名キャッチャー
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第三章
「体力なるかるから」
「ダイエットしてっていうのね」
「それにそうしたらパワーもなくなって」
それでというのだ。
「バッティングもスローイングにもね」
「体力必要で」
「特にブロック」
従姉にもこれを話した。
「それに必要だから」
「ウエスト引き締めるつもりないの」
「ウエストもないと」
それこそというのだ。
「キャッチャーになれないから」
「そうなのね」
「ええ、そうよ」
「私ソフト部じゃなかったから」
「バレー部だったわよね」
「ウエストはね」
自分のウエストを見つつ彩に話した、見れば彩のそれよりも遥かにほっそりとしたものだ。
「いらないから」
「細くてもいいわよね」
「ええ、そうだったから」
「私は違うから」
「ソフトのキャッチャーだから」
「ウエストも必要なのよ」
「名キャッチャーになる為には」
従姉も応えて言う。
「そちらもなの」
「古田さんみたいになる為にもね」
「古田さん太ってないけれど」
「痩せてもいないでしょ」
「そうね」
古田の体型を思い出しつつ彩に答えた。
「別にね」
「だからね」
「痩せるつもりはないの」
「私はこのままでいいわ」
「そうなのね」
「ええ、本当に」
従姉にあっさりと答えた。
「デブって言う奴もいるけれど」
「全然デブじゃないわよ」
従姉は彩にこのことも話した。
「そこは安心して」
「それでも言う奴は昔からいるのよ」
「けれど太ってないから」
このことは安心していいというのだ。
「全然ね」
「そうなの」
「もっと引き締めたらっては言ったわ」
従姉もこの言葉は否定しなかった。
「けれどね」
「デブっていう程はなの」
「ないから、それもそも彩ちゃんそう言われてダイエットする?」
彩にあらためて尋ねた。
「そうする?」
「そう言われたら」
「そうでしょ、しないでしょ」
「ええ、別にね」
「いいキャッチャーになりたいなら」
「痩せ過ぎたら」
それこそというのだ。
「本末転倒だから、最低でも梨田さん位ないと」
「ああ、楽天の監督さんね」
「あの人位ないと」
「あの人も太ってないけれど」
「私の場合これがベストだから」
それでというのだ。
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