八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる
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第百二十一話 夜の天使その十
「今日のお昼に行ってきた」
「そうだったんですか」
「サウナ等に入って楽しい時間を過ごした」
「僕も畑中さんと一緒に入りました」
男二人でだ、畑中さんの年齢を全く感じさせない引き締まったスタイリッシュな体格も見させてもらった。こう書くとそうした趣味があるみたいだけれど。
「あそこは」
「いい風呂だったな」
「確かに」
「そうした場所もあるから」
お風呂もとだ、ダオさんがまた話した。
「いいのよ」
「そうなんだね」
「オランダだけれど色々な国があるでしょ」
「お風呂は日本かな」
「サウナは北欧かロシアね」
「そちらだね」
「ドイツもあればフランス、イタリア、スペインもあって」
そうした国々の趣もというのだ。
「オーストリアもある?」
「オランダを含め全てハプスブルク家の領地だったからか」
井上さんも言った、神聖ローマ帝国そしてオーストリア=ハンガリー帝国の帝室として欧州に長い間権勢を誇った名門中の名門だ。歴史の教科書にもよく出て来る。さっきダオさんが言ったフランスとは長年戦ってもいて大きく勝ち越している。ナポレオンにはかなり負けたけれど最後には勝っているから凄いと言えるだろうか。
「それは関係ないか」
「フランスは違うでしょ」
「そうだな」
「嫁ぎはしたのよね」
「マリー=アントワネットだ」
この人はそのハプルブルク家の女帝マリア=テレジアの末娘だった。尚女帝といっても一応ご主人が皇帝だったらしい。自他共に認めるお飾りだったにしても。とはいってもお飾りつまり傀儡になるにもそれなりの能力が必要だったりするのはプロ野球のコミッショナーを見ていればよくわかると一族の叔父さんの一人が言っていた。
「あの人がそうだった」
「ベルサイユの薔薇の」
「そうだ、ヒロインだったな」
「悲劇のね」
オスカス、そしてハンス=フォン=フェルゼン伯爵にとっても・
「こっちの漫画を読んだわ」
「面白かったな」
「好きな漫画の一つよ」
「その漫画の通り嫁いではいた、しかしだ」
それでもとだ、井上さんは自分の言葉を訂正して言った。
「フランスはハプスブルク家の領地ではなかったな」
「ブルボン家よね」
「その前はヴァロワ家、その前はカペー家だった」
カペー家の分家筋がヴァロワ家でそいのヴァロワ家の分家筋がブルボン家だ。
「そうだった」
「そうよね、それでお話戻すけれど」
「このハウステンボスのだな」
「スイスもあるし」
「またハプルスブルク家だな」
「それどころか日本やアメリカ、中国もあるから」
日本にあるから当然としてそうした国々からの観光客の人達の為だろうか。というか日本を含めてこの三国の人達は世界の何処でもいると聞いたことがある。あとユダヤ人もそうだし最近は韓国人もだと聞いた。
「ここまで国際色豊かな場所を続けるとか」
「ないんだね」
「ちょっとね」
それこそというのだ。
「知らないわ、ダオは」
「だからこそ」
「そう、ずっとあって欲しいわ」
ダオさんは心から言った。
「本当にね。あと宗教が違うけれど」
「宗教って?」
「ダオは仏教徒なのよ」
こう前置きしてきた。
「正直に言うとね」
「あっ、そうだったんだ」
「ベトナムのね」
仏教といっても色々だ、日本の仏教なんてそれこそどれだけ宗派があるかわからない位に存在している。
そして日本の仏教と東南アジアの仏教も違う、それも同じ仏教かと見ていて思う位に違っている。
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