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レーヴァティン

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第十九話 紹介その一

           第十九話  紹介
 源三は薬を調合し終えた、そのうえで依頼主に連絡を送るとすぐにその金持ちが来たのだが。
 その依頼した老人を見てだ、久志はこれ以上ないまでに眉を顰めさせてそのうえで源三に金持ちを横目で見つつひそひそと囁いた。
「おい、どう見てもな」
「ご老人にはだよね」
「見えないんだけれどな」
 見れは顔には皺が少なく四十代に見える、黒々とした長髪で口髭を生やしているが左右から顔を大きく突き出して生えている。
 背丈は余裕で二メートルを超えている、そして筋骨隆々とした見事な体格が豪奢な服に覆われていても浮き出ている。
 その依頼主を見てだ、彼は言ったのだ。
「四十代位でな」
「しかもだね」
「滅茶苦茶強そうだな」
「うん、実はレスラーでもあってね」
「レスリングだよな」
「十代から今まで無敗らしいよ」
「ハルク=ホーガンみたいだな」
 アメリカの偉大なレスラーの名前を出した。
「身体つきは。それも極盛期のな」
「ホーガンさん言うんだ」
「好きだからな」
「いい趣味してるね」
「そうだろ、プロレス好きでな」
 それでとだ、久志はさらに言った。
「あの人昔から好きなんだよ」
「そうなんだね」
「それであの人が依頼してか」
「うん、それでね」
「後妻さんを迎えてか」
「それでなんだ」
 源三も久志に囁いて返した。
「お薬飲んで」
「いらねえだろ、あの人なら」
 外見だけでなく気もかなりだ、精力ではなく覇気それもかなり強いものを感じるまでだ。
「精力剤とかな」
「一応年齢七十四だよ」
「四十七歳より凄そうだけれどな」 
 数字を逆にして言ってみせた。
「十代にも勝てそうだな」
「いや、何でもね」
「夜の方はか?」
「何でも一日十五回してとか奥さんに言われたらしくて」
「そんなの出来るの十代位だろ」
 回数を聞いてだ、久志は即答で返した。
「それか馬だな」
「だから馬並みになる為にね」
「自分に薬頼んだか」
「そうみたいだよ」
「その奥さんも凄いな」
 一日十五回と頼んだ彼女もというのだ。
「素で言ったんだろうな」
「多分ね」
「そこまでは幾らあの人でも無理だろ」
「だから僕に頼んだんだよ」
「そういうことか」
「奥さんに応える為に」
「というかその奥さん見たいな」
「あっ、一緒にいるよ」
「えっ、何処だよ」
「ほら、ここに」
 見ればその筋骨隆々の大男の横に身長一メートル四十もない小さな赤いドレスの少女がいた。金髪を奇麗に伸ばしていてアイスブルーの可愛らしい瞳と楚々としたピンクの唇を持っている。
 その少女を見てだ、久志はまた源三に囁いた。
「若作りか?」
「あれで二十代だって」
「そうか、童顔なんだな」
「納得するんだ」
「あの顔で一日十五回しろって言うのは納得出来ないけれどな」
 それでもというのだ。 
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