゆかり自身を強化したいという思いの他に、何か面白くない事でもあったのだろう。
身体を動かすという意味では、タルタロスはこれ以上ない程に便利な場所だ。
八つ当たりをしても全く問題のない敵が大勢いるのだから。
……八つ当たりで倒されるシャドウ達も、微妙に哀れに感じるが。
ただ、相手はシャドウなんだし、特に気にする必要もないか。
「アキはボクシング部の中ではヒーローだからな。そのアキに勝ったんだ、アルマーも、明日からは色々と大変な目に遭うかもしれねえな」
どこか他人事のように言ってくる荒垣だったが、実際に荒垣にとっては他人事である以上、特におかしな事もないだろう。
「そうだな。真田が有名人だというのは知ってたが、それでも正直あそこまでとは思ってなかった」
そう言いながら歩いていると……
「トランスツインズだ! ゆかり、気をつけろ!」
2匹が1匹になったゾンビ型のシャドウ、トランスツインズが通路の向こう側からこちらに近づいてくる。
幸いまだこちらには気が付いていないようだが、それでも少し時間が経てば、向こうも気が付くだろう。
そんなトランスツインズを前に、ゆかりは少しだけ緊張した様子でショートボウに矢を番える。
ペルソナを出していないのは、イオがジオ系の呪文を弱点としているからだろう。
以前それを喰らったおかげで、イオが地面に転んだ事があった。
その隙を突こうとしたシャドウだったが、子猫の炎獣がいた事によって、それは防がれた。
うん、正直なところ、弱点があるというのは正直どうにかして欲しい。
装備品の類で雷系の弱点をなくする事が出来ればいいんだが……それもまた、難しい。
ゆかりも自分の弱点は承知しているからこそ、先手必勝とショートボウを構えているのだろう。
そしてトランスツインズがこちらとの距離を縮めてきて……こちらに気が付くのと殆ど同時に、ゆかりのショートボウから矢が射られる。
それも1本だけではなく、続けて何本も。
トランスツインズは、名前にツインズとついているように2匹のシャドウで1匹となっている。
つまり、純粋に的として考えてもトランスツインズは狙いやすい相手なのだ。
的が大きいだけに、射られた矢は1本も外れることがなくトランスツインズの身体に命中する。
もっとも、矢が刺さった部分はかなり広範囲で、1ヶ所に集中して……という訳にはいかなかったが。
だが、ゆかりがタルタロスで戦い始めてから、まだ2ヶ月ちょっと。
そう考えれば、この上達は決して遅いという訳ではないだろう。
この先、どれくらいタルタロスで戦い続けるのかは分からないが、それでもゆかりの弓の技術が今以上に上がっていくのは間違いない。
であれば、今はこのくらいの弓の腕でも満足しておくべきだろう。
だが、トランスツインズは身体中を矢で射貫かれながらも、進む速度は変えずに近づいてきて……
「ジオ」
雷の魔法を使う。
一直線に放たれた紫電だったが、その紫電が放たれた時、既にゆかりの前には子猫の炎獣の姿があった。
自分の身を挺して紫電を受け止める炎獣。
だが、そんな炎獣の姿を見ても、ゆかりは特に気にしている様子はない。
知っているのだ。炎獣がジオを1発くらったところで、殆ど無意味だというのを。
そもそもの話、外見は子猫だが、この炎獣はあくまでも俺の白炎から生み出された代物だ。
以前遭遇した死神のようなシャドウであればまだしも、この程度のシャドウが使う魔法でどうにかされる筈がない。
実際、トランスツインズが放ったジオの紫電は、炎獣があっさりと燃やし尽くす。
……雷を燃やすって表現もどうかと思うが、実際に燃やしているのだからその辺はおかしくないだろう。
ましてや、魔法とかは魔力を使っている以上、100%完璧な自然現象って訳じゃないし。
「イオ、突進!」
矢を射った後、右手で召喚器を掴み、自分の頭部に銃口を向けてイオを召喚。
……指示した攻撃がガルとかの魔法じゃなくて、突進って辺り……いやまぁ、実際イオの場合は下手にガルのような攻撃魔法を使うよりは、直接突っ込んでその体格に合った体当たりをする方が、攻撃力が高いのは間違いないのだが。
「うわぁ……凄えな、相変わらず」
俺の隣で戦闘の様子を見ていた荒垣が、しみじみと呟く。
荒垣もペルソナを使って戦闘すればこのくらいの事は出来ていてもおかしくは……ああ、いや。でも純粋に戦闘の経験ともなれば、タルタロスで戦い続けているゆかりの方が上になってしまったのか?
ともあれ、トランスツインズはゆかりの召喚したイオの一撃によって牛の頭蓋骨とタルタロスの壁に挟まれ、それが致命的な一撃となって崩れていく。
「どう?」
「そうだな、イオがジオ系に弱いのをきちんと把握して、それを理解した上で先制攻撃、向こうがジオを使ってきた時も、焦ってペルソナを召喚するんじゃなくて炎獣に防御を任せたのはいい判断だった」
「ふふん」
嬉しそうな様子のゆかり。
もっとも、これだけ戦闘を積み重ねてるんだから、そのくらい強くなってもおかしくはないが。
「で、どうする? もう15階も全部探索したし、宝箱も全部回収した。後はもう、シャドウが出てくるまで延々と歩き回っているのか?」
「あー……そうだな。ゆかりの戦闘訓練を思えば、それもいいんだろうが、それでもこのまま同じ行為を繰り返すってのはちょっとどうかと思うしな」
荒垣の言葉にそう答え、影時間の残りがどれくらいかと考える。
既にタルタロスに入って2時間……いや、3時間は戦ったか?
であれば、そろそろ影時間も終わる筈だし、そう考えればそろそろタルタロスから出た方がいいか。
……実は、影時間が終わった時にタルタロスにいればどうなるのかってのは、ちょっと気になっているんだが、それを試すには色々と不安要素が強いんだよな。
特に今は、いつ原作が始まるのか分からない以上、可能な限り不安要素は排除しておきたい。
そんな訳で、影時間が終わった後もタルタロスに残るという真似は今のところは試さないでいた。
「じゃあ、帰るの? 私は別にそれでもいいけど。……矢も殆ど残ってないし」
ゆかりの矢筒の中にある矢は、残り三本。
勿論桐条グループから用意して貰った矢はまだかなりあり、俺の空間倉庫の中に入ってはいる。
だが、それでもやはり、ゆかりにとっては体力の限界なのだろう。
元々弓道部の部員として、それなりに体力はあるゆかりだったが、それでもやはり数時間連続で戦うというのは、体力的に消耗が大きい。
元々全身運動というのは、普通よりも多く体力を使う。
ましてや、その全身運動は命を懸けた戦いである以上、精神的な消耗も半端ではない。
である以上、ゆかりにとってはそろそろ体力の限界なのだろう。
「そうだな。じゃあ、そうするか。影のゲートを……」
「いや、ターミナルで帰ろうぜ」
俺が最後まで言うよりも前に、荒垣はターミナルを使おうと主張する。
まぁ、それも分からないではない。
もう影のゲートでの移動には慣れた荒垣だったが、それでもやはりターミナルの方が気に入っているのだろう。
まぁ、影のゲートは影に沈んでいく感覚があるからな。対してターミナルはそういうのがない。
俺にしてみればそれ程大きな差とは思えないのだが、荒垣にとっては大きな差なのだろう。
「ま、いいけどな。ターミナルがあるのはそんなに遠くなかった筈だし」
ここから歩いて10分も掛からない場所だった筈だ。
そのくらいの誤差は俺にとっては特に問題ないし、ゆかりも体力がそろそろ限界に近くても、10分くらい歩く程度は問題がないという事で、俺達はそのままターミナルに歩いて向かう。
「いっそ、影のゲートでターミナルのある場所まで移動するとか?」
「……それなら、最初から影のゲートでエントランスに向かった方がいいだろうが」
俺の言葉に、荒垣がそう突っ込んでくる。
まぁ、それもそうか。
「だろうな。……そう言えば、桐条達は今日タルタロスに来てるのか?」
「いや、アキから聞いた話じゃ、その予定はなかった筈だ。何でも転入生が来るとか何とか……」
「あー……そう言えば、明日新しい転入生が来るとか言ってたな」
「え? それってもしかしてうちのクラス?」
少しでも体力を回復させようと黙って歩いていたゆかりだったが、転入生という言葉に反応する。
……まぁ、今日俺が転入してきたのに、明日もまた1人転入生がくるというのだから、驚くのは当然だろう。
「ああ、そうらしい。それも、影時間に適性を持っている奴らしいな。名前とか、どういう奴なのかってのはまだ分からないが」
「……じゃあ、ペルソナ使い?」
「まだそこまでにはなっていないらしい。ただ、影時間に適性があるんだし、そのうちペルソナ使いとして覚醒する可能性は高いだろうな」
もっとも、影時間に適性があるからといって、確実にペルソナ使いに覚醒するという訳ではない。
実際、幾月は影時間に適性があっても、ペルソナ使いにはなれなかったみたいだし。
「ふーん。……桐条先輩達、きちんと事情を話して、納得させた上でこっちに引っ張り込むつもりかしら?」
「どうだろうな。桐条達にとっては是非欲しい戦力なのは間違いないだろうが」
こちらのチームは、俺、ゆかり、荒垣と3人いる。
もっとも、その3人の中でも荒垣は基本的についてきてるだけで、相談役といった感じでしかない。そして俺にいたってはペルソナ使いですらない。
何気に、俺達の中で実際に戦えるペルソナ使いは、ゆかりだけなんだよな。
それでも、俺がいるという時点で炎獣を作れることもあり、こちらの戦力が十分なのは間違いない。
だが、桐条達の場合は桐条も真田も、どちらもまだ戦闘に身を置く者としては未熟だ。
……ペルソナというこの世界での戦闘について教えてくれる相手がいない以上、独学で試行錯誤していくしかないのだから、それは当然の結果なのだろうが。
それに比べると、俺はかなりの戦場を潜り抜けてきている。
それこそ、ロボットを使った戦争だけではなく、ネギま世界やFate世界のような生身での戦闘も。
だからこそ、俺はある程度ゆかりに対しても色々と言う事が出来るのだ。
真田が俺と模擬戦を行いたがるのも、その辺が理由だろう。
「だろうな。……問題は、その新戦力がどれだけの奴かって事だ」
荒垣が俺の言葉に同意するように、そう告げる。
どうしても真田達が心配なら、それこそ俺達のパーティから抜けて真田達に合流してもいいと思うんだが、それは選択肢としてないらしい。
いや、こっちにとっても荒垣が味方にいるのは嬉しいから、文句はないのだが。
ともあれ、そんな訳で話しながら俺達はタルタロスの通路を進み……やがて、ターミナルの場所に到着する。
ゾクリ、と。
その瞬間念動力が危険を知らせてきた。
この感覚には覚えがある。
何しろ、以前ゆかりと一緒にいる時に遭遇した相手なのだから。
そうである以上、こちらも躊躇する必要はない。
「ゆかり、荒垣、さっさとターミナルに入れ!」
空間倉庫の中からゲイ・ボルグを取り出しながら、叫ぶ。
「え? ちょっ、アクセル。いきなり何を……っ!? もしかして!」
いきなりの俺の言葉に一瞬疑問を抱いたゆかりだったが、以前の事を思い出したのだろう。すぐに納得した様子を見せる。
だが……死神という存在の情報は知っていても、実際に自分の目で見た事がない荒垣は、そんな俺とゆかりの態度に戸惑った様子を見せる。
「いいから、荒垣先輩、こっち! このままここにいたら、アクセルの邪魔になるから!」
「ちょっ、おい、岳羽!?」
荒垣はゆかりに強引に引っ張られ、ターミナルに入っていく。
「アクセル、いい? 気をつけてね。絶対無事に戻ってきなさいよ!」
そう言いながら、ゆかりは荒垣と共にターミナルでエントランスに転移する。
自分がここにいては、俺の足を引っ張ると……それを理解しているからこその行動だろう。
実際、以前はそれで俺が死神を相手に苦戦したのは間違いないのだから。
だが……庇う相手がいないのであれば、俺も存分に戦う事が出来る。
「……また会ったな」
空中を浮かびながら、以前と同様に極端に銃身の長い拳銃を持って姿を現した死神に、俺はそう告げるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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