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オズのジュリア=ジャム

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第二幕その十一

「牧場も飼育小屋の中も倉庫も村のあちこちもね」
「そうだね」
「全部探したよ」
「じゃあお家の中はどうかな」
「お家の?」
「そう、お家の中はどうかな」
「あっ、そういえば」
 言われてです、ディックもはっとなりました。
「お家の中は」
「探していないね」
「うん」
 ディックは目を瞬かせながらかかしに答えました。
「そこまでは」
「そう、じゃあわかるね」
「トニーはお家の中にいるんだ」
「じゃあお家の中を探してみよう」
「今から行って来るよ」
 そのお家の中にというのです、そしてです。
 実際にお家の中に入っていきました、牧場の傍にあるそのお家にです。そうしてお家から出て来た時にはです。
 ディックが言った通りの大きくて緑の長い毛を持っている目のところが毛で隠れた犬がディックと一緒に出てきました、そしてです。
 ディックはその犬を連れて皆のところに来て言いました。
「いたよ、トニー」
「やっぱりね」
 かかしはディックの言葉を受けて笑顔で応えました。
「犬はお家の中にいたね」
「まさかお家の中にいるなんて」
「いなくなった人、なくなったものはね」
「近くにいたりあったりするんだ」
「そうだよ、人は意外と手元や足元は見ないから」
 それでというのです。
「気付かないからね」
「だからなんだ」
「そうだよ、だから君の犬もね」
 そのトニーもというのです。
「近くにいたんだ」
「いや、実はお父さんとお母さんに呼ばれてね」
 トニーがお話してきました。
「お家の中でおやつを食べてそのまま寝ちゃったんだ」
「それならそう言ってくれたらよかったのに」 
 ディックは口を尖らせてトニーに言いました。
「探したんだよ」
「御免ね」
「というかおやつって」
「うん、ちょっと早かったけれどね」
「それ食べていたんだ」
「そうだよ」
「けれど見付かってよかったよ」
 ディックはこのことは心から喜んでいます。
「本当にね」
「かかしさんだからこそわかったことね」
 ジュリアはかかしを見てうんうんと頷いています。
「その知恵で」
「いや、村のあちこちを探してもって聞いてね」
「それでなのね」
「いないとなるとね」
「身近かもって思ったのね」
「聞くところ目立つ外見だし」
 実際にかなり目立つ外見でした、かかし達が見ても。
「本当にね」
「だからなのね」
「それで見付からないとなると」
「近くね」
「そこにいるかもって思ったんだ」
「そして実際にいたわね」
「本当に案外ね」
 これがというのです。 
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