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東方仮面疾走

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0.begins night

 目を覚ましたら。俺は真っ暗な空間にいた。
 ここはどこだ?そもそも、何でこんなところに俺はいるんだ。
 ていうか、俺さっきまで何をしてたんだっけ?
 そうだ、確かレースに参加してて、フルスロットルで突っ込んで、ギリギリ曲がろうとして、膨らんだんで、そのまま車と一緒に、吹っ飛ん、っ!?■■■■■!つっても、あんなに派手にやっちまったからな。無理だったんだろうな。俺も諸共。
 結局、果たせないのか。俺が唯一守ろうとした約束を。我が友、■■■00と最期まで、












 暗い。
 私は気づいたら暗く寒いところにいた。
 ここから離れたいことは山々だが、あのときにイってしまったのだろう。ライトはつかず。エンジンもかからない。極めつけに私を手足のように自在に操り共に駆けていたあの人がいない。恐らく、あの事故で死んでしまったのだろう。
 あの事故は分かり切っていたことだ。私も歳だった。一度は修復不可能と言われるまでの傷や負担が私にはかかっていたのだ。一部部品の老朽化など、免れないこともあった。レース間近の時に別の車の方がいいとほかのライバルから言われたほどだ。
 うちの大将はエンジニアとしての腕も良かった。私は元々曰く付きだった。それでも走り続けた。そのたびに何人ものドライバーを犠牲にし、その命を喰らってきた。長年放置された私は、所々修復不可能とまで言われ、もう走ることが不可能のところから他の車と競い、勝てるまでにしてくれた。
 大将との走りは気持ちがよかった。
 大将はこんな私にも『一緒にてっぺん取ろう』と言ってくれた。
 しかし、ここいらが潮時だったのだ。わかっていたのだ。
 でも、有頂天になっていたようだ。








 俺にはもう、■■■■■に合わせる顔がない。
 一方的かもしれない。それでも、約束を、誓いを違えたのだ。『■道最速という称号を花の手向けにする』と。
 赦されるとは思えない。ただ、もし、叶うならば、














 あの人は私が殺したようなもんだ。自業自得、と言う人もいるんだろうな。だが、私が張り切りすぎたようだ。出しゃばりすぎた結果死んだ。
 だから、赦されるとは思わない。あの人の代わりでも何でも構わない。














「『まだ、一緒に走りたい』」














「………い、………ぶ……だぜ?」
 ん?なんだ。また場面変化か?多いな。今度は俺はどこに来たんだ?地獄か?それともいきなり来世か?え?天国の選択肢?公道をバリバリスピードオーバーしまくって暴走族まがいのことをやりまくってた中年のおっさんが天国はないだろ。
「おーい。大丈夫なのだぜ?」
 目を覚ますと今度は森の中だ。目の前には金髪の魔法使いの格好をした女の子がいた。どうやら俺を起こしたのはこの子みたいだ。
「……………んん、ここは?」
 どうやら、地獄でも天国でもないらしい。
 少し不気味な森だ。
「それはここの森のことを指してるのか?それとも地名のことを言っているのか?」
「………どっちもだな」
 そもそも、俺さっきまで首都高走ってたよな。何で森に行んの?
「この森は『魔法の森』。この霧みたいなのには毒が少し含まれてるからできることならあまりすうなよ。耐性がない奴が吸うとぽっくり死ぬからな。そして最後に、ここは『幻想郷』だ」
「………?幻想郷?」
 どこだ?そこ?そんな地名聞いたこともない。てことは、
「ここはあの世か。確かに死んだし納得だな」
「いや、あの世じゃねーんだよな。ここは現代で忘れられたものとかがくる場所なんだけどな。たまに向こうで死んだ奴も来るって話だしな」
 やっぱり、死んだのね。俺。オワタ。
「ところで何だけどよ」
 俺がマジで死んだことにうなだれていると、目の前の子が興味深そうな目で俺?を見ていた。
「お前の後ろにあるそれ、なんだか心当たりあるか?」
 ああ、俺じゃないのね。
 ………………今日はカルチャーショックが多いね。何とも気まずいな。まるで喧嘩をした友達と休みの日にばったり会っちゃうみたいな感じだ。まあ、その通りなんだけど、果たしてこれは運命なのか?
「この横に書いてあるのは何なんだぜ?」
 そのずんぐりとしたその体躯にはいやに見覚えがあった。。
 マフラーは控え目なだが確かな改造マフラーが、そのシルバーのリアサイドには『Raven』と綴られたバイナルステッカーが、そして必要か?と思うほどのど派手なGTウィングがつけられていた。
 自分の目が信じられずポッケをまさぐってみると案の定車のキーが入っていた。
 そうそれは、俺とともにあの時死んだ『S2000』だった。 
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