オズのジュリア=ジャム
しおりを利用するにはログインしてください。会員登録がまだの場合はこちらから。
ページ下へ移動
第四幕その六
「そういうことだよ」
「言われてみればそうね」
ジュリアも納得しました。
「それじゃあ」
「納得してくれたね」
「楽しんだ後でね」
そのうえでというのです。
「そうなったわ、それでだけれど」
「それで?」
「貴方はこれからどうするの?」
ジュリアはミュージッカーにあらためて尋ねました。
「一体」
「ひょっとして」
「特に予定はないみたいだし」
旅の行く先はというのです。
「よかったら私達と」
「いやいや、何も決めていないから」
「決めていないから?」
「うん、ジュリアさん達と一緒に行くことはしないよ」
「あくまでなのね」
「そう、気の赴くままの旅を続けるよ」
ミュージッカーはジュリアに歌う様に述べました。
「そうさせてもらうよ」
「それじゃあ」
「うん、またね」
「機会があったらね」
「会おうね」
「それじゃあ」
「僕はもう暫くここにいるよ」
音楽を奏でる植物達のところにというのです。
「そして楽しんでいるよ」
「私達は東に行くから」
人魚の国に向かってというのです。
「また縁があって会ったらね」
「うん、その時はね」
「宜しくね」
「こちらこそね」
お互いに笑顔でやり取りをしてでした、そのうえで。
皆はミュージッカーとお別れの挨拶をしました、そうして笑顔で手を振り合って別れました。その別れの挨拶の後で。
皆は再び歩きはじめました、音楽は次第に遠のいていき聴こえなくなりました。完全に聴こえなくなってからでした。
神宝はしみじみとしてです、こうしたことを言いました。
「まさかミュージッカーさんにお会いするなんて」
「思わなかったわね」
「はい、カドリングの人なので」
「人は縁で会うものだから」
「それで、ですね」
「会うものなのよ」
思わないところで、というのです。
「そういうものなのよ」
「人と人は」
「そうなの」
ジュリアはこう神宝にお話しました。
「私も正直ここでお会いするとは思わなかったわ」
「誰もが予想しなかったよ」
「全く以てね」
かかしと木樵の動きはまだダンスのそれが残っています。
「あそこで彼に会うなんて」
「想像も出来なかったよ」
「けれど会ってお互いに楽しめる」
ジャックの口調は歌っている感じです。
「それがオズの国なんだよね」
「うん、音楽も楽しめたし」
モジャボロはとてもにこにことして満足しているのがわかります。
ページ上へ戻る