転生とらぶる
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ペルソナ3
1792話
「やあっ!」
そんな鋭い……鋭い? 叫び声と共にショートボウから放たれた矢は、シャドウ……俺達にとってはお馴染みのスライムもどきに突き去る。
続けて放たれた矢が、何本もスライムもどきに突き刺さり……やがて、そのまま消滅する。
「ちょっと雑になってないか?」
本来なら、数本の矢でシャドウを倒す事が出来ただろう。
だが、俺が予想していたよりも倍近い矢を使い、ようやくシャドウを倒したのだ。
本人も、自分の攻撃が雑になっているのは分かっているのか、落ち込んだ様子でスライムもどきに使った矢のうち、まだ使える矢を回収する。
何が原因でこうして攻撃が雑になっているのかというのは、容易に想像出来る。
出発前に話した、いずれ桐条美鶴や真田明彦が俺達に接触してくる件だろう。
基本的に人当たりのいいゆかりにとって、ファンが大量にいる真田や……それ以外にも何かあるのだろう桐条とはあまり接したくないのだろう。
だが、既にペルソナに覚醒しつつあるらしいゆかりは、向こうにとって是非戦力に欲しい存在なのは間違いない。
……まぁ、肝心のペルソナに覚醒していない以上、戦いで向こうが期待している程役に立つかどうかはわからないが。
もっとも、こうして地力できちんとシャドウを倒しているのを見れば、ペルソナはあくまでもついで……と考えてもいいのかもしれないな。
勿論、あった方が戦闘の時に使える手札が増えるという意味で、出来れば覚醒した方がいいんだろうが。
「……分かってるわよ」
ゆかり本人も、自分の攻撃が雑になってきているというのは分かっているのだろう。
それでも、自分の現在の状況をどうにか出来るのかと言われれば、それは難しい……といったところか。
元々弓道というのは、精神的な面が強く出る。
その弓道で今まで腕を磨いてきたのだから、その辺りはどうしようもないといったところか。
それに考えようによっては、今のゆかりの状況は死と間近に接するという意味では決して悪いだけでもない。
つまり、もしかしたらペルソナ使いとして覚醒する可能性があるという事でもある。
……勿論、それはゆかりの危険と関係してくるので、あっさりと覚醒するとはいかないと思う。
思うが……それでもやっぱり、どうせならこの機会を利用したいと思っている俺がいた。
「分かってるならいい。けど、ゆかりが危険になった時、いつでも助けられる俺がいるとも限らないし……そいつも決して無敵って訳じゃないんだという事は覚えておけよ」
視線の先にいる、子猫の炎獣を見ながらそう告げる。
この階層に出てきているシャドウ程度であれば、今のところは全く問題はない。
だが、階層を進むにつれてシャドウが強くなっていくのであれば、いずれ炎獣を上回る強さの相手が出てくるのは確実だろう。
であれば、ゆかりも炎獣に頼るのではなく、自分の力でどうにか出来るようになって欲しい。
そう思ってしまうのはおかしくない筈だ。
「ええ、分かってるわ」
ゆかりも俺の言葉に異論はないのか、それ以上は不満を口にせず、持っているショートボウを握りしめる。
そして俺達はタルタロスの中を進み……
「お、宝箱だな」
分かれ道を適当に選んで進んだところ、宝箱の姿を確認する。
既にこの頃になれば、ゆかりも宝箱を見つけたからといって罠を警戒するような事はなくなっていた。
いや、正確には罠はあるかもしれないが、俺ならそれは問題ないと判断しているのか、以前のように極端に離れる……といった事はしていないというのが正しいか。
「今度は何だと思う?」
「……何だろうな。出来れば、魔法が込められている宝石か……ゆかりが持っているショートボウよりも強力な弓だといいんだが」
「そうは言っても、このショートボウを手に入れてから、まだ殆ど経っていないのよ? さすがにそれは……」
言いにくそうにしているゆかりだったが、実際問題使っている武器が強力になるのであれば、それが一番いいと思っている。
もっとも、問題なのはゆかりがそれを使いこなせるのかという事だが。
基本的に弓の威力というのは、弦をどれだけ強く張っているかという事が関係してくる。
その強さを使用者に負担させないような構造の弓もあるが、少なくてもゆかりが以前まで使っていた部活の弓やこのショートボウに関しては、そのような仕組みがない。
「ま、中に何が入ってるのかは、実際に開けてみないと分からないだろうな。……いいか?」
無言でゆかりが頷くのを見ながら、宝箱を開ける。
するとそこから出てきたのは……
「よし!」
思わず、俺の口から喜びの声が出る。
何故なら、宝箱に入っていたのは小さな……それこそ指先程の大きさもない青い宝石だったからだ。
宝石だというだけであれば、俺がここまで喜ぶようなことはない。
だが、その宝石から魔力を感じられる……つまり、中に魔法が封じ込められているのであれば、話が別だろう。
これは、正直なところ俺が最も欲していた物に他ならないのだから。
「うわ、綺麗ね」
小さな宝石であっても、宝石は宝石。
罠の類がないと判断して俺の近くにやってきたゆかりも、そこにある宝石を見て感嘆の声を上げる。
「そうだな。……ただ、何の魔法が封じられているのかってのが分からないのは痛いな」
「やっぱり実際に使ってみる必要があるんじゃない?」
ゆかりの言葉に頷きを返す。
そうしてタルタロスの中を進み……
「お、出たな」
視線の先に数匹のシャドウ……スライムもどきが2匹、王冠を被ったのが1匹姿を現す。
こっちの能力を考えると、寧ろいい標的と言えるだろう。
幸いまだこっちに気が付いている様子もないので、先程入手した青い宝石に魔力を込め、軽く投擲する。
もっとも、軽くと言ってもそれはあくまでも俺の認識での軽くだ。
寧ろ宝石を力一杯投げれば、それだけでシャドウの身体を貫いたりしてしまうだろう。
……うん? よく考えたら、それはそれでいいのか?
寧ろ、相手の身体を貫き、その身体の中で魔法を発動させれば……
まぁ、宝石の中に封じ込められているのが回復魔法だったら、与えたダメージをその場で無効化されてしまうのだが。
そんな風に考えている間に宝石は飛んでいき、やがてシャドウ達のど真ん中で魔法が発動する。
発動した魔法は……
「ブフ、だったかしら?」
「いや、違うな。かなり広範囲に効果が広がっている」
吹雪が起きているという点ではブフでいいのだろうが、かなり効果範囲が広い。
これは、マハブフだったか? あの、ブフを広範囲に放つ奴だと思う。
「ああ、何だっけ? あの手が身体になっているシャドウが使ってたわね」
ゆかりも俺の言葉に納得したのか、そう頷いてきた。
「となると、この宝石はマハブフか。他にもマハアギ、マハガルとかの魔法が封じられている宝石がありそうだな」
「そうね。出来れば魔法が封じられている宝石は多く欲しいわ」
「……それって、攻撃手段としてだよな?」
「当然でしょ」
もしかして、宝石の美しさそのものを欲して宝石が欲しいと口にしたのではないかと思ったが、ゆかりは予想外にあっさり、そう告げた。
うん、どうやらゆかりを見くびっていたらしい。
「私達は2人でタルタロスを攻略してるのよ? だとすれば、攻撃手段は多ければ多い程いいでしょ」
「そうだな」
実際には、炎獣を始めとして、攻撃手段は幾つもある。
だが、ゆかりは別に俺の攻撃手段全てを知っている訳ではない以上、少しでも攻撃手段を多くしたいと考えても不思議ではないだろう。
ましてや、ゆかりの攻撃手段は弓だ。
使った矢もある程度回収出来てはいるのだが、それでも全てという訳ではない。
どうしてもシャドウを貫いた時に鏃が欠けたりする。
いや、そちらは無理をすれば回収して使えないこともない。
遠くの敵を射るには狙いがそれやすいが、ある程度距離があれば問題はないのだから。
だが、他の場所……具体的には矢そのものが折れてしまっては、どうしようもない。
いやまぁ、俺ならそれを投げて使うという手段はあるかもしれないが……どうしたって、その辺りで矢を消耗していくのだ。
ゆかりにとって、矢の消耗はまさに自分の命が徐々に減っていくようなものだ。
「でしょ、だからもうちょっと宝箱を探しましょう」
だからこそ、ゆかりは俺に向かってそう言ってきたのだろうし、俺もそれには賛成だった。
そもそもの話、俺がこのタルタロスに挑戦している最大の理由は、今のマハブフを封じ込めてた宝石しかり、宝玉輪のようにまだどんな魔法が封じられているのかは分からないが、大きな効果を持つだろう魔法が封じ込められているだろうマジックアイテムしかり……
そんなのを、出来るだけ入手する為というのが大きな理由なのだから。
ちなみに宝玉輪をまだ使っていないのは、小ボスのところに唯一あった宝箱から入手した代物だけに、恐らく希少な品だと判断している為だ。
「そうだな、ならもう少ししっかりと塔の中を調べていくか」
普通なら、こういうダンジョンを攻略する時には何らかの手段でマッピングをしていく物だろう。
それこそ、コンピュータとかが使えれば、そういうソフトを誰かに作って貰えるように依頼してもいいんだが……この影時間だと、コンピュータの類は使えないんだよな。
それでいながら、銃の類は普通に使えるのは……恐らく、複雑な仕組みの機械は使えなくて、単純な仕組みなら使えるといったところか。
コンピュータが使えない以上、単純に紙でマッピングしてもいいんだが……タルタロスは、影時間になる度に内部構造が変化する。
つまり、マッピングをする意味がないという事になる。
……まぁ、全くマッピングが無意味かと言われれば、その日の間ならマッピングした地図を使えるから、全くの無意味って訳じゃないんだろうが。
とにかく、俺とゆかり、ついでに子猫の炎獣は、宝箱を求めてタルタロスの中を歩き回る。
そうなれば、当然のように途中でシャドウと遭遇もするのだが、そちらは特に問題なく倒す事が出来ていた。
もっと上の階層なら、多少苦戦する敵が出てくるかもしれないが、この階層であれば特に注意する相手は存在しない。
もっとも、それはあくまでも俺だからであって、ゆかりは炎獣がいるからこそ戦う事が出来ているのだが。
ゆかりを鍛えるという意味では、それなりに意味のある戦闘を行いながら俺達はその階層を移動していき、上に続く階段を見つけても、すぐに階段を上らず全ての宝箱を開ける……といった風に行動していく。
マハブフと同じような魔力を持った、赤や緑といった宝石を見つけたり、何故ここにあるのかは分からないが、とにかく以前のように現金を手に入れたり、店で売っているような傷薬を見つけたり……そんな風にしながら、タルタロスを攻略していく。
「やぁっ!」
ゆかりの気合いの声と共に射られた矢が、掌を胴体にしたようなシャドウの身体を貫き、倒す。
「大分慣れてきたな」
「そうね、シャドウが出てきてもあまり驚かなくなったわ」
シャドウというのは、基本的に奇妙な姿をしている。
それこそ、スライムだったり、木の根が王冠を被ってるような奴だったり、今ゆかりが矢で倒した掌のような奴だったり。
自分の予想外の姿を見せる敵が姿を見るというのは、当然ながら見た者は驚き、一瞬だが動きを止めさせる。
だが、それはあくまでもその姿に慣れていないからだ。
逆に言えば、その姿に慣れれば躊躇なく攻撃を行う事が出来る。
ゆかりに戦闘を任せた結果、多くのシャドウを倒す事に成功し、既にシャドウに向かって矢を射るという行為に躊躇はなくなっていた。
……まぁ、シャドウが人の形をしていないというのも大きいんだろうが。
何だかんだと、ゆかりはついこの前までは一般人だったのだ。
そうである以上、恐らくいきなり人間に向かって矢を射れと言われても、はいそうですかとはいかないだろう。
間違いなく、躊躇する筈だ。
そういう意味では、この先人型のシャドウが出てきたりした場合、ちょっと対応に苦慮するかもしれないな。
ゆかりに人を射る事が出来るようになれ……というのも、ちょっと言いにくいし。
まぁ、今のところはそういう人型のシャドウは出てきていないし、もし出てきたとしても俺が何とかしてやればいいだけだが。
けど、ゆかりが容赦なく人に向かって矢を射る事が出来るようになったりした場合、色々と将来的に不味い事になりそうな気もする。
「何?」
「いや、何でもない」
ゆかりの言葉に首を振り、階段を上がってタルタロスを次の階に上がっていき……
その階に上がった瞬間、念動力が危険を察知して俺に伝えてくるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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