レーヴァティン
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第十四話 森を進みその十六
「この世界のことも説明出来ません」
「ドラゴンについてもな」
「あの著者なら小説のドラゴン、龍もですね」
西洋のものだけでなく東洋のものもだ。
「自分の科学知識を絶対として語るでしょうが」
「絶対に面白くないな」
「しかも間違った知識です」
そこにあるものはというのだ。
「そうした科学的知識も入っていますので」
「この世界じゃ何の役にも立たないな」
「現実の世界でもそうですが」
順一の否定はさらに強かった、彼等本来の世界も含めてというのだから最早完全な否定だった。
「この世界では何も語れません」
「そうだよな、どう考えても」
「ドラゴンも他のモンスター達も」
「何も語れないか」
「術も。そもそもです」
「そもそも?」
「何かを万能とすることは妄信です」
順一はまた否定のこと伊庭を出した、妄信というそれを。
「この世に万能なものはあるか」
「そう言われるとな」
「ないよな」
智も久志もこのことはわかった。
「人間も完全じゃないしな」
「その人間が生み出したものならな」
「万能の筈がないしな」
「科学だってな」
「順一の言う通りまだまだわかってないしな」
「他にも色々な学問があるしな」
「科学を妄信するということは宗教を妄信することと同じです」
こうした科学万能主義者は何かというと非科学的という言葉を使いたがる、そして科学で説明出来ないからと否定する。それはオカルトもそうだし宗教もそうであるし空想科学も漫画や小説の科学を否定するがだ。
しかしそれは今現在の科学への妄信だとだ、二人も気付いたのだ。
「それじゃあ進歩もないしな」
「変な信仰と同じだな」
「何の役にも立たない」
「それどころか有害か」
「その通りです、この世に万能なものはない」
順一は言い切った。
「このことが真実かと」
「ドラゴンもな」
久志も彼等が目指すこのモンスターについて言及した。
「今現在の、俺達の世界の科学じゃな」
「説明出来ないだけです」
「けれど未来の科学や他の学問ならか」
「説明出来る様になるかも知れません」
「そういうことか」
「はい、あの本で否定されていた猫型ロボットの道具や光の巨人や怪獣達も同じです」
「あのおっさん何でもかんでも否定するんだな」
久志はそのシリーズの著者を『おっさん』と呼んで話した。この言葉自体は否定ではないが彼は今は否定的に使った。
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