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夢幻水滸伝

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第十四話 攻めるものその三

「それでにゃ」
「あまり無理せずに」
「そうしてですか」
「攻めるにゃ」
 こう部将達に言った。
「それでいくにゃ」
「ほな今から」
「石見に出陣しましょ」
「目指すは銀山ですな」
「そうするにゃ」
 こうしてだった、弥生は出雲を守れるだけの兵を置いたうえで石見に出陣した。播磨での戦の結果を聞いたうえで。
 そして岡山城ではだ、関西の軍勢は城を囲んだ。だが。
 本陣から岡山城の天守閣を見てだ、中里は夏目と中原に言った。
「さて、囲んだけどや」
「攻めるのはでおじゃるか」
「せん」
 こう言うのだった。
「城を攻めるよりええやり方があるわ」
「そういうことおじゃるか」
「人を攻めるって言うてはりましたし」
 夏目だけでなく中原も言ってきた。
「ほなここはですか」
「そうしていきますか」
「ここは任せたで」
 二人にというのだ。
「僕はある程度の兵を率いてや」
「そうしてでおじゃるな」
「そのうえで」
「動く、このころは派手に宣伝するんや」
 自身の動きをというのだ。
「頼んだで」
「わかりましたでおじゃる」
「そういう風に」
 二人も中里に応える、そしてだった。
 彼はあえて、城の兵達からも見えて聞こえる様に派手に動いた。城の兵達はその動きを見て言った。
「おい、敵の一部が西に行くぞ」
「安芸に行くんか?」
「まさか安芸を攻めるんか」
「それとも備前の他の場所か?」
「そういった場所攻めるか?」
「しかも先頭におるのはじゃ」
 派手に動く彼等のそこも見ていた、もっと言えば見せられていた。
「敵の棟梁の一人じゃ」
「あの神星の鬼族じゃ」
「戦で散々暴れ回った鬼が行くぞ」
「他の場所攻め落としに行くんか」
 彼等は眉を顰めさせて言い合った、そしてだった。
 あらためてだ、彼等は剣呑な顔になり言い合った。
「すぐに棟梁にお知らせするか」
「そやな」
「その方がええのう」
「元々何でもすぐに知らせって言われてるしのう」
「ほなこのことは棟梁にお知らせするか」
「ああ、すぐにな」
「そうすべきじゃ」
 彼等はすぐに敵の動きを井伏達に伝えることにした、だが。
 井伏も天守閣から敵の動きを見ていた、それでだった。
 共に観ている山本に顔を向けてだ、強張った顔で問うた。 
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