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和-Ai-の碁 チート人工知能がネット碁で無双する

作者:笠福京世
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第二部 北斗杯編(奈瀬明日美ENDルート)
  第18話 神の一手を生むモノ

>「神の一手はコンピュータが生み出すのか?
>
> 中国リーグの雲南チームに所属する棋士がコンピュータ囲碁ソフトの開発を始めた。
> 彼は自作のコンピュータを叩いて宣言した。神の一手はこの中かから生まれる。
>
> 囲碁でコンピュータが人間の上を行くのは100年かかると言われている。
> チェスの世界で世界チャンピオンをコンピュータが倒したのは記憶に新しいが、
> より複雑な囲碁はアマ初段の実力さえあるのかないのか。
> とてもコンピュータから神の一手が生まれるなど私が生きているうちは信じられない
> 
> 私の反応を見て彼は笑う。
> オレたちは後15年でプロ棋士を倒すソフトを作るつもりだ。
>
> 神の一手といえば、北京チームと契約した塔矢行洋について質問する。
> 彼が私の質問に答えてくれた。
>
> 塔矢先生が中国でも尊敬を集める素晴らしい棋士であることは間違いない。
> 中国のプロ棋士の多くが彼が中国リーグに参戦することでリーグが盛り上がること喜んでるし、
> 中国リーグが日本囲碁界の第一人者を迎えるに相応しい舞台だと誇りに思っているよ。
>
> けど今のところ神の一手に一番近い棋士が誰かというなら間違いなく和-Ai-だろうね。
> オレの所属する雲南チームの選手たちは皆が非公式でも良いから和-Ai-と打ちたいって言ってるね。
> 賞金はいらないから、お金を払ってでも教えを請いたいって言ってるヤツさえいる。
> 
> 和-Ai-は日中英の三カ国語を使ってるけど、あれは日本人だよ。
> 断言できるね。英語や中国語の扱いで分かるよ。」
>
> 中国の囲碁ニュースサイトの記事を翻訳したものを抜粋。

 桐嶋堂が楊海の開発スポンサーの一つになったが、あの魔王を倒した世界最強の囲碁AIに先んじるのは不可能だろう。

 僕は桐嶋和に出会ったとき漫画の登場人物のようなヒトってホントにいるんだって思ったけど、世界最強の囲碁AIを生み出した人物を現すのであれば、漫画にだって出てこないような大天才だ。

 僕の記憶に残っている経歴の一部を列記する。

・子供の頃はチェスの天才として活躍 
・小学生のときに同年代で世界第2位のチェスプレーヤーになった。
・小学生のときにオセロゲームを行う人工知能のプログラムを書く
・チェスからコンピューターの世界に
・15歳のときにケンブリッジ大学コンピューターサイエンス学部の試験に合格
・17歳のとき数百万の販売数を誇る人気ゲームを開発し学費を稼ぐ
・ロンドン大学で認知神経科学のPh.D.(博士号)を取得
・2007年に発表した論文が『Science』誌が選ぶ10大ブレイクスルーに選ばれている。
・彼が2011年に設立した会社は3年後に4億ポンド(約750億円)で世界的な企業に買収される。

「人生のなかで、世界的な大企業をつくることと、究極の人工知能を開発することの両方を行う十分な時間はないと分かった。
 数十億ドルのビジネスをつくりあげることと、知性を解明すること。
 将来振り返ってみたときに、どちらがより幸せだったと思えるのだろう? それは簡単な選択でした」

 こんなことを言ってしまう人間に僕みたいな凡人が逆立ちしたって適うはずがない。

 知性を解明すること、それにより世界をよりよくすることというミッションを掲げて人類史に残る偉業を行っている彼にとっては囲碁AIなどデモンストレーションに過ぎないし通過点の一つだ。

 それでも夢見てしまうのだ。機会に手を伸ばそうとしてしまう。

 囲碁の神様がいる世界で僕たちが先にトッププロと戦える囲碁AIを世に出すことを。

 たとえ神の一手には届かないようなものだとしても……。

 人類を倒した「最初の碁」に連なるという誘惑。 
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