レーヴァティン
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第十三話 狩人その一
第十三話 狩人
久志と順一は自分達の前に出て来たモンスター達を前にしていた、それは三つの頭を持つ異形のものだった。
雄獅子と山羊の頭が身体の前にあり背中には竜のものがある。身体の前半分は獅子で後ろは山羊だ。背中には竜の翼があり尾は蛇で鎌首をもたげている。
そのモンスターが五体いる、久志は彼等を見て言った。
「キメラか」
「はい、そうですね」
順一は久志のその言葉に頷いた。
「このモンスターは」
「こいつ等ははじめて見たな」
「私は一度戦ったことがあります」
「強いだろ、この連中」
「はい」
順一は久志に即答で返した。
「それもかなり」
「やっぱりそうだよな」
「それは貴方もご存知ですね」
「キメラっていったらな」
自分達に敵意に満ちた目を向ける彼等を見据えての言葉だ、久志は既にレーヴァティンを抜いている。
「ギリシア神話でも強かったしな」
「はい、英雄ペレロポーンが倒しています」
「ペガサスに乗ってな」
「英雄も助けがないと倒せませんでした」
「そうだよな、それでケゲームとかでもな」
「強力なモンスターです」
「大抵そうだしな」
「はい、ですから」
それでというのだ。
「この島でのキメラ達もです」
「強くてか」
「お気をつけを」
「それであんたこの連中どうして倒したんだ?」
自分の横にいて術を出せる様に手を開いてやや前に出している順一に対して尋ねた。
「前は」
「術で」
「氷の術かい?」
「おわかりですか」
「キメラって炎も吐くからな」
久志はゲーム等から得た知識をここでも出した。
「だからな」
「はい、ですから」
「炎を使うからか」
「氷には弱いです」
「わかった、それじゃあな」
「氷の術を出します」
「俺はこれで戦うぜ」
今度はレーヴァティンの剣身を見ての言葉だ、既に白銀のそれに紅蓮の炎が宿っている。
「今もな」
「そうされますか」
「炎と炎だけれどな」
「それでもですね」
「戦えない訳じゃないだろうしな」
「炎が効かずとも」
「剣だからな」
例え炎をまとっていてもというのだ。
「だからな」
「大丈夫ですね」
「ああ、まあ今はな」
「それが出来るかどうかのですね」
「実験か、やるな」
「それでは」
「やられる前にやるか」
相手、キメラ達が来るその前にというのだ。
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