転生とらぶる
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ペルソナ3
1812話
差し出された、魔力を高める指輪。
それを見たゆかりは、シュークリームを食べるのを止め、じっと俺の手の中にある指輪を見る。
そして数秒……いや、数十秒が経ち、ようやく我に返ったかのように口を開く。
「え? ちょっ、アクセル!? 一体何よこの指輪! まだ私は高校生なのよ? 幾ら何でも、気が早いってば!」
「うん? この指輪はゆかりに付けて貰う為に用意したんだけどな」
「わ……私の為に?」
「ああ。この指輪はゆかりの為に用意した代物だ」
「へ、へー……そ、そうなんだ。私の為に……」
何故かゆかりの手は、動揺したかのようにかなり震えていた。
何があったんだ? もしかして、指輪は苦手だとか?
普通に考えれば、指輪が苦手なんて事はないと思うが、それでも人によっては指輪に何か深いトラウマを抱えており、それで指輪を嫌っている……そんな可能性も十分にあるだろう。
「ああ。これがあればイオもガルをもっと使えるように……ゆかり?」
ピタリ、と。
まるで一時停止のボタンを押したかのように……もしくはゆかりだけ時間が停まっているかのように動きを止めたゆかりの姿に、首を傾げる。
そして数秒が経ち……まさに、ギギギという効果音が相応しい様子でゆかりは俺に視線を向けてくる。
「ね、ねぇ。この指輪……どういう意味があるのか、聞いてもいいかしら?」
微妙に頬が引き攣っているような気がするが、どうしたんだ?
ゆかりの様子に微妙に疑問を抱きながら、俺は当然のように説明する。
「どういう意味って、勿論ゆかりの……正確には、イオの戦力アップの為だ。その指輪は、身につけている奴の魔力を1割くらい増やしてくれる効果を持っている。今のゆかりの状況だと大して効果の実感はないかもしれないけど、タルタロスを攻略しているうちに、かなりの効果を持つようになる筈だ。少なくても、ガルを連発出来るくらいにはな」
「……へー……そう。そうなんだ。……なら、今この指輪を使ってガルを何発撃てるか、試してみましょうか?」
そう言いながら、ゆかりは立ち上がり、タンスに向かって移動する。
そうしてタンスの引き出しの中から取りだしたのは、拳銃の形をした……召喚器。
げ、何だこれ。本気で怒ってないか? それこそ、さっき着替えを見た時よりも更に怒ってる気がする。
いや、もしかしたら着替えを覗かれたのを思い出したからかもしれないけど。
ともあれ、このままだと色々と不味い。
「さて、じゃあ俺も忙しいし、そろそろ戻るな」
慌てて部屋の中にある、俺の靴を置いてあった場所から靴を手にすると、影に沈み込んでいく。
「ちょっ、こらアクセル。待ちなさいよ!」
そう叫ぶゆかりだったが、それでも声はそこまで大きくなく……着替えに乱入した時に比べれば、かなり小さかった。
それは、一応俺に対して多少なりとも配慮した……といったところなのだろう。
ともあれ、そんなゆかりを置いて、次の瞬間俺の姿はアパートに戻っていた。
「……ふぅ」
無事に逃げ切れた事、そして何よりゆかりに寮の中でペルソナを使わせなかった事に、安堵する。
まぁ、声の大きさを考えると、実際はそこまでやったりはしなかったと思うのだが。
そんな風に考えていると、まるで俺が安堵するタイミングを待っていたかのように携帯が鳴る。
……そして当然、そこに表示されている名前はゆかりの名前な訳で……
一瞬、見なかった事にしてスルーしようかとも思ったのだが、もしそんな真似をすれば後が怖いというのもある。
結局は観念し、携帯に出た。
「もしもし」
『……アクセル、弁明は?』
「弁明って言われてもな。そもそも、何でそこまで怒ってるんだよ」
『はぁ……あのねぇ。まぁ、いいわ。アクセル、あんたモテないでしょ?』
突然の言葉だったが、俺はそれに頷く事は出来ない。
何故なら、もしここで俺が頷いてしまえば、ホワイトスターにいるレモン達に恥を掻かせてしまう事にもなりかねないのだから。
「そんな事はないぞ。これでも恋人はいる」
『え? 嘘』
何故か素の声でそう言ってくるゆかり。
そこまで信じられないか?
「一応こう見えても、10人以上恋人がいるんだ」
『へー……10人、ね。ふーん……』
何故かゆかりの言葉がかなり冷たくなっていく。
それこそ、体感的にはどこの冷蔵庫……いや、冷凍庫だと言いたくなるような、そんな態度。
「どうした?」
『別に、何でもないわ』
そう言うゆかりだったが、間違いなく今の一言がゆかりにとって何らかの意味を持っていたのは明らかだった。
俺に対する態度が、先程までとは全く違うのだから。
「そうか? 何か様子が……」
『何でもないわよ。気にしないで。それで、この指輪は魔力を上げるって事だったけど、それは本当なの? 少なくても私が嵌めてみた限りだと、そんな実感はないんだけど』
「その辺りは、元々持っている魔力によるだろうな。……ゆかり、RPGとかのゲームは……しないよな?」
『そうね』
今時の女子高生――俺にとっての今時がいつなのかは不明だが――のゆかりだ。
RPGとか、そういうのを基本的にやらないというのは予想出来たし、実際ゆかりの部屋にもゲーム機とかはなかった。
いや、もしかしたらパズルゲームとかそういうのはやった事があるかもしれないが、本格的なRPGの類には手を出さない筈だった。
「なら、分かるかどうか微妙なところだが……あの指輪は、簡単に言えば魔力……MPを増やす指輪だ。魔法の威力の上下に直結する意味の魔力じゃなくてな。……分かるか?」
『そう、ね。何となくは分かるわ』
どうやら分かったらしい。
その事に安堵しつつ、俺は再び説明を続ける。
「とにかく、そんな訳でまだ実感はないかもしれないが、ゆかりが……いや、この場合はイオがって表現した方がいいのかもしれないが、そのイオが強くなればなる程、その効果を実感出来る筈だ」
『……ふーん。取りあえず信じておいてあげる。けど、この指輪は一体どこで手に入れたの? もしかして、私を置いてタルタロスに行った?』
「いや、違う。ほら、以前荒垣がアクセサリー屋が桐条グループと繋がってるって話をしてただろ?」
『ちょっと、もしかしてそこで買ったの!?』
桐条グループに対して思うところがある為だろう。ゆかりは、俺の言葉に目を見開いてそう告げてくる。
だが、俺はそれに首を振り……この携帯でやり取り出来るのは声だけだったと思い出し、否定の言葉を口にする。
「買ったというか、向こうが知らないうちに買ってきたというのが正しいだろうな」
『……え? どういう意味よ?』
俺の言っている意味を理解出来なかったのだろう。
ゆかりの声が訝しげなものになる。
「ゆかりも知っての通り、俺には影のゲートがある。それを使えば、店の中に侵入するのも難しい話じゃない」
『ちょっと、もしかして盗んできたの?』
部屋の外に声が聞こえないようにか、ゆかりはそっと尋ねてきた。
「一応代金を……それも恐らく、数倍……下手をすれば数十倍の価値がある金塊を置いてきたんだから、盗んだって訳じゃないと主張したいところだな」
『金塊って……アクセルって、本当にやる事が無茶苦茶ね』
俺が盗んだ訳ではないと知り、ゆかりは安堵の息を吐く。
……まぁ、店に夜中に忍び込んだって時点で、既に犯罪なんだけどな。
だが、ゆかりはその辺りの事には気が付いていないのか、それともそのくらいなら許容範囲だと認めているのか。
ともあれ、それ以上口に出すような真似はしなかった。
「そうか? 俺にとってはそうでもないんだけどな」
今まで、同じような事を何度も繰り返してきたからだろう。
それこそ、転移魔法を使って敵の施設に忍び込むというのは、俺の常套手段だと言ってもいい。……まぁ、今回はまだ敵対していない相手だという事で金塊を置いてきたのだが。
『……まぁ、いいわ。それで、盗んで……いえ、強引に買ってきたアクセサリーは、アクセルが置いていった指輪だけなの?』
取りあえずその辺りについてこれ以上突っ込むのは諦めたのか、ゆかりは改めてそう尋ねてくる。
「いや、他にも何個かあったけど、俺が見て効果が分かったのか、その魔力を上げる指輪と防御力を上げる腕輪だけだったんだよ。他にも指輪が1つと腕輪が4つあるけど、残念ながら俺にはその効果は分からなかった」
『アクセルにも効果が分からないの?』
「ああ。もっとも、俺は別に鑑定系の能力がある訳じゃないしな。身につけてみて、それでどういう効果があるのかを確かめただけだ」
ステータス云々の話は、今はいいだろう。
もしそれを話せば、ゆかりは本来知らなくてもいい秘密をまた1つ知ってしまう事になる。
……そうなれば、本来なら巻き込まれなくてもいいようなトラブルに巻き込んでしまう事になるしな。
『じゃあ、残りの指輪と腕輪はどうするの? 店に戻してくる?』
「一応金を……いや、金塊を払ってきたんだから、そのつもりはない。一応この指輪や腕輪がどんな効果を持ってるのか、知る方法はあるし」
『どうやってよ?』
「簡単だ。知ってる奴に聞けばいい。この場合は、荒垣にな」
また桐条グループに聞くのかと言われるのも面倒だったので、取りあえず先回りして、そう告げておく。
それが功を奏したのか、ゆかりは不満を口にはしなかった。
まぁ、荒垣もこれがどういう効果を持っているのか分からないという可能性はあるが……その場合は、ゆかりに内緒で桐条グループに聞いて貰ってもいいかもしれないな。
もっとも、そうなれば店からアクセサリーが盗まれてから時間が経ってないにも関わらず、そのアクセサリーはどんな効果があるのかと聞かれるのだ。
間違いなく、今回の一件と合わせて怪しまれるだろうが。
その辺、悩みどころだな。
タルタロスに行った時に、ゆかりや荒垣の安全度をできる限り確保する為にも、指輪と腕輪の効果は出来るだけ知っておきたい。
勿論、俺がお土産用に確保したという一面もあるのだから、具体的にどのような能力を持っているのか知っておきたいという一面もあるのだが。
『荒垣さんに、無理させてない? 何だか、何かある度に荒垣さんに頼ってるような気がするんだけど。……まぁ、何も出来ない私がこんな事を言うのもどうかと思うけど』
「そうは言ってもな。実際、荒垣に聞くのが一番面倒がないのは事実だし。もし荒垣を通さないで情報を得るなら、それこそ影時間について研究している桐条グループの研究所とかに忍び込んで研究員を強引に連れてくるか……もしくは、いっそ研究所に殴り込みを掛けるしかないぞ?」
『荒垣先輩に頑張って貰いましょう』
あっさりと考えを変えるゆかり。
桐条グループに対し、色々と思うところはあるのだろうが……それでも怪我人や、ましてや人死にを出したいとまでは思っていないのだろう。
俺も無意味に人を傷つけようとは思っていないので、ゆかりが考えを変えてくれて助かった。
……ただ、俺の考えとゆかりの考えは、同じようでいて微妙に違う。
ゆかりは絶対に人を傷つけたくはないと思っているが、俺は必要がないなら、出来れば人を傷つけたくないという感じだ。
それは逆に言えば、必要があれば人を傷つけられるという事を意味しているのだ。
この辺りは、これまでの人生経験の違いだろうな。
何故か俺の人生、常に戦いと共にあった感じだし。
ぶっちゃけ、平穏な日々だったのは前世の記憶を取り戻してから暫くくらいじゃないか?
結局ある程度時間が経った頃、テロに巻き込まれたが。
一応向こうの世界のリョウトが死んだあの件は、テロになるんだよな?
どこぞの腐敗政治家だか軍人だかが関わっていた筈だが……やっているのは、間違いなくテロだったし。
そして士官学校に行き、そこでは軍人になる為の訓練を受け、シャドウミラーにスカウトされ、反乱を起こし……うん、色々な意味で俺は戦い続けてきたと言えるだろう。
ともあれ、そんな俺とちょっと前まで一般人だったゆかりでは、当然のようにその辺の考えが違っているのだろう。
「分かった。なら、これから荒垣に電話して、話を通してみる。……もし指輪や腕輪にもっといい効果があったら、そっちを身につけて貰う事になるかもしれないけど、構わないか?」
『ええ、それは別に構わないわ。……ただし、今度は妙な勘違いをさせないようにしてよね』
「妙な勘違い?」
『っ!? な、何でもないわよ。それより、荒垣さんに連絡を取って効果が分かったら、私にもきちんと教えてよね』
そう告げ、ゆかりは通話を切る。
……何だ? 最後はかなり忙しいというか、急いでいた感じだった。
ともあれ、荒垣に電話をしてみるとしよう。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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