気になっていて
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第一章
気になっていて
平野恵には悩みがあった、その悩みは何かというと。
体育の授業の前に更衣室で着替えながらだった、半ズボンを穿いたところで自分の脚を見て言った。
「太いわよね」
「またその話?」
「脚が太いっていうのね」
「挙句は身体全体が太い」
「そう言うのね」
「ううん、どうしてもね」
恵はその奇麗な眉を曇らせてクラスメイト達に答えた、皆それぞれ着替えている最中である。
「太いかなってね」
「気にし過ぎでしょ」
「皆そんなものよ」
「恵ちゃん普通でしょ」
「特に太ってないわよ」
「そうかしら」
自分では太っていると思ってこう言うのだった。
「どうもね」
「自分では太い」
「そう言うのね」
「そう思えて仕方ないのね」
「私としてはね、こうなったら」
ここで恵は決心した、言いつつ体操服の上着を着る。白い奇麗なものだ。生地が厚めで白いブラに覆われた大きな胸も問題なく覆っている。
「もう部活だけじゃなくて」
「ダイエット?」
「それするの?」
「はじめるの?」
「そうするわ」
水泳部の部活以外にもというのだ。
「そうしてね」
「痩せるの」
「脚も身体も」
「そうするの」
「そうするわ」
絶対にとだ、着替えのチェックをしつつ友人達に言った。
「今からね」
「じゃあ食事制限とか」
「カロリーも考えて」
「そうしていくの」
「そうするわ、それで痩せて」
そうしてというのだ。
「すらっとなるから」
「モデルさんみたいな」
「そんな体型になるの」
「今から」
「その通りよ」
まさにとだ、恵はその目を輝かせてもっと言えば強くさせてそうしてであった。早速だった。
食事を変えた、大好きな麺類もラーメンやうどんから蕎麦にして。
おやつもこんにゃくゼリーや低カロリーのものにしてだった。
納豆や豆腐を中心に食べる様にして肉もだった。
「お母さん、お魚かささみにして」
「お肉は?」
「そうしてね」
「ささみってね」
母は娘のその言葉にこう返した。
「格闘選手みたいじゃない」
「だって低カロリーだから」
それでというのだ。
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