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転生とらぶる

作者:青竹
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ペルソナ3
  1801話

「うーん、やっぱりまだ行楽用の品はあまりないわね」

 巌戸台の端の方にある、いわゆるホームセンターに俺とゆかりの姿はあった。
 ……ゾンビ映画の世界に巻き込まれた時はここにやってくれば間違いないと言われてるだけあって、かなり広めのホームセンターには武器として使えそうなチェーンソーやら草刈り機やら、金槌やら釘撃ち機やら、斧やら鉄パイプやら……それはもう、様々な物が売っていた。
 だが、今回俺達の用件があるのは、ゾンビや……タルタロスを倒すのに使えそうな道具の類ではなく、レジャーシートとかそういうのだ。
 ホームセンターは、午前9時に開いたばかりでまだ客の姿はない。
 いや、駐車場には何台か車があったし、客はいるのだろうが……これだけの広さのホームセンターでは、数人の客がいても分かる筈もなかった。
 そんな具合で客の姿も殆どない中で、俺とゆかりはこれから花見に行くのに必要なレジャーシートの類を探していた。
 幸いにもと言うべきか、今日はとてもではないが冬とは思えないような青空だ。
 空には雲1つ浮かんでいない。
 ……空が高いって表現は夏の青空とかを見て使われるものなんだが、まさか冬に使えるとは思ってなかったな。
 それに、もう2月も終わりに近く、3月も……春も近いという事で、外の気温はそれなりに暖かい。
 まさに花見には絶好の日だと言えるだろう。……あくまでも、この季節に花見をするのであれば、だが。
 そんな訳でレジャーシートを買いに来たのだが、当然ながらまだ4月とか5月という訳でもないので、行楽用品の類は殆ど棚に存在していない。
 それでも若干ではあってもきちんと用意されているのは、さすがといったところだろう。
 冬にレジャーシートとか、何に使うのかは分からないが。
 取りあえず置いておいたといたところか?
 ……まさか、俺達みたいに花見に行く者がいるとは……ないな。
 取りあえず小さめの、4人用くらいのレジャーシートを選ぶ……のはいいんだが。

「何でピンク?」

 ゆかりが持っているレジャーシートを見ながら、呟く。
 そう、ゆかりが手に持っているのは、ピンクを主体にしたレジャーシート。
 模様とかもあるが、それでもやっぱりピンクというのが見た目に強い第一印象を与える。
 ゆかりの私服もピンクが使われているのを見ると、基本的にピンクが好きなんだろうな。
 ……何だかふと、ピンクのゆかりとかいう言葉を思い浮かべたが、どこの風俗の女だってイメージがないか?

「何よ? 何か文句あるの?」

 俺の視線に何を感じたのか、ゆかりは不服そうな視線をこちらに向けてきた。
 ピンクのゆかりについて何かを考えた訳ではなかったらしいので、その辺りはともかくとして……

「いや、ちょっと派手じゃないかと思ってな」
「そう? 可愛いと思うけど……駄目?」

 小首を傾げて尋ねてくるゆかり。
 そんなゆかりの様子に、結局俺としては特にシートに拘りがある訳ではなかったので、頷くしかなかった。
 いやまぁ、俺だけでピンクのレジャーシートを使うのは色々と悪目立ちするだろうが、ゆかりが一緒なら特に問題ないだろうし。
 そうして、ホームセンターでレジャーシートを買ってから、後は適当に弁当やお菓子、飲み物といった物を店で買い揃え……やがて、昼前には俺とゆかりの姿はこの前TVでやっていた桜の前にあった。
 何だかんだかと、こういうのって買い揃えるというのが面白いのかもしれないな。
 そんな風に思った俺は、決して特別という訳ではないだろう。

「うわぁ……何だかんだで、結構人が来てるわね。てっきり花見に来るのは私達だけかと思ったんだけど。……この寒い中、こんなに人が集まるとは思わなかったわ」

 しみじみと、周囲の様子を眺めながらゆかりが呟く。
 実際、周囲にはそれなりに大勢の者達が、真冬――もうすぐ3月だが――に咲く桜を見る為に集まっていた。
 もっともまだ寒いからか、俺達みたいにレジャーシートを用意してしっかり花見の体勢に入っている者は……皆無という訳ではないが、かなり少ない。
この辺り、何だかんだと花見を好きな者が多いという事だろう。

「じゃあ、早速場所を決めて食べるか?」
「もう? まぁ、お昼近いんだけど」

 普通なら前日に用意するレジャーシートとかの買い物を今日やって、それから弁当とかそういうのも今日買ってきたのだから、当然のように時間はそれなりに経っている。
 まだ昼というにはちょっと早いが、それでも早めの昼食と考えればそんなにおかしな話ではないだろう。

「で、どこにシートを敷く?」
「うーん、そうね……え?」

 桜の木の周囲を見ていたゆかりは、ふととある一点でその動きを止める。
 何だ? と疑問に思ってゆかりの視線を追うと、その先にいたのは数人の大人だった。
 もっとも、大人といっても大体20代くらいの連中であって、大人バージョンの俺と大体同年代か、ちょっと上くらいの集まりだと言ってもいいだろう。
 こうして見た感じ、全員が同じ年代の集まりだという事は、職場の集まりという訳ではなく友人同士の集まりといったところか。
 シートの上でガスコンロを使ってすき焼きを食べている。
 ……花見ですき焼きってのも、ちょっといいかもしれないな。
 ともあれ、あの連中はゆかりの知り合いか何かか?
 そんな疑問を抱いていると、そんな視線を感じたのかすき焼きを食べながらビールを飲んでいた女が、ふと視線を上げる。
 そしてゆかりと視線が合い……その動きが固まる。
 それでも十秒も経たない内に我に返ると、その女の視線は横にずれ……ゆかりの隣にいる俺に向けられる。
 髪はゆかりと同じくらいのショートカットだが、年齢を重ねた女の色気というべきものがある。
 少しだけ酔っ払っているのも、その大人の雰囲気に関係しているのかもしれないが。
 ……前後不覚になる程に酔っ払ってしまえば、色気も何もないからな。
 だが、顔立ちという意味ではやっぱりゆかりの方が上だろう。

「知り合いか?」

 取りあえず俺の知り合いではないのは間違いないし、ゆかりを見て動きを止めていたのだから、知り合いだとすればゆかりだろうというのは容易に想像出来たので、そう尋ねる。
 向こう同様、こちらも動きの固まっていたゆかりは、俺の声で我に返り、口を開く。

「えっと……うん。その、学校の先生」
「……なるほど」

 学校の教師というのは色々と大変だというのは噂で聞いた事がある。
 であれば、こうしてたまの休みに友人達と一緒に羽目を外すのも無理はない。
 なら、このままスルーして他の場所で花見をしようかと思ったんだが、向こうはそう思わなかったらしい。

「えっと、岳羽さんよね? 貴方もお花見に来たの?」

 まだあまり酔っていないからか、特に足下もふらついたりせずにその教師はこっちに近づいてきてそう声を掛けてくる。

「はい、鳥海先生。……先生もお花見ですか?」
「あはは、そうなのよ。けど、まさかこんな場所で岳羽さんに会うとは思ってなかったわ。……それに……」

 一旦言葉を切った女……鳥海とゆかりに呼ばれた女は、その視線を俺の方に向けてくる。

「まさか、岳羽さんが彼氏と一緒に花見に来るなんてね。羨ましいわ」
「かれ……ち、違います! アクセルは、その……」
「あら、君はアクセル君って言うの? 留学生か何かかしら?」
「あー……まぁ」

 取りあえず鳥海は教師だという話だし、色々と俺に関係する話を教えるのは不味いだろう。
 ましてや、実は俺がパスポートの類も持っていない不法滞在者だと知られれば、更に不味くなる。
 もっとも、俺は正確にはこの世界の人間ではないのだから、どこの国にいても普通に不法滞在者という扱いになるんだが。

「ふーん。……月光館学園の生徒……じゃないわよね?」

 それにどう答えるべきか迷うも、俺が何か言うよりも先に鳥海が再びゆかりの方に視線を向ける。

「いい? 花見に来たのはいいけど、羽目を外しすぎないようにね」

 それだけを言うと、鳥海はそのまま友人達の方に戻っていく。
 酔っ払っているせいか、それとも単純に興味がなかったのか、俺については殆ど聞くようような事はなかった。
 まぁ、詳しい事を聞かれなくて安心しているのは、間違いのない事実なんだけどな。
 ゆかりを見ると、こちらも俺と同様に……いや、それ以上に安堵の表情を浮かべていた。
 そうして鳥海の注意が既に俺達の方に向けられていないのを理解すると、慌てたように俺を引っ張って他の場所に向かう。
 もっとも、既に鳥海は友人達と一緒に花見……というか宴会に戻っているので、こっちを気にしている様子はないが。
 ただ、鳥海と一緒にいる男の何人かが、ゆかりの方を見ていた。
 ……まぁ、その気持ちは分からないでもない。
 月光館学園でも、かなり人気があるらしいし。

「行こ」

 そんな視線を感じ取った訳ではないだろうが、ゆかりは俺を引っ張って鳥海達から離れていく。
 もっとも、咲いている桜の木は1本だ。
 その周囲に何人かがシートを敷いて花見を楽しんでいる者がいるので、最終的には鳥海達からそれ程離れていない場所で俺達も花見をする事になった。

「まさか、学校の教師がいるとは思わなかったな」
「そうね。でも、鳥海先生で良かったんじゃない? うちの学校、色々と特殊な先生とか多いから。そういう意味だと、放任主義……というのはちょっと言いすぎかもしれないけど、鳥海先生はあまりうるさい事を言わないし」
「まぁ、そうだな」

 実際、こうして俺とゆかりが花見に来たのを見ても、特に何か注意するような事を言ったりはしなかった。
 ただ、俺の事を多少ではあっても気にしたようだが……その辺は、鳥海の教師としての考えからだろう。
 それで俺の事を追求しなかったというのは、俺を怪しくない人物だと認めたのか。
 うん、見る目があるな。
 ……荒垣辺りにこの話をすれば、それこそ見る目がないと言われそうな気がするので黙っているが。
 ともあれ、今は花見の準備をする必要があるか。
 ゆかりの指示に従い、ピンクがメイン色のレジャーシートを地面に敷く。
 当然ながら、そんな色のレジャーシートを使っている者の姿はなく、周囲にいる者達の視線を集める事になる。
 だが、ゆかりはそんな視線を気にしてはいないのか、俺が持っている空のバッグを見て、食べ物や飲み物を出すように視線で要求してきた。
 鳥海達と違って、俺とゆかりの場合は普通に店で買ってきた食べ物だ。
 正直なところ、ああいう風に花見ですき焼きを食べるというのは、かなり羨ましいんだが。
 まぁ、すき焼きは今度荒垣とゆかりを誘ってどこかに食いに行くとしよう。
 そんな風に考えながら、バッグの中に手を入れ、空間倉庫の中から取り出すところを周囲に見せないようにしながら各種料理を取りだしていく。
 もっとも、コンビニとか弁当屋とかで買ってきた料理や総菜の類なのだが。
 後はお茶やジュースといった飲み物を用意する。

「いっそ荒垣も連れてくれば良かったな」
「荒垣さん、まだ寝てるんじゃないかしら」

 荒垣は一見すれば不良に見えるし、そうなると朝早くから起きるというイメージはないよな。
 丁度今くらいに起きていてもおかしくはない。
 まぁ、あくまでも荒垣の外見から受けるイメージだが。
 実際には面倒見がいい荒垣の事だし、今の時間から既に起きて誰かの面倒を見ていると言われても、納得してしまう。

「そうか? 荒垣の事だから、朝早くに起きて朝食の用意……それも自炊をしていて、今頃は昼食を作り始めていても驚かないぞ?」
「それは……」

 ちょっと想像出来ないといった様子でゆかりが呟く。
 だが、荒垣は料理を食う時も結構味付けとかを気にしている。
 そう考えれば、料理とかをしていてもおかしくはないだろう。

「ま、ともあれ……ゆかりが自由にペルソナを使える事になったのと、これからのタルタロスの攻略が上手くいくように祈って……乾杯」
「ちょっ!」

 俺がいきなり口にした言葉に慌てながらも、ゆかりは持っていたジュースの入ったペットボトルをこっちに出してくる。
 ウーロン茶の入ったペットボトルをそれにぶつけ、ゆかりを落ち着かせるように話し掛ける。

「あまり気にするなよ。他の奴が聞いたって、それこそゲームとかの話だとしか思わないだろ」
「それは……そうかもしれないけど……」

 それでも若干不満そうにする様子に、スーパーで買ってきた寿司を開けて手を伸ばす。
 スーパーの寿司でも、それなりに美味い。
 勿論回転寿司じゃない寿司屋の寿司に比べれば味は落ちるが、それでもその辺の回転寿司と同じくらいには美味いだろう。
 ……もっとも、好きなネタを選んで食えるというところに、回転寿司の利点はあるんだろうが。
 ともあれ、俺はゆかりと共に冬に咲く桜を見ながら食べ物に舌鼓を打つのだった。 
 

 
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
   努力 消費SP8
   集中 消費SP16
   直撃 消費SP30
   覚醒 消費SP32
   愛  消費SP48

スキル:EXPアップ
    SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
    念動力 LV.10
    アタッカー
    ガンファイト LV.9
    インファイト LV.9
    気力限界突破
    魔法(炎)
    魔法(影)
    魔法(召喚)
    闇の魔法
    混沌精霊
    鬼眼
    気配遮断A+

撃墜数:1389 
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