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提督していない提督による騒がしい日常

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シンカイ化

 
前書き
こんにちは、こんばんは、そしておはようございます
いまは違う作品を書いていてちょっと遅れております
まあそっちも全然進んでないんですがね!!
なにはともあれゴミクズみたいな私ですが
まだまだ出しますのでどうぞよろしくお願いします
それではどうぞ 

 
とあるイベントの1日
ある一つの事件が起きる
それは世間からすると嬉しくもあり、希望が見えた出来事で
鎮守府、もとい深海棲艦と戦っている者達からすると驚愕の出来事だった
その出来事とは...
『深海基地、一夜で壊滅』
だった
本来、深海側の基地は短くて1週間、長くて1ヶ月かけてゆっくりと攻撃するものである
提督達からはイベント、と呼ばれていて、基地を作り、活発に動き始める時期らしい
それを1日、ましてやとある1人の人物がやったとなると
これは一つの事件だった
〜事件前〜
「なあ飛龍、今回のイベント、調子はどうだ?」
俺は執務室で飛龍に調子を聞く
「まあまあってところだね、良くも悪くもない、けど被害も軽いし、行けそうだよ」
「そっか」
と短く答え、制帽を目を隠すよう深く被る
「このままの調子で頼む、被害は出したくねぇから」
わかった、と飛龍も短く答え、執務室を後にする
さて、どうしたものか
いつもより被害も軽く、なにより敵の戦力がいつもより控えめだ
突破されるのを予想して、奥地に戦力を...?
そんなことをする頭が向こうにあるのか?
深海側にも提督が着任した?
いや、進化したというほうが正しいのか?
おかしい、何かが違う
向こうに司令塔が出来たことを想定するならこのまま奥に進んでいいのか?
奥に行ってどうなる...
いつものイベントならいつもギリギリで押し勝ってきてる
けど戦力が集中しているとなると
その前で被害が少なくても1度で持ってかれる確率のほうが高い
「なんだ...なにがある...?」
「あんたが悩んでどうするのよ」
扉を開き、現れたのは曙だった
「あんたが潰れちゃ意味がない、あんたは迷わず進めばいい」
「それを信じて進むのがあたし達の仕事で」
「迷って決断を遅くするのはあんたの仕事じゃないわよ」
そうだな...上が潰れちゃダメだったな
「すまん、曙」
礼はいらないわ、そういって部屋を後にする
なんだよ...あのイケメンは
「はぁ、なんだかんだいつも助けて貰うな、あの2人には」
考えてもしょうがないことぐらいあるか
そう考えることにして、第1と第2艦隊に通達をする
「第1、第2艦隊に通達、昨日に引き続き、イベント海域へと進軍を予定している、出撃はヒトサンマルマル、各自準備を怠らないように」
俺は気を取り直して海域の攻略に目を向けた

〜ヒトサンマルマル〜
出撃前に部隊を集合させて声をかける
「今回もイベント海域への出撃だ、各自警戒を怠らないように、基本的な指揮は飛龍、お前に託す」
「了解」
俺は制帽を目が隠れるくらい深く被り
「総員、生きて帰るように」
感情を押し殺して言い放った
艦娘達の気迫のある声が鎮守府全体に響いた

俺は司令室という出撃時に指揮を執るための部屋でじっと時を待っていた
「イベント...今回は何かがおかしい」
取り乱さぬよう頭を冷静にしながら考えていた
最深部に到達した昨日、いつもより被害が少なかった
艦娘達によるといつもより主力が少なく、止める気がないようだとのこと
今日は本格的に基地を叩く
「嫌な予感しかしないな」
そういって俺は司令室に大淀を呼んだ
すこしして大淀が部屋に顔を出す
「どうかしましたか?提督」
「ちょっと風に当たってくる」
そういって司令室に大淀を残し、外へと出た
今日の天気は憎いくらいの晴れ、のはずだった
すでに空は暗雲が埋め尽くし、雨がポツポツと降ってきていた
「とことん最悪だ、胸糞悪ぃ」
雨が滴る中、1人倉庫へと歩いていった

「アル」
人影もなく、ただ広い倉庫の中で声がこだまする
「イクノ?」
アルは奥から顔をだす
「嫌な予感がするんだ、あの日も、こんな天気だったからな」
ここが吹き飛んだ日、あの日も晴れていた空が暗雲に包まれていた
「ワカッタ、シタガウ」
アルは素直についてきてくれた
「もう、失うのはこりごりだ...」
そう呟きながら倉庫を後にした

ー飛龍ー
私たちはどんどんと奥地へと進んでいった
なにか不自然に感じる程すんなりと
「なんで今回はこんなに順調なの?」
私はずっと疑問に思っていた
「順調なのはいいことなんじゃない?」
そんな独り言に矢矧が反応する
「まあそうなんだけど...」
とてつもなく嫌な予感はする
けど...
「行かなきゃいけない、そんな気がするんだ」
私は黒雲に包まれた雷雲を見上げながらそう言った

私たちは不自然極まりない程順調に進み、奥地へとたどり着いた
ここまでの戦闘で、姫も鬼も、ましてやflagshipも見ていない
この戦力にほかの子達もいささか不安を抱くようになった
基地が肉眼で見えるくらいまで接近した時、私たちは

ただ、ただ目の前の光景に絶望するしかなかった
海を埋め尽くす程に群がる深海棲艦
姫や鬼、flagshipがほとんどだ
ざっと見積もっても500...いや、1000はいるだろう
それに対してこちらは12隻
損害も軽微で、戦闘に支障はない程度だ
だがこの数相手に損害がどうのこうのなんて雀の涙ほどの意味も成していない
「退くよ!!みんな!!」
私は恐怖で一杯の頭を目一杯働かせ、指示を出す
部隊を引き連れて脱兎の如く逃げ出そうとする
しかし、逃がしてくれるはずもなく
実に半数、500に近い数が追ってきた
「っ!!艦載機、発艦!!」
私は烈風を発艦させて、敵の艦載機を落とすことを優先する
「先に第二艦隊が帰投して!!」
第二艦隊の子達を逃がすことにして、私たち主力はできる限り応戦することにした
正気の沙汰ではないがこれしかない
すこしでも多く生きて帰らせる
それだけを考えて行動した
「大和と矢矧は牽制でいいからとりあえず撃って!!」
蒼龍と瑞鳳は各自で応戦している
私は通信を開始しようとするが
「繋がらない!?ジャミング!?」
いくらやっても繋がらない、周波数はあっている
「退きながら戦うよ!!」
繋がらない通信機をしまって、ひたすら避けながら戦う
さすがに数が数で全部避けきるなんて不可能に近い
私たちもかなりの距離を退いたが逃がす気など毛頭ないらしく
徐々に消耗していき
ついには大破艦が続出、戦闘は続行不可能までに及んだ
「...ハァ...ハァ」
中破以下はいなくなり、1番軽微なのも私がギリギリ中破、といったラインだ
「どうする...考えろ私...」
いくら考えてもこの状況では無駄、そんなことはわかっているが打開策を探す
「っ!!危ない!!」
大破状態の蒼龍に狙いが定まる
私は咄嗟の判断で蒼龍を庇った
「っ!!だ、大丈夫?蒼龍?」
「飛龍!?なんで」
「提督と約束したからね、全員生きて帰るってね」
私はボロボロの状態で蒼龍に笑いかけた
「飛龍も帰らないと!!全員じゃ...ないじゃん...」
涙を流しながら蒼龍が声を荒らげた
「どちらにせよ、私はもうダメかも...ね」
正直に言おう
航行はできない、それぐらいの被害がでた
元々少なかったわけでは無かったが、さっきのがだいぶ堪えたらしい
もう、立ち尽くすのみだった
「ほら...蒼龍もみんなもはやく行って...巻き込まれちゃうよ」
「嫌っ!!飛龍!!残してなんか行けない!!」
私はこれから来るだろう死にゆく恐怖も心の奥底に閉じ込めて言い放った
「行け!!被害はこれ以上だしてはならない!!」
そして、深海棲艦の照準は私に向いた
「ここで沈む...か」
まだしたいことなんて山ほどあったのに
まだ幸せってのも全然噛み締めて無かったのに
「嫌だ、まだ...沈みたくない...」
いつの間にか私の頬に涙が伝っていた
「死にたくないよぉ!!」
私が惨めに大声で空に向かって泣き叫ぶ
だが深海棲艦はそんなことはお構い無しに私に砲撃を開始した

そして私に当たる軌道の弾が

''目の前''で爆ぜた

爆炎が収まり、目の前が開けると
青の光が漏れだした、見慣れぬ深海棲艦の後ろ姿があった

ー???ー
冷徹な声が頭の中に流れる
『擬似シンカイ化プロセス実行完了』
『準備を開始します』
その後も次々と情報が流れてくる
敵艦総勢652隻
友軍6隻、全艦戦闘続行不可能
敵艦戦力分析...完了
およそ30分程で殲滅可能
航空機発艦、セーフティ解除
戦闘、可能です
「カイシスル」
その場から消え去るように敵へと向かう
艤装から1本の禍々しい太刀を取り出してル級の砲塔を腕ごと叩き斬る
その後ル級の頭を切り飛ばしながら他の少し遠くにいる敵艦に砲撃を撃ち込む
着弾なんて見もせずに他の敵に向かって行き、また1隻、また1隻と首を飛ばす
自分の意志とは関係なしに砲撃するが全弾命中、緻密な計算に狂いはない
1発で確実に沈める砲弾に爆弾1発で沈める艦載機、そして本体が斬りかかる
こんな鬼神に深海棲艦はたちむかうも無残に殺された
600も超えていた大量の深海棲艦は竜巻に向かう蟻のようだった
時間にして24分56秒
深海基地が壊滅した

ー飛龍ー
あれだけ大量にいた深海棲艦が
それもたった1隻に壊滅させられた
時間も30分足らずで...
その惨劇を見ていた私たちは、あまりの圧倒的な力の差に、言葉を失っていた
返り血のようなものを浴びた1隻の深海棲艦はこちらに振り向くと徐々に光を失いながらこちらへとゆっくり近づいてきた
無表情だった顔に涙を浮かべながら
正直、私はこの深海棲艦、いやこの人の正体を知っている
知っているというよりわかったの方が正しいが
私は意を決してその深海棲艦に声をかける
「お疲れ様...無茶させちゃってごめんね...」
「提督」
私はその逞しい身体をいまできる精一杯の力で抱きしめた
禍々しかった提督の艤装は段々と私たちに似た艤装へと戻っていき
「俺こそ無茶させちまったな、許してくれ」
私はその言葉に対し、あなたが謝ることはないよ、と笑って言った
「そっか、ありがとな...いま島風にロマンブースターとかいうの付けて明石運んでるからもうちょっと待ってくれ」
「え...それ大丈夫なの?」
「島風自身が楽しんでるから多分大丈夫だ」
「そ、そう...」
提督はすこし離れたところにいたみんなに手招きをしてこちらに呼んだ
「あちゃーみんなボロボロにやられてんなぁ...」
提督は1人1人それぞれに謝罪を述べる
みんなは揃って謝罪することはないと否定するがそれでも提督は謝罪を続ける
「帰ろ、みんなが待ってるからさ」
私はそう催促した
「そうだな、ちょうど島風も来たようだから」
すこし遠くから物凄い勢いでこちらへ向かってくる人影が見える
「おっ!!」
ズシャァァァァと音を立てながら島風が止まる
「明石、到着しました!!」
「運んだの私だけどね!?」
「まあまあ島風ちゃんはトンボ釣り行ってきて、ほらほら」
明石は島風の背中を押してトンボ釣りに行かせた
「ではでは応急修理しますんで皆さんこちらへ」
「バケツぶちまけた方が早かったか?」
そういって提督は艤装からバケツを取り出す
「私来た意味ないじゃないですかぁぁぁあ!!」
夕焼けを背景に明石の絶叫が橙色の空へと響いた
ー提督ー
段々と暗くなっていく海を見つめながら俺達は鎮守府へと帰ってきた
まあ俺は戻ってきて早々にぶっ倒れたが
シンカイ化の影響で身体が悲鳴をあげたらしい
一時的にとはいえ身体を作り替えるんだ
そりゃあこうなるわな
ぶっ倒れた俺は艦娘達に担がれて自室へと向かった
部屋には俺と古鷹がいる
なぜ古鷹?と思うだろう
本来は古鷹も主力なのだがいまは練度上げのお供をお願いしている
結構古参で頼りにさせて貰っていた
「まったく...提督も無茶するんだから」
「悪かったって」
「もう無茶しない?」
「...」
だんまりを決め込む俺に古鷹はため息をついた
「昔からそこだけは変わらないね」
「変えてたまるかってんだ」
古鷹はあくびをしながら立ち上がり
「今日の夜ご飯はどうするの?」
「まあ作ろうにもこんな身体じゃな、まず歩けねぇし」
「作ろうか?」
俺はそれはいいよと断った
「そっか、ならなんかあったら呼んでね」
そういって部屋を後にした
身体を起こすことも敵わない今はさすがに飯は食べづらい
ちなみに今、第一は入渠、というか風呂に入っている
バケツ使ったから入渠は必要ないし
「提督ー!!大丈夫かぁぁぁぁ!!」
噂をすればなんとやら...
飛龍がバスタオルを身体に巻いた状態で登場した
「無事だけどとりあえず雑巾がけな」
「大丈夫!!蒼龍がやってる!!」
風呂から上がったばかりの飛龍は妙に色っぽいから勘弁して欲しい
「とりあえず服を着てくれ」
「はーい」
これでいいか、と声がして布と肌が擦れる音が聞こえる
「ちょ、それ俺のTシャツ」
「まあいいでしょ、楽なんだもん」
うちは出撃以外だと私服の艦娘もちらほらいるが好んで制服を着てる艦娘もいる
「だって袴面倒なんだもーん」
いまの飛龍の服装はすこしぶかぶかのTシャツにショートパンツだけ
「なーんか違うなぁって思ってたけど髪乾かしてくれないんだったね」
なんだかんだいつも俺が髪を乾かしているが俺がこの有り様だからなぁ
「悪いが蒼龍辺りにやってもらえ」
「ん、そういえば本当に身体動かないの?」
「首なら動くぜ」
「身体動いてないじゃん」
まあ、まったく動けねぇんだがな!!
「さすがに疲れたから俺はこのまま寝るけど飯は間宮か鳳翔行ってくれ」
はーいと間延びした声を出して飛龍は部屋を後にする
「眠い...とてつもな...く...ね...む...」
どっときた疲れと眠気に襲われ、なす術なく俺は意識を微睡みに落とした 
 

 
後書き
やったぜ
提督が深海棲艦になりました
まあ当の本人がなるわけではなく
艤装から侵食される形です
まあその分元を軽く超える力を手に入れる訳ですから
負担が...ということですね
ではでは 
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