ソードアート・オンライン~白と青の軌跡~
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夢から始まる
前書き
遅くなりました……
部活が忙しくやっと落ち着きました笑
今回はアスナ視点です!
気持ちを穏やかにさせるオルゴール音が頭に響く。
朝だと告げるオルゴール音。
私はその音で毎朝目を覚まし、隣で寝る彼よりも早く起きて寝顔を見るのが習慣だった。
大人びていて身長も、剣術も、勉強でも私より上に行く彼。
そんな彼でも時々見せる幼い姿を私は好きだった。
「君は私が支えるよ、だからずっと一緒にいようね。」
私は思っている事を口にしながら、彼に近づき抱き締める……はずだった。
いつの間にか隣にいた彼は居なくなって、今まで見ていた家の景色と変わり外の街の景色。
──ライくん……!?
私は慌てて周りを見る。
ギルドメンバーはいるのに、彼の姿だけが無い。
どれだけ探しても、どれだけ走っても彼の姿だけが無い。
──どうして…!
次に視界に写ったのは、リアルの世界の景色。
家があり両親が傍にいて、ずっと帰りたいと願っていた場所。
でも、彼だけはいなかった。
「どうして……何で、蒼くん…!」
「っ…!今のは…夢…?」
目が覚めると、いつも見る天井。
呼吸は乱れてなかなか落ち着けない。
──はぁはぁ……、落ち着け私…!
私は深呼吸しながら隣にいる彼を見る。
だが隣には彼、ライアの姿は…………
「え、ライ…くん…?」
私は夢ではなく現実なのでは?と思い、慌ててベットから飛び出して扉を開けた。
階段を降りると下から声が聞こえた。
「おはよ、アスナ。」
「はぁはぁ……あおくん……?」
あおくんは私の慌てた姿に驚いたようで、キッチンから私に近づいてソファに二人で座った。
「どうした?」
「私、わたし……夢で蒼くんだけが居なくなっちゃって何処を探しても居なくて……それで……。」
そこまで言うと彼も分かったようで、私の前に座っていた彼は移動して私の隣に座って抱きしめた。
「あおくん…?」
名前を呼んでも彼は黙ったままだった。
私は彼の背中に腕を回す。
「……ん。」
「え?」
彼は小さな声で呟いたが、私の耳には届かず聞き返した。
「ごめん、驚かせたよな……。」
彼は抱きしめる力を強めて、しっかりと聞こえる声で言った。
「あのー……。」
私が彼の名前を呼ぼうとしたと同時に違う声が聞こえた。
私たちは、その声が聞こえた瞬間に離れて視線を動かした。
その視線の先には──────
「暑いですな~?」
「お、お邪魔しました…!!」
「いいなー!アタシも、ぎゅっとしたーい!」
「あー……、続けて下さい?」
「………(ずるい。)」
上からリズ、シリカちゃん、ストレアさん、リーファちゃん、シノのんたち。
「あ…あ……。」
「………や、やぁ?」
私はパニックになり、ライくんは苦笑いで皆に挨拶をした。
落ち着きを取り戻した私達は、中に皆を招いた。
「いきなり来て、どうしたんだ?」
ライくんは『?』を頭の上に浮かばせながら聞いた。
「あー、それはね。」
リズが何かウィンドウを開いて操作する。
「あ!」
私はある事を思い出してウィンドウを開いた。
「おいおい、アスナさんまでどうしたんだ?」
──不味い、忘れてた……!
私は急いである物を探してオブジェクト化させた。
「ライくん、これ……」
「ん?ネックレス…?」
青色の宝石がはめられているネックレス。
「アスナさん、渡してなかったんですね」
シリカちゃんが微笑みながら言った。
「ごめんね……、あのね。これ、シリカちゃんとリズから75層攻略前に渡してほしいって預かってて……。」
ライくんは、きょとんとして私の手にあるネックレスを見てからいきなり笑い出した。
「ぷはは、75層って半年前じゃん」
そう言いながらネックレスを手に取り、2人に笑顔で「ありがとう。」と言って装備した。
「似合ってるね、ライア!」
「良いんじゃないかしら、青だし。」
そんな会話をしているとリズが真面目な顔でポツリと言った。
「ねぇ、次でこの世界とも終わりなのよね」
「一応そうね」
シノのんが反応した。
次は100層攻略。
「やっと、あの世界に帰れるんですね」
「アタシも見てみたいなー、リアルの世界!」
「すっごく世界が変わってますよー!」
シリカちゃん、ストレアさん、リーファちゃんは、はしゃぎ始めた。
「まだまだ気は抜けないけどね。」
私は微笑みながら言った。
でも、隣にいるライくんはずっと黙ったまま。
「ライア?」
ストレアさんが違和感を感じたのか話しかけた。
「……………。」
ライくんはボーッとしているのか返事がない。
私は彼の肩を揺らしながら話しかける。
「ライくん?」
「っ!?どうした?」
「どうしたも何も、アンタが話しかけてもぼーっとしてるからアスナが肩を揺らしたのよ。」
シノのんが呆れた表情を浮かべながら言った。
「あー、ごめんごめん。考え事してた。」
彼はそう言って苦笑いで返事をして「紅茶淹れ直してくる。」と言って席を立った。
「……なーんか、変ね。」
「そうですね…ライアさんは1人で考えちゃう人ですから。」
「ライアはもっと私達に頼るべきだよ!」
「あんな顔をしてる時って大体1人で解決しようとしてる時よね。」
「昔からポーカーフェイスが上手すぎて本当に潰れそうな時しか顔に出さないんだから……。」
ライくんを皆が心配している。
でも彼は誰も頼らない。
それは昔から。
どれだけ頼って欲しいと言っても、その気持ちだけで十分だよと笑って返す。
まるで、これ以上踏み込むなと言うように優しく彼は線を引く。
綺麗な薔薇ように触れていい所までは何も言わず、触れてはいけないところは棘を出す。
彼はその棘を潰れる間際まで出し続ける。
──君はいつもそう……。
この時、私はまだ知らなかった。
彼がこの世界を終わらすための犠牲になろうとしていること。
彼の時間がすぐ側まで終わりが見えていること。
今日見た私の夢が、何かを伝えようとしていることを。
デスゲーム終了まで残り………2日。
後書き
最近、コードブルーが好きすぎて自分に呆れてきています。
がっきーloveです( ˙-˙ )
では、また次回!
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