夢幻水滸伝
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第十九話 四国上陸その十
正岡は全軍に海岸で敵を迎え撃ち上陸してきたその瞬間に総攻撃を仕掛ける様に命じた、それは翼人や空船にもだった。
そうして敵を待ち受けるとだった。
空からだ、烏天狗の兵が言ってきた。
「棟梁、大変です!」
「どうしたんじゃ」
「空から八岐大蛇が来ます!」
「八岐大蛇か」
「はい、あの蛇は」
「間違いないんじゃな」
正岡は烏天狗の兵に問い返した。
「八岐大蛇じゃな」
「巨大な姿に頭と尾が八つずつです」
兵はその外見の特徴を話した。
「間違いありません」
「そうか、まさかここで来るとはのう」
正岡は兵の報に鋭い顔になって述べた。
「思わんかったわ」
「そうですね」
織田も正岡に応えて言う。
「まさか姫巫女殿が出られるとは」
「予想外じゃった」
「普段は都におられるので」
「何か最近都から出るみたいじゃな」
「前も東海との戦に出ていましたし」
「関西の方の状況が変わったか」
「あの方が都を離れても大丈夫になった」
織田はこう考えた。
「そういうことでしょうか」
「そうかものう」
「神星が三人になり」
「あと山陰も手中に収めてるしのう」
「それで、でしょうか」
「そうかもな、それで出て来たか」
四国での戦にというのだ。
「正直玲子ちゃんのことは考えてたけどじゃ」
「それがですね」
「姫巫女さんもとなるとな」
正岡はまた言った。
「手強いのう」
「全くですね」
「しかしじゃ」
「はい、来られたからには」
「相手せないかん」
敵だからこそというのだ。
「やったるか」
「そうしましょう、我等にも意地があります」
「そういうことじゃ、おまん等もええか」
正岡は兵達にも問うた。
「逃げたい奴は逃げてええけどな」
「いえいえ、ここまで来ればです」
「もう逃げません」
「ですから安心して下さい」
「お二方と何処までも一緒ぜよ」
兵達は正岡に笑って返した。
「だから戦いましょう」
「火の中でも水の中でも」
「四国モンの意地見せたりましょ」
「そう言ってくれるか、ほなじゃ」
正岡は兵達の言葉も受けて笑って返した。
「やってやるわ」
「はい、それじゃあ」
「今からです」
「思う存分戦いましょう」
兵達は正岡達への信頼を見せた、そうして迫り来る関西の軍勢を待った。するとすぐにだった。
あの鉄の船の船団が来た、その旗艦三笠からだ。
吉川は海岸の敵軍を確認して全軍に言った。
「よし、ではだ」
「今からですね」
「上陸ですね」
「敵を攻めて」
「そうして四国に入りますか」
「そうする、姫巫女様はもう上におられる」
見れば空船や翼人達の先頭に八岐大蛇がいる、その雄姿を見せている。
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