八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十五話 秋田の思い出その七
「今度は演歌になるかもね」
「演歌なんだ」
「演歌はあまり聴いてないけれど」
それでもという返事だった。
「やってみるわ」
「作詞作曲を」
「両方ね」
「じゃあ頑張ってね」
「ええ、そしてね」
「いい曲をだね」
「作るわ」
是非にという言葉だった、意気込みがそこにはっきりあった。
「一気にね」
「じゃあ今夜に」
「そうするわ、いやそれにしてもね」
ここまで言ってだ、詩織さんは一旦言葉を止めてだった。そのうえで少し笑ってそのうえでこんなことを言った。
「飲んだわね」
「一升だからね」
「いや、凄いわね」
「あっという間に飲んだね」
「足とか大丈夫?」
「多分ね、これ位よく飲むから」
「そういえば江田島でも飲んでたね」
これは皆がだ、朝いつも二日酔いで辛かったけれどこのことはハウステンボスにおいてもそうだった。
「詩織さんも」
「ええ、広島の地酒も有名だけれど」
「昔からね」
「それだけにね」
「美味しくて」
「よく飲んだわ」
実際にというのだ。
「あそこでもね」
「そうだったね」
「じゃあ今からお酒の瓶とかは食堂に戻して」
そしてというのだった。
「お部屋で歌作るわ」
「そうするんだね」
「そう、そしてね」
そのうえでというのだった。
「もう楽になるわ」
「それじゃあね」
二人で話してだ、そのうえでだった。
詩織さんは実際に酒瓶とお皿そしてお箸を食堂に戻しに行った、それからは自分のお部屋に入った。僕はその後はというと。
一人で書斎でネットを検索したり本を読んで過ごした、そして夕食に出ると。詩織さんは僕に対して笑顔で言ってきた。お酒で真っ赤になっていお顔で。
「出来たわ」
「そうだったんだ」
「ええ、演歌でね」
「一曲作られたんだね」
「出来たわ」
「それは何よりだね」
「後はね」
それからのこととだ、詩織さんはほっとした顔で話した。
「もう夏休みが終わるまでね」
「部活だね」
「ええ、部活に専念出来るわ」
「練習試合もだね」
「楽しめるわ、しかしね」
「しかし?」
「いや、やっぱり十日で三回は凄いわね」
練習試合がとだ、詩織さんはあらためてこの話をした。
「本当に」
「うん、そう思うよ」
「やっぱりそうよね」
「凄いスケジュールになってるね」
「ええ、けれどそれだけにね」
「楽しみなんだ」
「そうよ、それにいい雰囲気の部活だから」
詩織さんはこれの話もした。
「いいのよ」
「これが雰囲気の悪い部活だと」
「辞めるわ」
部活自体をというのだ。
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