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ジョジョの奇みょんな幻想郷

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第一部 ケイオスクルセイダーズ
第一章 紅霧異変
  14.Ending Night

「「「『はあ!?赤い霧なんて知らない!?』」」」
 霊夢とレミリアの弾幕ごっこが終わった後、異変解決組の霊夢、丞一、早苗は咲夜を介しレミリアに事情聴取をしていたのだが、なんと全く心当たりなど無いなどとぬかしたのだ。
「ちょっと待ちなさい!あんた、この館の主で吸血鬼でしょ!今度こそ幻想郷の支配を目論んで強行したんじゃないの!」
『そうですよ!それに、咲夜さんまで取り入れて!』
「それは違うわ、ニャル子。私は普通に結界の歪みから幻想入りして、ベタな展開で記憶を失っただけよ」
『ぐぬぬ、咲夜さん本人にそう否定されると、こっちも手を出せませんね』
 それに、と咲夜が付け加えると、レミリアは自慢げに胸を張り。
「いやー、だってその方が何か雰囲気でるじゃない。私朝起きてしばらくするまでわからなかったのよ。でも、あまりにも暑くて気になったら赤い霧に覆われてるじゃない。そして、異変だなんだーって騒ぎになってるじゃないのよ。どうせ来るのが判ってるのだから、なら同じスタンド使いとして嘗められないようにカリスマ見せとこうかなーってみたいな?」
「……ちょっと、あんた。もう一回歯ぁ食いしばんなさい」
 うー!と咲夜に泣き着いてしまった。それもそうだ、異変解決組の殺気をすべて直で浴びてるのだから。まともな人ならば迷わず土下座だろう。
「その辺にしてあげてくれないかしら、博麗の巫女。一応、冤罪をかけられた被害者なのよ?」
「だとしても、異変を起こしたやつがこの館にいるのは間違いないわ。この異変は魔法によって成り立ってるわ。そして、魔力はこの館から空に垂れ流し。これ以上の証拠はないわ」
「姉さん、何か心当たりとかねーの?」
 丞一は咲夜に躊躇いもなく質問した。身内に犯人らしいやつ知りませんか、と質問するのも申し訳なく思うが、たかが?説教で終わるくらいなので、と咲夜も申し出た。
「そうね、一応魔法使いはいるけれど……あのお方はこんなネチっこい真似はしないお方だから。美玲は脳筋だし、こあなら……無理ね」
 咲夜は館の人物を虱潰しに洗い始めた。
「となると、…………っ!?まさか」
 そう呟いたときだった。
 ぞおっ!と悪寒を感じさせた。
「「「「『っ!?』」」」」
 思考にふけていた咲夜とそれを聞いていた丞一、未だに泣き続けていたレミリアに今回のことに頭を抱えていた霊夢は、一斉に同じ方向に顔を向けた。
 それの気配は、霊夢の勘を、レミリアの上に立つもの特有の危機察知を、咲夜の叩き出した推理を、丞一とニャル子の天性の気配察知を刺激した。
「…………ちょっと勘弁して欲しいんだけど、まだあんなのがいるの?」
「うそ。…………なん、で、あの子が」
「………非常に不味いことになったわ」
「みたい、っ!?早苗!そこから二時の方向の壁をクレイジーダイヤモンドでぶっ壊すんだ!そして、合図したら直してくれ!」
「え!?い、いったい何が」「早く!」
「っ!わ、わかりました!クレイジーダイヤモンド!」
『ドラララララァ!』
 壁を壊すと同時に、箒に乗った二人組が箒から光線を出しながら部屋に入ってきた。
「「魔理沙 (さん)!」」
「「パチュリー (パッチェ)様!」」
 霊夢と早苗、レミリアと咲夜はそれぞれの知人の元へ駆け寄った。
「魔理沙!あんた、どこ行ってたのよ!」
「わりぃわりぃ、そこのパチュリー、パッチェさんのところへ行ってたんだ。にしてもヤバいぜ、霊夢。私たちはとんでもない思い違いしてたんだ。主犯は、他にいたんだよ」
「ああ、今の状態の『あれ』とどつきあうのは、俺も勘弁やわ」
(まさかのイケボ!?しかも何あのあの真島弁もどき!?)
 煩悩だらけの丞一だったがやがてそれも周りの空気も考えて自重した。いかにも「キーリュゥチャァン」といいそうな訛りである。これが、幻想郷の八九三魔法使いであることを魔理沙以外の異変解決組はまだしらない。
「パッチェ、大丈夫?」
「レミィか、俺は大丈夫や。だが、図書館の方がやられてもうたわ。本に損害はないが、棚や冷蔵庫の物はもうお陀仏や。今、迅が足止めをしているところやさい」
 そう、パチュリーが言い始めたところで、刀を抜いた迅が壊れた壁から入ってきた。
「お待たせ!」
「迅!あんたも、いったいどこに」
「話はあとだ霊夢!早苗!今だ」
「はい!クレイジーダイヤモンド────『直す』!」
 クレイジーダイヤモンドで壁を直すも束の間、一瞬だった。刹那、その壁が破壊されたのだ。
(私のクレイジーダイヤモンドは、コンマ一秒あれば新築時同様の強度まで直せる。そいつを一瞬で貫通させるだけの破壊力っ!こいつはグレートにヤバすぎるぜ)
 そして、破壊され、土煙が舞い上がる。その中から、およそレミリアと同じくらいかそれよりも小さい女の子が出てきた。おそらく姉妹だろう。背中に生えている、宝石をつけたような羽が吸血鬼なのだと内心に訴えかけていた。
「ふ、フラン!?」
「フフフ、お久しぶりね。お姉さま」
 フランと呼ばれた少女は笑顔で挨拶をしていたが、対称的に、姉のレミリアは焦りと共に、その目には恐怖が混じっていた。
「姉さん、何となくわかるけど彼女は?」
「フランドールお嬢様、お嬢様の実妹。495年間、地下で幽閉されていたのよ。お嬢様の手によって」
 迅を除いた解決組はただ浸すらにその真実に驚き打ちひしがれた。先ほど行われた丞一と咲夜の姉弟喧嘩など目じゃない。それよりも悪質だ。
「本当に久しぶり。会うのは…………一昨日に部屋に夕食を持ってきてくれた以来かしら。それにしても、お姉さま負けたんだって?ダッサーい」
 思ったよりも姉妹仲は険悪でもなかった。レミリアが思ったよりも心配性な姉をやっていた。さらに、地味に姉を煽る妹がそこにいた。この会話をみる限りはどこにもいる普通の姉妹だ。
「た、ダサい。(´・ω・`)ショボーン」 
「おーい、言い負かされるなー。まあ、いいや」
「いいんですか」
「それよりもだ、フランドール。お前が外の霧を出した。間違いないな?」
「うん。そうだよ」
 フランドールは丞一の思っていたより素直に白状した。だが、それは観念ではなく能力がある故の自信だろう。
「貴方たちは誰?」
「博麗霊夢」
「東風谷早苗です」
「慶条丞一、通りすがりのスタンド使いだ。覚えておけ」
 自己紹介をしながら、丞一は現在の状況を軽く整理する。
 おそらく戦うことになるであろう相手は、クレイジーダイヤモンドの復元能力を上回る程の破壊能力を持つ。
 霊夢とレミリアは先の戦闘で力を使い果たし。魔理沙とパチュリーも力は残っていないだろう。迅も殿戦からの戦闘は厳しい。
(となると、まともに戦えるのは俺と早苗と姉さんだけなのね)
「フラン!なんで、こんなことを」
「愚問ね。お姉さま。お姉さまが私へした仕打ち、忘れたなんて






────────────言ワナイヨネ?」
 その目には恐ろしいほどの狂気があった。
 殺気など、やさしく、生ぬるく感じるほどの狂気がその瞳には宿っていた。
「これは、正当なる断罪であり復讐なんだよ」
「わかったら、さっさと私の元へこようね?」
 レミリアは生気の失った瞳のまま、フランドールのもとへ定まらない足で向かって行った。
 ────フランにあんなことをしたのだ、恨まれて当然だし、殺されても文句は言えない。
 レミリアは諦めていた。生きることを、和解を。その足は、ただ呆然と確実な死へと歩を進めていった。
 だが、その足は一人の手によって阻まれた。
「行かせねーよ。レミリア」
「………邪魔しないでよ、お兄さん。せっかくのおもしろい遊びなのにさ」
「知らないのか?外でもっとも流行ってる遊びは『人の遊びに乱入してそれをムチャクチャにする事』なんだぜ?」 
 手を出しレミリアを止めた丞一の言葉に、いや、いつ流行ったそんなの。というツッコミを早苗は飲み込んだ。
 なぜなら、いつもこんなシリアスだろうとへらへらとギャグパートを続けようとする、丞一がいつになく顔をマジにしていたからだ。
「質問だ。なぜ、レミリア・スカーレットに罪を擦り付けるようなまねをした?」
「簡単なことだよ。だってそっちの方がおもしろいじゃん。あたふたしてるところもみれて、嫌がらせにもなる。一石二鳥じゃん?それにしても、お兄さんたちもバカだねこんな安い手に引っかかるなんてさ。博麗の巫女が聞いて呆れるね」
「そうか……………いいぜ、フランドール。俺が代わりに遊んでやるよ」
「アカン、止めときーや」
 そこで、制止をかけたのはパチュリーだった。
「フランの能力は、『あらゆるものを破壊する程度の能力』。普通の能力じゃ歯がたたんさかい」
「そうそう。一瞬で、コウナッチャウヨ?」ギュッ!
 フランドールが一瞬間を置き、拳を握ると左肩から先が爆ぜた。
「っ!」
「嘘だろ!あの丞一が何もできずに左腕をもってかれた!」
「ジョジョ!」
 丞一は鎖骨辺りを残った右手で抑えつけ、止血の動作をし、スタンドを出して臨戦態勢をとった。もちろん、スタンド自身も左肩より先はなかった。
「それが、あなたのスタンドね。でも、それで私の能力、そして──────スタンド『アヴェンジャー』の攻撃に対応できる?」
 不敵に笑うフランドールには、黒いソフト帽にぼろローブを羽織っていた。
 丞一がフォークを取り出すと同時にフランドールは青黒い炎を出し、丞一目掛けて投擲する。丞一もそれを迎撃するため、フォークを投擲する。
「無駄だよ。灰すらも残さない『アヴェンジャー』の黒炎はそんなのだったら、いくらでも燃やし尽くす」
 虚しくフォークは炎につつまれ燃やされた。だが、丞一は逆に今度は丞一が笑みを浮かべる。
「かかったな!アホが!『ダークワン・ザ・ワールド』!」
 ドォォーーーーン!カチコチ……
 止まった時の中で、丞一はフォークを投擲しフランドールの周りを覆い尽くす。
「そして、時は動き出す」
 その言葉とともに世界に色が戻る。フランドールを囲んでいたフォークも動きを再開し襲いかかる。
「─────シャトー・ディフ」
 しかし、フランドールの周りに黒炎が発生し、フォークをすべて燃やし尽くした。
「くそっ!『ダークワン・アクセル、」
「サセナイヨ?」
 吸血鬼の脚力で一気に距離を詰められ、丞一の首を掴むと片手で持ち上げた。
「ガッ!くそ、が」
「ギュッとしてドカーンじゃ時加速でかわされるからね。オ兄サンハ斬リ殺シテ遊ンデアゲル。禁忌『レーヴァテイン』」
 残った片手に紅の大剣を持つとそれを振りかざし、振るった。それによって、丞一は袈裟に斬られる。





ハズだった。
「……っ!嘘!?」
 フランドールの片手を止めたのは丞一の『左手』に握られたシルバーフォークだった。
「こいつ、苦手だろ?お前ら。もう一発、おまけだ!」
『オラァ!』
「ぐっ!?」
 溝に入ったがフランドールが瞬間後ろに跳び、浅くなった。
 だが、丞一は不敵な笑みを浮かべていた。より正確に言うならば、
「またまた、やらせでいただきましたァン!」
 という笑みである!
「なんで、何で左腕が壊れてないの!まともにあれを受けたのに!」
「いいえ、まともには受けていませんわ。妹様。フフフ、ジョジョは将来普通に現代社会にでたらとんでもない大悪党かものすごい大人物になっていたでしょうね」
「確かにあの時、左肩から先が吹っ飛んだ。拳を握りきる前に本能的に時を止めて腕を服の中に入れたんだ。つまりあの時お前が壊したのは『服の袖』だけだったんだよ!」
「そして、次にお前は『全部あなたの計算のうちなの!』と言う!」
「全部あなたの計算のうちなの!はっ!」
「あたぼうよ!この慶条丞一は何から何まで計算のうちだぜ!(ほんとは少し危なかったけどな)」
 霊夢も含めてみんなが絶句をしていた。
 『あらゆるものを破壊する程度の能力』、そんな危険に満ちた能力にさらに『あらゆるものを燃やし尽くす能力』のスタンドを相手に遊びと言ってのけたのだ。
「そもそも、これはこっちのワンサイドゲームなんだわ」
 丞一はスタンドを引っ込め、刹那、スタンドパワーを跳ね上げた。
 フランドールにレミリアは戦慄しおののいた。スタンドパワーというものを改めて理解した。
 すると、丞一の腰にはL字のベルトが巻かれ、左手には黒いメモリな様なものが握られていた。そして、そのメモリボタンを押す。
「─────切り札は常に俺のところに来るからな」

『Joker!』

「改めて、見せてやろう。俺のスタンドCQCエンハンサー『フルフォースフォーム』を!」 

 それは、スタンドという定義を突き詰めた存在。『闘う』という意志に刺激されそのものの精神をかたどったものがスタンド。ならば、精神をかたどったものがスタンドならば、己の意志精神の持ちようでいくらでも強くなる。
 そんな持論によって生まれた新たな姿。
 『相対性を司る者』慶条丞一が最強だと想う姿。
 
 腰のベルトの突起部分の穴部分に黒いメモリ『ジョーカーメモリ』を差す。
 さらに溢れるスタンドパワーを感じながら、丞一は自らの体を再構成するためのキーワードを雄叫ぶ。



「────変身!」


『Joker!』

 再構成のあとそこに立っていた丞一の姿は、赤い複眼に胸部や触角のラインなどがWを象ったデザインの全身漆黒の戦士の姿だった。
 『切り札の記憶』を内包したメモリの力の極限まで身体能力が上がった脚力で、レミリアの椅子がある一番高い王座へ跳んだ。
「お前の敗因は、たった一つだぜ。フラン。たった一つのシンプルな答えだ」
 丞一はそう言い跳び降りた。
 そして、フランドールの言葉を想起した。
『だってそっちの方がおもしろいじゃん。あたふたしてるところもみれて、嫌がらせにもなる』
『博麗の巫女が聞いて呆れるね』
 フランドールは、自身の姉を、丞一の、己の友達を馬鹿にした。これだけコケにされれば十分だった。
「お前は俺を────怒らせた!」
 そういっ丞一は身体強化を生かし、一気にダッシュで近づいた。
「くっ!でも、一撃でも食らわせれば私の勝ちだもん!くらえ!シャトー・ディフ!」
「何?一撃食らわせれば勝ち?それじゃあやっぱりっ!」
 しかし、一撃必滅の黒炎が襲う。
「切り札はどんな局面だろうとすべてを覆すもの。それ自体になっているジョジョに一度見た攻撃が通じるわけがない」
 咲夜が確信を持って言う。
 因みに実体験である。
 そしてその炎は丞一に触れる直前、
「無駄無駄無駄ぁ!」
 何かによって防がれる。
「なっ!?バカな!シャトー・ディフを弾き飛ばした!?」
「てめーのことじゃあねーか!!」

『Joker!Maximum Drive!』

「ライダーキック!オォラァァ!!」
 ─────裁くのは、俺のスタンドだぁ!
「ぐ、ぐぁああ!!!」
 跳び蹴りを食らい、フランドールは吹っ飛んでいった。
「絶望が、お前のゴールだ!」
 フランドールはドカーン!と特撮の敵よろしく爆発をした。※気絶してるだけです。爆発は演出です。
「フィー、やれやれだぜ」
 


 
 

 
後書き
 レミリア・スカーレット
 500歳
 種族:吸血鬼
 能力:『運命を操る程度の能力』
 紅魔館の主。基本咲夜にしか慕われていない。幻想郷に入ってすぐ起こした異変『吸血鬼異変』のすぐ後に咲夜を拾った。十六夜語録はレミリアが言ったものを引用しているのに誰もがそれを信じてくれない事実がある。
 スタンド『ヒエログリフ』
 人型スタンド。能力は『過去に干渉する能力』。つまり、完全なる後手の先。因果逆転。



『スタンドCQC エンハンサー』
「enhancer」とは「高める/強める/増やす/誇張するもの」の意味。四部にて主人公の東方仗助はスタンドの出し方について「『自分の身を守ろうとする』か『相手をこらしめてやる』って気持ちになりゃあいいんだよ」と言った。丞一はそれを『闘争心』と捉えた。四部の康一や七部のジョニィ・ジョースターが精神の成長によって進化させてきたように、戦闘において最も適した(テンションが上がる)存在へ変化させる。

  
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