夢幻水滸伝
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第二十二話 人の星その七
「またあっちの世界でな」
「それでは」
「ああ、しかし自分人間の顔やけど」
こちらの世界ではとだ、その弥生に言うのだった。
「何か猫にも見えるな」
「そうした風に見えます?」
「何かな」
「そうですか」
「僕の気のせいか」
こうも考えるのだった。
「それは」
「まあ中身は一緒ですから」
「それでか」
「そう思われたちゃいます?」
「そういうことか」
「はい、ほなあっちの世界でも」
「よろしゅうな」
中里は最後も笑顔だった、そうしてだった。
三人と別れてから一年の校舎を後にしよういとしたがここでだ。
不意にだ、弥生が彼にこう言ってきた。
「まだ知ってる娘等一年におるで」
「ああ、あいつ等か」
中里は綾乃が言うのが誰かすぐに察して頷いた。
「おったな」
「会わへんの?」
「何かな」
彼女達についてはだ、こう言うのだった。
「別にええやろ」
「何でなん?」
「いや、こっちから会いに行くよりもな」
それよりもというのだ。
「向こうから来る様な連中やろ」
「そう思うからか」
「そやからな」
「会いに行かへんか」
「こんな話をしてたらそれこそ」
「壁に耳あり」
「障子に目あり」
「台所に鼻あり」
「あと陰に口あり」
あの声がした、そしてだった。
その四人が出て来た、見れば四人共小柄で中々可愛い。それぞれポーズを付けて名乗りを挙げた。
「最強四天王登場!」
「呼びました?先輩」
「いや、話したら出て来るって思ったんや」
それでとだ、中里が四人に話した。
「それで言うたんや」
「そうですか、まあ人を呼ぶにはそしれ」
「呼ぶよりもって言いますし」
「それで、ですか」
「呼んでくれましたか」
「そうや、しかし何かすぐに来たな」
話をしたらとだ、中里は四人を見つつしみじみとして言った。
「それも四人揃って」
「何しろうち等神出鬼没ですさかい」
「こっちでもそうですし」
「呼ばれたらすぐに来ますで」
「それこそ東映のヒーローみたいに」
敵が暴れていると常に何処からか急行して来る彼等の様にというのだ。
「それで登場です」
「それで先輩何の用ですか?」
「彼氏紹介してくれるんですか?」
「悪いけどうち等全員リア充ですよ」
「えっ、自分等彼氏おるんか」
中里は四人のその告白に思わず声をあげた。
「それも全員」
「はい、そうです」
「何を隠そううち等リア充なんです」
「成績はそこそこ彼氏はいてお友達もいてしかも部活も頑張ってる」
「青春を満喫してるんです」
「てっきりいつもぐうたらに過ごしてると思ってたわ」
中里は四人のあちらの世界での適当ぶりから言った。
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