| 携帯サイト  | 感想  | レビュー  | 縦書きで読む [PDF/明朝]版 / [PDF/ゴシック]版 | 全話表示 | 挿絵表示しない | 誤字脱字報告する | 誤字脱字報告一覧 | 

八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。 ページ下へ移動
 

第百二十五話 秋田の思い出その三

「それが凄くいいのよ」
「成る程ね」
「それが秋田なの、ただね」
「ただ?」
「夏は涼しいわよ」
 この季節はというのだ。
「この神戸よりもね」
「やっぱり北にあるだけあって」
「江田島とか長崎よりはずっとよ」
「涼しいんだね」
「どっちも暑かったわ」
 この二つの場所についてはだ、詩織さんは少し困った顔で話した。
「私にはね」
「それ美沙さんも言ってたよ」
「あの娘は北海道だしね」
「むしろ詩織さん以上にかな」
「堪えたと思うわ」
 江田島や長崎の暑さにというのだ。
「九州も暑かったわ」
「鹿児島なんか特にだよ」
「ほぼ南国よね」
「ヤシの木もあるから」 
 鹿屋とかには本当に植えてある、海上自衛隊の基地の正門のところにまるで送迎をするみたいに見事にある。
「あそこは」
「ヤシね」
「そんな場所だから」
「ヤシの木は本当にね」
「南国だよね」
「それの象徴よね」
「実際にね」
 僕も否定せずに答えた。
「僕もそう思うよ」
「そうよね」
「あの木がある位だから」
 実際にだ、鹿児島の鹿屋辺りになると。
「南国だよ」
「そこまで暑いとね」
「詩織さんとしては」
「駄目よ、大阪でもね」 
 ここも暑い、大阪と京都は関西で一番暑い方だと思う。京都は盆地だから夏は暑く冬は寒い。この街は気候的には暮らしにくいだろうか。
「辛いから」
「あそこは暑いよ」
「気温も高いし人も多くて」
「建物も一杯だから」
「実際の気温より人の熱気の方が暑いのかしら」
「あそこはそうかもね」
 そんな気が確かにする、伊達に日本一騒がしい街ではないということだろうか。
「大阪については」
「大阪は楽しい街だけれど」
「夏にはだね」
「私的には辛いわ」
 あまりにも暑くて、というのだ。
「だからあまり行ってないわ」
「秋以降だね」
「それから行きたいわね」
「その方がいいかもね、大阪は何時行っても楽しい街だから」
「季節に関係なく」
「そうした街なんだ」
 不思議なことにだ、大阪は本当に何時でも楽しい。こんな街も珍しい。
「季節以上のものがある」
「そうした街なのね」
「あそこはね」
「お笑いとか食べものとか?」
「そうした文化かな」
 大阪にあるものはだ。
「落語や浄瑠璃や小説もあるし」
「江戸時代から」
「そう、上方文化の中心だったし」
 京都と並んでだ、だが江戸時代の庶民文化は元禄も化政も大坂がかなり重要な地位を占めていたのは事実だ。
「あそこはね」
「文化の街なのね」
「そうなんだよね」
「それで季節よりも」
「大阪独特の雰囲気がね」
「あるのね」
「そうなんだろうね」
 ちなみに江戸時代までは大坂だった、明治から大阪になった。 
ページ上へ戻る
ツイートする
 

全て感想を見る:感想一覧