運命の選択

「今こうして飲むだけの金もな」
「バイト代をつぎ込んで」
「なかったかも知れないしそれどころか借金もな」
「作っていたかも」
「そうかもな」
「いや、たまたま見てたまたま入ろうとしてたまたま止めようとしたけれど」
　洋祐は卵焼きを食べつつ枝豆を食べている大輝に応えた。
「止めてよかったね」
「本当にな」
「思わない運命の分かれ目だね」
「俺もそう思う」
「いや、何でもないんだけれど」
　それこそこうしたことは日常でよくあることだ、パチンコ屋に行くにしても止めるにしてもだ。
「そこが運命の分かれ目だね」
「そうしたこともあるんだな、むしろな」
　大輝も言う。
「運命の分かれ目とかはな」
「普通にあちこちにある」
「そうしたものかも知れないな」
「まさにここぞって時にあるんじゃなくて」
　ゲームの選択肢の様にとだ、洋祐は言った。
「そうでもないんだ」
「実際の世の中はな」
「成程ね、これから気をつけていくよ」
　洋祐は神妙な顔で賑やかな居酒屋の中で言った、和風を軸にした店の中は若い客達が好きに飲み食いしている。
「そうした些細なことも」
「そこから身を持ち崩すってかるからな」
「ギャンブルでも何でも」
「薬とかでもな」
「全くだね、いやそう思うと危なかったよ」
　焼酎を飲みつつ言うのだった。
「あの時は」
「今思うとな」
「ギャンブルには気をつけろだね」
「自分の性格を知っているとな」
　若しギャンブル依存症になる様な性格ならというのだ。
「最初からしない方がいい」
「そうか」
「ああ、本当にな。俺もな」
「大輝もなんだ」
「気をつけてるしな、冗談抜きにやばい店に目がいっても」
　そうしたギャンブルの店等だ。