転生とらぶる
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ペルソナ3
1842話
3月の春休みも終わり、4月に入って新学期が始まった。
既に入学式も終わり、1年の生徒達もそれなりに動き始めている。
そんな日の朝……俺の姿は、月光館学園の前にあった。
朝であるからには、当然いつものように学校が終わった頃にここにやって来ている訳ではなく、生徒達皆が学校に向かっている頃合いだ。
そんな中だったが、やはり俺の姿はそれなりに目立つらしい。
……まぁ、見覚えのある生徒達が何人かいるので、その辺りから情報が広がっているんだろうが。
俺を知ってるだろう者達の視線が驚きに満ちているのは、俺の着ているのがいつものように私服ではなく、月光館学園の制服だからだろう。
俺を知ってる連中の中で、俺がどのような認識の存在だったのかは分からない。
まぁ、それでも学校が終わる頃には私服で校門前にいたりしたんだから、恐らくフリーターとかその辺の認識だった筈だ。
そんな俺が、まさか月光館学園の制服を着ているというのは、完全に予想外で驚きに満ちていてもおかしくはない。
「アルマー!」
声の聞こえてきた方に視線を向けると、そこには俺の制服やら学生鞄やら教科書やら……その他諸々、俺が高校生として生活していく上で必要な物を一揃え用意してくれた桐条の姿があった。
その凜々しい美貌は、当然のように周囲の生徒達の視線を集めている。
男からは見惚れる視線、女からは尊敬の視線。……何か口の中でお姉様とか呟いている奴もいるし。
いやまぁ、桐条の容姿は高校生としてはかなり大人っぽいんだから、この結果は当然か。
更に、桐条グループの令嬢で、月光館学園の生徒会長。おまけに成績優秀の優等生。
それで人気が出るなという方が無理か。
ともあれ、そんな桐条に名前を呼ばれた俺は、当然のように周囲からの注目を浴びる。
アルマーという名前……名字に覚えがなくても、桐条の見ている方を見れば、それが俺だというのは分かるだろう。
いやまぁ、見ている方にいる全員が俺を見ているとも限らない以上、それが俺だとは分からないのだろうが。
だが、このまま……って訳にもいかず、俺は手を振って答える。
「ああ」
それが決定的となり、アルマーが俺だと理解した者達の視線がこっちに集まる。
その中には嫉妬の視線が混ざっていたりする者も多いが、中には何故か俺にまで憧れの視線を向けてくる者もいる。
いや、一体何でそんな事になる?
嫌われるよりはいいんだが、それでもこうして憧れの視線を向けられるのは慣れない。
勿論W世界でもそうだったが、MSやPTのパイロットとして憧れの視線を向けてくる者はそれなりにいた。
だが、今俺に向けられている視線は、何かの意味があって向けられている訳ではない。
本当に何の意味もなく向けられている視線だ。
敢えて理由をつけるとすれば、自分達が憧れている桐条が俺に気安い態度を取っているから……といったところか。
そんな理由で憧れの視線を向けられるのは、正直いい気分ではない。
勿論桐条に憧れていても、そこまで深いような奴はそう多くはない。
中には、桐条に興味を持っていないような奴すらいる。
そう考えれば、そこまで気にするような事はないのかもしれないが……その辺は、まぁ、仕方がないのだろう。
ともあれ、周囲から様々な視線を向けられながら、俺は桐条に近づいていく。
「おはよう、アルマー」
「ああ」
「学校に来るまで、迷わなかったか?」
「……あのな、俺は以前にも月光館学園に来た事があるんだぞ? なんでそれで俺が迷うと思うんだよ」
「以前アルマーが来たのは、あくまでも部外者としてだろう。やはり学生として来るのでは、色々と違いがあるのではないか?」
「そう言われても……特に何もなかったけどな」
「そうか。まぁ、戸惑ったりしなかったのであれば、こちらは問題ない」
そう言いながら少し残念そうな表情を浮かべるのは、俺が迷子になるのを願っていたのか?
いや、まさかな。
「それで、これからどうするんだ?」
「職員室に案内する。そこでアルマーのクラスの担任教師と引き合わせる。私の仕事は取りあえずそこで終了だ。ただ、今日の授業が終わったら生徒会室に来て欲しい」
「生徒会室に?」
現在の俺は、あくまでも一般の生徒という扱いだ。
そうである以上、転入生だからといってわざわざ生徒会室に行く必要はないと思うんだが。
「ああ、そうだ。勿論アルマーに生徒会に入れなどと言うつもりはない。ただ、ちょっと個人的な話をしたいだけだ」
きゃー、と。何人かの生徒達が桐条の会話を聞いて黄色い悲鳴を上げる。
……さて、一体どんな事を考えてそんな悲鳴を上げたのやら。
ともあれ、こっちとしては周囲の注目を集めながら桐条と話をするというのは、出来るだけ避けたい。
「取りあえず中に入らないか? ここだとちょっと落ち着かないし」
「ふむ、そうか? まぁ、アルマーがそう言うのであれば私は構わないが。では行こうか」
そう言い、俺は桐条と共に学校間学園の校舎の中へ入っていく。
……背中や後頭部に幾つもの視線を感じながら。
「失礼します、鳥海先生はいらっしゃいますか?」
桐条がそう言いながら職員室に入り、俺もそれに続く。
桐条が職員室に来るのは珍しい事ではないのか、特に教師達から視線が向けられたりはしていない。
いやまぁ、生徒会長らしいから、職員室にはしょっちゅう来てるんだろうが。
「あら、桐条さん。……じゃあ、そっちが……って」
鳥海という言葉にどこか聞き覚えがあったのだが、桐条の声に反応して立ち上がった女を見て、どこで聞き覚えがあったのかを理解する。
そう、桐条が俺を連れて行った先にいたのは、2月に咲いた桜の花見にゆかりと共に行った時、遭遇した女だったのだ。
そう言えばゆかりが鳥海先生とか何とか言ってたような……
「君、岳羽さんと……」
そう言ってくる鳥海に向け、頭を下げる。
「アクセル・アルマーです。今日から月光館学園に転入する事になりました。よろしく」
一応ここでの俺の立場は、あくまでも転入してきた生徒という扱いだ。
そうである以上、いつものような言葉遣いをする訳にもいかないだろう。
……何だかムウ辺りが今の俺を見たら、腹を抱えて笑いそうな気がしないでもないが。
「そう言えば、岳羽さんも貴方のことをアクセルって呼んでたわね。……よろしく、アルマー君。私がアルマー君が所属する2-Fの担任の鳥海いさ子よ」
笑みを浮かべるその様子からは、出来る女教師……といった様子が見て取れる。
んー? ゆかりから聞いた話だと、この鳥海って教師はかなり面倒くさがりというか、ズボラな性格をしているって話だったんだけどな。
まぁ、ここは職員室だし、俺は転入生だ。見栄を張っているといったところか。
「では、お互いの紹介も済んだようですし、後は鳥海先生に任せて私はこの場で失礼させて貰おう」
「ええ、アルマー君の案内ありがとう」
短く言葉を交わし、桐条は去っていく。
それを見送ると、鳥海は改めて自分の席に着く。
「さて……まさか、桐条さんが連れてきた相手が貴方だったとはね。ちょっと驚いたわ。アクセル・アルマーという名前を聞いた時点で思い出せれば良かったんだけど」
そう言いながら、鳥海の視線が俺に向けられる。
その様子は、先程桐条の前にいたような出来る女教師といったようなものはなく、気怠げにしているのが印象的だ。
「いきなり上から私のクラスに転入生が来るって話だったし、しかも急な事だから写真とか経歴とかもないし……アルマー君、君は一体何なのかしら」
「さて、何なんでしょうね。正直なところ俺も何でここにいるのかは分かりません」
普通の高校生活を楽しみたいとは思っていたが……
ともあれ、鳥海は俺の言葉に何を思ったのか、それ以上は特にこっちを疑うような様子もないまま、口を開く。
「うちの学校は色々と特殊なところがあるのは知ってるわね? 特に教師が色々と特殊なんだけど……」
「鳥海先生とか?」
「私は普通よ。少なくてもこの月光館学園の中だと、どう考えても普通でしかないわ」
「ふーん」
自分で普通だと言う者が普通だという事はあまりない。
まぁ、だからと言って俺が普通だとは、口が裂けても言えないのだが。
ともあれ、そんな感じで少し話をする。
俺が色々と訳ありなのは、転入してきた時の状況から理解しているのだろう。
最初に多少怪しんだものの、それ以上は特に何も言わずに世間話のような形で月光館学園についての話を聞いていく。
「鳥海先生、そろそろHRの時間ですよ」
そんな中、不意に近くに座っていた男の教師がそう声を掛けてくる。
これといった特徴のない、中年男といった様子。
ただ、目にはどこか小狡い色があるのを見れば、典型的な小悪党といった感じだろうか。
こういうのが、何かに巻き込まれても最終的に生き残ったりするんだよな。
「あ、江古田先生。ありがとうございます」
江古田というのか。
その江古田は、俺の方を見て笑みを浮かべて口を開く。
「アルマー、君も色々と大変だろうが、頑張って欲しい。勿論何か私で力になる事があれば、いつでも言ってきなさい。鳥海先生もいい先生だが、いかんせんまだ若い。何が問題があれば、私のように教師経験の長い者が頼りになる」
「……はぁ」
何だ? 妙に俺に対しておべっかを使ってくるな。取り入ろうとしている?
何故だ? という疑問を抱いたが、すぐに理解する。
俺はこの教室に入ってきた時、桐条と一緒だったのだ。
そして俺の転入は桐条グループの意向が強く反映されている。
であれば、俺と桐条の間に何らかの関係があると思ってもおかしくはない。
そう思ったのだろう。
……まぁ、あながち間違ってる訳じゃないんだけどな。実際、俺と桐条は協力関係を結んでいるんだし。
ともあれ、江古田が俺に取り入ろうとするのは、その辺が理由だろう。
もっとも、だからと言って俺がそれに協力する必要がある訳でもないのだが。
「では、私もそろそろ行かなければならないから、失礼するよ」
そう告げ、江古田は去っていく。
それを見送っていると、やがて鳥海も立ち上がって口を開く。
「さて、じゃあ私達も行きましょうか。このままここにいると、もうHRが始まってしまうしね」
そう言い、鳥海は俺を引き連れて職員室を出ていく。
「この学校の案内は……まぁ、岳羽さんに任せておけばいいわよね。元々知り合いなんだし、何かあったら岳羽さんに聞いてね」
おい、それでいいのか。
思わずそう突っ込みそうになったが、取りあえず今は大人しくしている方がいいと判断して特に何も言わない。
それに、生徒に対しては無関心というか……無干渉? の教師の方が、俺に取っては都合がいい。
妙な真似をした時も、無関心であれば適当に流してくれるだろうし。
そう考えれば、江古田とかのクラスじゃなくてよかったのか。
「ん? ゆかりに聞けって事は、俺はゆかりと同じクラスなんですか?」
「ええ、そうよ。だから何も問題ないわよね?」
「そうですね」
別にゆかりと一緒なら問題がなくなるかと言われれば……正直微妙なところだというのが、俺の素直な気持ちだ。
ゆかりとの関係は生徒達に色々と知られてるしな。
……逆に言えば、それを知らない辺り、鳥海はやはり生徒に対して無関心なのだろう。
面倒を起こさなければそれでいい、と。そんな感じで。
桐条がその辺りの事情も考えて俺の転入先を鳥海のクラスにしたのかどうかは……いや、鳥海の性格よりも、ゆかりと同じクラスにするというのが元々の狙いだろうな。
「ああ、それと一応言っておくけど、あの花見の件は皆に内緒でね。別に何か後ろめたい事がある訳じゃないけど、色々とうるさい人もいるから」
「……まぁ、いいですけど」
ただ、あの花見はTVのニュースで映ったんじゃなかったか?
なら、今更俺が多少隠したところで、意味はないと思うんだが。
……鳥海がそれでいいのなら、それに合わせても別にいいけど。
廊下を歩きながら周囲を見ると、まだ何人かの生徒は廊下にいて、教室に戻ったりはしていない。
まぁ、だが、鳥海もそんな事には特に興味もないのか、構わずに廊下を進む。
鳥海は興味がないのかもしれないが、学生達は俺が珍しいのか、じっとこっちを見ている者もいる。
まぁ、俺の外見は色々と目立つしな。
そう考えれば、おかしな話ではない。
そんな事を考えている間に、2-Fの教室の前に到着する。
「さて、じゃあ私が呼んだら教室に入ってきてね」
そう言いながら鳥海は教室の中に入っていき、俺はまだ何人か廊下にいる者の視線を向けられながら少し待つ。
そして鳥海がHRを続ける声が聞こえてきて……やがて、俺に入ってくるように促すような声が聞こえてきた。
その言葉に、廊下で俺を見ている者達をその場に残して教室の中に入り……
「え!? アクセル!?」
その瞬間、2-Fの教室の中にゆかりの口からでた驚愕の声が響き渡るのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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