夢幻水滸伝
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第十五話 傭兵の四人その七
「僕はやや悲観的でしょう」
「そうか?」
「常に上手くいかなかった場合も考えています」
「芥川は何段もって考えてるけどな」
その策をだ。
「自分は上手くいかんかったらと思ってか」
「手を考えていっています」
そうだというのだ。
「政のそれを」
「そして戦もか」
「そうです、しかも予算や国力は余分には注ぎ込まない様にしています」
「無駄も省くんやな」
「その辺りの計算は中原君にしてもらうことが多いです」
算盤勘定の上手な彼にというのだ。
「そうしてもらっています」
「ああ、あいつな」
「頼りになります」
中原のその算盤勘定はというのだ。
「彼は商いも上手ですし」
「何かとやってくれてるか」
「砲や鉄砲の指揮も出来ますが」
「メインはあくまで政か」
「はい、そちらです」
中原の真骨頂はというのだ。
「あくまで」
「そうか」
「はい、それでは」
「後は戦局がどうなるかやな」
「それを見ていきましょう」
太宰は鏡を観た、領内なら何処でも観られるその鏡を。
「これより」
「そろそろ戦がはじまるんやな」
綾乃もその鏡を観つつ言う。
「そうやな」
「そうかと」
太宰は綾乃にすぐに答えた。
「瀬戸内の海でぶつかります」
「吉川君と玲子ちゃんやな」
「はい」
その二人だとだ、太宰は綾乃に答えた。
「その彼等がです」
「やってくれるんやな」
「そうかと」
こう綾乃に確かな声で答えるのだった。
「まず大丈夫です」
「勝てるんやな」
「先程敗れる場合も申し上げましたが」
「それでもやな」
「吉川君の水軍の采配は見事です」
こう言う他ないものだというのだ。
「それに我々はあの船が間に合いました」
「あれやな」
「はい、あの船達があればです」
船をあえて複数形に変えてだ、太宰は話した。
「この国での海や川での戦はです」
「大丈夫か」
「はい」
だからだというのだ。
「まず大丈夫です、数も多少ですがこちらが優勢ですし」
「そのこともあってか」
「あの船達だけでなく鉄砲も炮烙も充実しています」
そうした武器もというのだ。
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