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夢幻水滸伝

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第十三話 星と兵とその十五

「それがいきなり来るとかな」
「予想出来んわ」
「迂闊じゃった、しかしな」
「それでもじゃな」
「まずは岡山じゃ」
 この城だというのだ。
「そこまで逃げるんじゃ」
「それしかないのう」
「まずはな」
 何につけてもとだ、彼等はこう話してだった。山本を後詰として撤退に入った、その彼等を見てだった。
 中里は全軍にだ、こう言った。
「追うけどな」
「それでもでおじゃるか?」
「敵は必死じゃ」
 後詰のまさに最後尾にいる山本を見ての言葉だ。
「ここで全力で攻めてもな」
「損害が多いでおじゃるか」
「そうなりかねんからな」 
 だからだというのだ。
「ここはあえてな」
「逃すでおじゃるか」
「追うのはある程度でええ」
 追いはしてもというのだ。
「それでじゃ」
「次でおじゃるな」
「敵は退けた、後は備前に入る」
「そして備前で、でおじゃるな」
「次の戦や」
 そうするというのだ。
「次の戦ではもう考えがある」
「そのお考えは」
「もう頭の中にあるわ」
 こう夏目に返した、笑みを浮かべたうえで。
「そやから任せてくれるか」
「わかりましたでおじゃる」
 夏目は中里のその笑みを浮かべた顔を見て彼もまた笑みを浮かべて返した。
「ではある程度攻めさせてもらうでおじゃる」
「ほなな」
 こうしてだ、中里は軍勢に攻めさせはしたがある程度に留めて山陽の軍勢を退かせた。井伏はそのまま軍勢を岡山城に向かわせ山本も戦場を離脱した。
 その彼等を見てだ、中里は勝ち鬨の後で本陣でその勝利を祝う酒を飲みながら共にいる星の者達に言った。
「このまま備前に入ってな」
「城攻めですか」
「そうする、ただ佐藤兄妹は持ち場に帰ってもらうで」
 中里は中原に応えつつ兄妹に話した。
「戦は終わったしな」
「ほな後はですか」
「お三方での戦ですか」
「そうなるわ」
 実際にとだ、中里は兄妹の問いに答えた。
「実際一時の助っ人やったやろ」
「そうでおじゃる」
 二人を呼んだ夏目が中里に答えた。
「流石に何日もは難しいでおじゃる」
「東海と北陸の連中考えたらな」
「それで、おじゃる」
「二人にはもう帰ってもらってな」
「守りに戻ってもらうでおじゃる」
「連中は関東に主力を向けたにしても」
 それでもとだ、中里は東国の状況を脳裏に描きつつ言葉を続けていった。 
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