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レーヴァティン

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第十八話 素材その五

 そのうちの一匹を拾って収めてだ、彼は帰ろうとしたが倒したウォーターリーパー達のうちで金になっていない者達のそれを見てだった。彼は村に行って村人達に対してこんなことを言った。
「なあ、ウォーターリーパー結構倒したんだがな」
「おいおい、あんた生きてるのか」
 先程の村人が久志の姿を見て驚いて言った。
「食われずも噛まれずもな」
「ああ、幽霊じゃないぜ」
 久志は笑って自分を右手の親指で指し示しつつ話した。
「この通りな」
「そうだな、鏡にも映るよな」 
 幽霊は魂だけなので鏡には映らないというのだ。
「ちゃんとな」
「じゃあ鏡持って来てくれるかい?」 
 これが久志の返事だった。
「今から」
「よくわかったぜ、その言葉で」
「そうだろ、それでちょっと車でも借りてな」
 運ぶものをというのだ。
「倒したウォーターリーパー持って来るからな」
「それをか」
「ああ、皆で食わないか?」
「あんたと俺達でか」
「そうしないか?」
 笑って言うのだった。
「これからな」
「サービスいいな、あんた」
「自分が倒したモンスターの肉振舞ってくれるなんてな」
「縁も所縁もないわし等に」
「俺一人じゃ食いきれないからな」
 そのウォーターリーパーの肉をというのだ。
「一匹が結構でかいしそれが何匹もだかなら」
「ああ、何匹もいたらな」
「この村全員で食えるな」
「肉は結構美味いし」
「焼いても揚げてもいいしな」
「生じゃ食わないのか?」
 久志は刺身を念頭にして村人達に聞いた。
「そういうのはないか」
「肉を生!?」
「あんたそんな食い方するのか」
「そんなので食わない方がいいぞ」
「後が大変だぞ」
 村人達は彼のその言葉に血相を変えて言った。
「そんな食い方止めろ」
「あたるぞ」
「虫にやられて死ぬぞ」
「絶対にその食い方はするなよ」
「止めろよ」
「この地方はそうか、まあ川のものだしな」
 久志は村人達のその言葉を聞いて言った。
「そうして食わない方がいいな」
「ウォーターリーパーの肉はよく火を通すさ」
「焼いても揚げてもな」
「煮ても美味いけれどとにかく火を通す」
「そうして食わないと駄目だぞ」
「虫が多いしな」
「ああ、如何にもって感じだな」
 ウォーターリーパーに寄生虫が多いと聞いてだ、久志は納得した。川の中にいるということだけでなく雑食性であることからも想定したのだ。
「絶対に生で食わない方がいいな」
「じゃああんたは蛙を生で食うのか?」
「そんな気色の悪いことをするのか?」
「本当に止めろよそんなことは」
「絶対にな」
「そうだよな、まあとにかくそれはいいさ」 
 生、つまり刺身はというのだ。
「揚げるか塩焼きかオリーブでカラッとだな」
「あとトマトと一緒に煮ても美味いんだよ」
「鶏肉に近い味だしな」
「じゃあ早く運んできてくれ」
「車は貸すからな」
「そうしてくれよ」
「ああ、じゃあな」 
 久志も頷いてだった、そのうえで湖の方に戻りウォーターリーパーの躯達を運んできた。そして車に乗せられた彼等を見てだった。村人達はまた話した。 
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