シークレットガーデン~小さな箱庭~
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シレーナの封じた過去編 -5-
第ニ階層
「ん……ここは村?」
「みたいですね。のどかでいいところですね~、ご主人様♪」
「そうだね」
「私とご主人様の愛の巣もこんなのどかな場所に建てたいですね♪」
「………」
パピコさんの最後の話は横に置いて。村を探索する。
『そうね~』
『それでね~』
『きゃはははっ』
『待て待てー』
おばさん達が井戸端会議をしていたりちょっとやんちゃすぎる感じの子供達が、駆けまわっている。
「もうっ! 元気よすぎますよねっ。ぶつかったらどうするんでしょう」
「まぁまぁ。子供は元気が取り柄なんだからさ」
「もぉ~~ご主人様は優しすぎです!」
まぁまぁとパピコさんをなだめているとさっきまでにぎやかだった村が一気に静かになってた。
みんな同じ方向を見ている。なにを見ているんだろう、と僕も見てみるとそこには
「あ……シレーナ」
紙袋を抱えて俯いて歩いているシレーナだった。
第一階層でみた元気な覇気がなく今のシレーナに少し近いような暗く元気のない表情。
『えいっ!』
『キャッ!』
「えっ!?」
ある一人の男の子がシレーナに向かって石を投げつけた。
石はシレーナの目の近くに当たって頭から血が流れる。それを見た子供たちは次々に石をシレーナに投げ始めた。
『出て行けーーー!!』
『出てけー!』
『魔女ー!』
『………』
「まじょ?」
『まぁ汚らわしい!もうこの村には寄り付かないでと言ったはずでしょ!』
『いやぁ~ね。見てくださいよ、リブスさん家のお子さんがまた外に出てますよ』
『そうですね。まったく、汚い菌をこっちに移さないで欲しいわね。魔女の子が!』
『そうですよねぇ~』
子供だけでなく大人たちまでシレーナを汚いもののように見て陰口をたたいている。
『うぅ………』
『あっ!魔女が逃げたぞっ。ははっ、そのまま森の化け物に食われちまえっ!』
何ながら立ち去っていくシレーナに向かってヒドイ言葉を吐く子供達。
「あの!」
『なっ、なんだいあんたは』
「ちょっ!?ご主人様」
居ても立っても居られれず、大人たちを問い詰めた。
「どうして彼女が魔女なんですか!?」
『な、なんでってねぇ~』
『そりゃあねー』
『あんな両目の色が違う子なんて魔女以外の何者でもないわよね~』
「そんな…そんな理由で……」
『なんだいあんた!あの子の肩もとうってのかい?』
『こいつらも魔女の仲間だーー!』
『きっとそうだわ!キャー』
「……僕はっ!」
「ご主人様。お気持ちはわかりますが、ここは引きましょう。次の階層への扉も開きましたから」
無理やり引っ張るパピコさんに負けて僕は石やナイフを投げてくる村人たちから逃げ村を後にした。
「……知らなかった。こんなイジメにあっていたなんて…」
次の階層への扉へ向かっている途中僕は自分が情けなくて……言葉が出た。
「プリンセシナは、誰にも知られたくない封印した記憶が創りだした世界、なんです」
「………」
分かってはいた。理解してたつもりだったけど……ここまで辛いものだったとは…。僕の覚悟は半端なものだった。
「……帰りますか?」
僕の事を心配してパピコさんは言っいる
「このまま下へ下へと進んで行くと今のよりもっと重く苦しい記憶の一部を見ることになりますよ。それでも進みますか?」
もしここで僕が引き返せばシレーナは確実に穢れになってしまう。
僕が…僕が頑張らないと!
「いやっ行くよ。こんな所で諦めたら駄目なんだ!」
「キャンッ♪それでこそ私の惚れたご主人様でございます」
「行こう、パピコさん!」
「はい♪」
止まっちゃ駄目だっ!辛くても押しつぶされそうでも止まったらそこで終わりなんだ。
僕には助けを待ってる人がいるんだ! だから前へ前へ進まないといけないんだっ!!
新たに覚悟を決め直し第三階層と書かれた扉をくぐった。
たぶん。シレーナは僕が想像してたよりも重たく辛く壮大な人生を歩んで来たんだと思う…。
だからこそ僕がしっかりしないとっ!
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