レーヴァティン
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第十七話 学術都市その十六
「トリカブトやベニテングダケ持って来る、あとフグとかな」
「全部毒だけれど」
「そんなエロ爺には相応しいだろ」
まだ私情を入れていた。
「ふざけるなってんだ、俺にもそんな娘紹介しろ」
「その人に妹さんいるらしいよ」
「妹さん?」
「お姉さんと同じく絶世の美女で聖女さんらしいよ」
「それじゃあその人をか」
「働き次第で紹介してもらえるかもね」
「俺達が若返りの薬の素材を集めて薬が出来たらか」
久志は目が光った、色に対して。
「そして俺もか」
「その人と交際出来るかも」
「よし、乗った」
久志の考えが変わった、それも一八〇度。
「せめてこっちの世界じゃ彼女欲しいからな」
「君あっちの世界じゃ一人なんだ」
「彼女何それ食えるかだよ」
「そうだったんだ」
「それでだよ」
「こうした話ならだね」
「ああ、乗るぜ」
「まあ動機は不純だけれど」
それでもとだ、源三もよしとした。
「頼むね」
「ああ、全ては彼女の為にな」
ここでも己の考えを率直に言った久志だった。
「やってやるぜ」
「そういうことね」
「よし、皆やろうな」
久志は意気込んだまま順一と智にも言った。
「素材全部集めてやろうぜ、一気にな」
「じゃあどんな素材が必要か教えてくれよ」
智は冷静に源三に言った。
「今からな」
「うん、じゃあね」
「それで何が必要かな」
「話すよ」
こうしてだ、まずは素材の話をすることになった。それは源三の旅立ちの儀式でもあった。
第十七話 完
2017・5・12
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