夢幻水滸伝
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第十七話 淡路合戦その四
「だから今は我々が手中に収めているが」
「四国の連中はそこをひっくり返したいね」
「だから来る、しかしだ」
「それをだね」
「我々は跳ね返してだ」
「そこから逆に攻める」
「四国上陸だ、上陸の時は任せた」
玲子に顔を向けて言った。
「私は陸での戦は苦手だ」
「水軍だからね、先輩は」
「そうだ、だから陸での戦は君に任せる」
正面を見据えてつつだ、吉川は玲子に告げた。
「思う存分戦ってくれ」
「海でもそうさせてもらうよ、戦ならね」
主槍を右手に立たせて持ちにやりと笑ってだ、玲子は言った。
「思う存分やってやるさ」
「いくさ人としてか」
「ああ、とことんやってやるよ。そしてな」
玲子はさらに言った。
「傾いてやるさ」
「それも忘れないか」
「とことん傾くさ」
こうも言うのだった。
「それがあたしの生き様だからな」
「傾奇者か」
「そういうことさ、戦と遊びしかしない不便者だがね」
それも大不便者だ、玲子は常に自身をこう言っている。
「傾くことは傾くさ」
「そうするか。では頼りにしている」
「まずは砲撃を加えてだね」
「それから敵に近寄りだ」
そうしてというのだ。
「体当たりの後でな」
「乗り込んで戦うね」
「出来れば砲撃だけで終わらせたいが」
吉川としてはだ。
「こちらもダメージが少ない」
「それはそうだね」
「それは状況次第だ、しかしだ」
「砲撃だけで勝ってもあたしの出番はあるね」
「上陸の時にな」
まさにその時にというのだ。
「君には戦ってもらう」
「ああ、派手に殴り込んでな」
四国本土にというのだ。
「足がかりは作るよ」
「頼むぞ、言うならば海兵隊だ」
玲子のこの度の役割はというのだ。
「火事場に飛び込むからな」
「そうだね、けれどね」
「火事場は好きだな」
「ああ、大好きさ」
実際に楽し気な笑みで言った。
「火事と喧嘩はな」
「華か」
「江戸じゃないけれどね」
自分達がいる場所はというのだ。
「そういうのは好きさ」
「火事、か」
「そうさ」
「ではそちらの政もするといい」
「消防かい?」
「私達の世界の言葉で言うとな」
まさにそれだというのだ。
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