転生とらぶる
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ペルソナ3
1758話
あのスライムもどきを捕らえる。
そう言った瞬間、女は頬を引き攣らせながら叫ぶ。
「ちょっと、冗談でしょ!?」
「残念ながら、事実だよ。……あー、ほら。暴れるなって。この高さから落ちたら、間違いなく死ぬぞ。いや、死ななくても……」
女を抱きながら、俺の視線は地上に向けられる。
その視線を追っていった女は、再度頬を引き攣らせた。
何故なら、地上のスライムもどきが俺達のいる方に向かって進んできているからだ。
そう、見事なまでに追ってきてるのだ。
もしこの高さから落ちて助かったとしても、間違いなくどこか怪我をするだろう。
そして怪我をした状態でスライムもどきに襲われれば、間違いなく大きな被害を受ける。
その時の光景を予想したのだろう。
動きの固まった女に、小さく溜息を吐いてから口を開く。
「別にお前にあのスライムもどきをどうにかしろって風に言うつもりはない。ただ……そうだな。俺があのスライムもどきの相手をしている間、どこか向こうの手の届かない場所で待避していて貰えるか?」
「え?」
俺の言葉が余程に意外だったのか、女は間の抜けたと言ってもいいような声を漏らす。
「何だ、もしかしてお前にも戦えと、そう言うとでも思ってたのか?」
「それは……だって……」
まぁ、見たところこの女は本当に普通の女だ。
人が棺桶となっているこの奇妙な空間の中で動いている以上、実際には何らかの特殊な能力のようなものはあるのかもしれないが……それは今のところ、まだ不明だしな。
「ま、見てろよ。あの程度のスライムもどき、俺の前では雑魚でしかないからな。……倒すんじゃなくて、捕らえるのはちょっと難しそうだが」
「……分かったけど、怪我をしないで戻ってきなさいよ。君には色々と聞きたい事があるんだから」
「それはこっちも同じだよ。この現象の事とか、本当に色々と聞きたいし」
「そう言われても……私だってその辺は余り分からないわよ」
そう告げる女の言葉に、少しだけがっかりする。
あのスライムもどきに襲われていた光景から、何となくそんな予想はしていた。
だが、それでもやはり、本人の口からそんな言葉を聞かされれば、思うところはあるのだ。
……いや、もしくはこの状況の中で動いているという事は、現在能力が目覚めつつある、という可能性もあるのか?
そうであるとは限らない。
だが、ここがどのような世界なのかは分からないが、それでも何らかの物語の世界であるのは間違いないだろう。
そして、主人公やその仲間達が徐々に力を増していくというのは、よくあるパターンだ。
こっちにこの世界の情報がない以上、今の手掛かりは目の前の女とあのスライムもどきしかないというのも事実。
だとすれば、こっちで何とか手掛かりを得る必要がある。
W世界の時のように、原作知識があるのとないのとでは大違いだな。
もし原作知識があれば、こっちでも色々と動き回る事が出来るんだが……いや、今更考えても仕方がない。
「ともあれ、その辺りの話は今回の件が終わってからだ。じゃあ、ここで待ってろよ」
近くにあった建物の屋根に女を置き、そのまま再び空中に浮く。
何故か今の女が目を大きく見開いて俺の方を見ているような気がするが、その辺りの話は、あのスライムもどきをどうにかしてからだな。
……もしこのまま俺があの女を置いていなくなれば、あのスライムはどうするんだろうな?
俺を追う? いや、この場合はやっぱりあの女を狙うだろう。
それが具体的にどのような攻撃になるのかというのは、俺にもちょっと分からないが、スライムの類であれば壁を這いずり上がっていく感じで上っていっても不思議ではない。
そう思うのは、きっと俺だけではない筈だ。
勿論、そんな事をするつもりはないんだが。
……スライムもどきの挙動を観察し、向こうについての知識を得る為と考えれば、とてもいいような選択のような気はするが……それを行うと、確実にあの女からの信用を失う。
少し話した感じでは、あの女は相当に気が強い。
若干無理をしているようにも感じられたが、まぁ、何も知らない一般人がこんな状況に巻き込まれれば、普通なら無理をしているように感じられるのも当然だろう。
寧ろ、今の状況で泣き喚いていないというのは評価出来る。……俺が来るまでは散々悲鳴が上がっていたようだったが。
となると、俺が来たからか?
もしくは、助けがくると理解したから……そういう可能性も、ない訳ではないか。
そんな風に考えながら、俺はスライムもどきの前に降り立つ。
向こうは俺を見た瞬間、即座に手を出してきた。そう、文字通りに体から生えた手の何本かが俺に向かって伸びてきたのだ。
「ちっ、予想してたけど早速かよ」
少しくらいは様子見をするのかと、そんな風に思っていたんだが……どうやら向こうは、そんな事は関係ないらしい。
本来なら、俺は混沌精霊なので物理攻撃は通じない。
だが今回の場合、向こうもスライムもどき……いわゆる、ファンタジーの世界の住人だ。
そうである以上、この一撃に魔力的な属性を持っていても不思議ではなかった。
俺の魔法防御をそう簡単に抜ける事が出来るとは思わないが、それでもやはり念には念をと考えた行動をした方がいい。
魔法を使うか、それとも直接攻撃か。
一瞬迷ったものの、俺はすぐに判断して空間倉庫から目的の物を取り出す。
「はっ!」
気合いの声とともに振るわれたのは、深紅の槍。
……そう。俺がFate世界で行われた聖杯戦争においてランサーから受け取ったゲイ・ボルグだ。
クー・フーリンが使用していた宝具だけに、その性能の高さは言うまでもない。
これで、実はこのスライムもどきに効果がなかったら、どうしようかと考えてしまうだろうくらいには。
俺に向かって伸びてきた手に対し、振るわれる槍。
槍らしい突きではなく、横薙ぎの一撃。
だが……ゲイ・ボルクの一撃がスライムもどきの手に触れた瞬間、そのスライムもどきはまるで液体のように姿を変え、消えてしまう。
それこそ、まさに水風船を地面に向かって叩きつけたといった印象を受ける感じの結末。
「……え?」
あまりに予想外の展開に、俺の口から自分でも分かる程に間の抜けた声が出る。
いや、だって……本来は捕らえる筈だったのが、まさかこんな結果になるなんて思ってもみなかったし。
本来の予定なら、今の一撃であの手を斬り飛ばして、スライムもどきの身体の本体は確保する予定だったのだ。
まぁ、今考えれば、捕虜にするにしてもどうすればいいのかといった問題もあったのだが。
そもそも、捕虜にしたところで喋れる訳でもなし。
それでも色々と調べる事が出来れば、あのスライムもどきの生態とかそういうのを知る事が出来たんだろうが。
「ちょっとー! 捕まえるんじゃなかったのー!?」
少し離れた場所にある屋根から、女の叫ぶ声が聞こえてくる。
あー……うん、そうだな。ちょっとやっちまったのは間違いない。
トン、と地面を蹴って空中に浮き上がっていく。
そうして女の側に着地しながら、小さく溜息を吐いて口を開く。
「まさか、あの程度で死ぬとは思ってなかったんだよ。……いや、死ぬって表現でいいのか? あのスライムもどきは本当に生きてたのか?」
ふと気になって自分のステータスを見るが、撃墜数は変わっていない。
BETAっぽい感じの奴等なのか?
「知らないわよ、そんなの。……にしても、君、その槍はどこから出したの? 持ってなかったわよね?」
「あー……そうだな」
俺にとっては空間倉庫というのは使えて当然のものだ。
また、W世界では大々的に使っていたという事もあり、ここが未知の世界であると理解はしていたものの、行動はちょっと迂闊だったな。
「それに、その槍……何だか、見た感じもの凄いんだけど……」
「まあな。色々と逸話のある槍だし」
宝具という言葉を口にしてもいいのかどうか迷ったのだが、取りあえずそうしてお茶を濁す。
こうして見る限り、この女の外見は今時の女子高生といった感じだ。
宝具とか何とか、そんな事を言っても恐らく理解出来ないだろう。
いやまぁ、こんな現象に巻き込まれたんだから、これからその手の武器に触れるような事になる可能性は十分にあるが。
「色々って……そもそも、君は何者なの? 何でこんな風に空を飛んだりとか、そんな真似が出来るの?」
「何でと言われても……そうだな、ぶっちゃけ魔法使いだから?」
普段であれば新しい世界で魔法を使えるというのは誤魔化すのだが、今回に限っては最初から思い切り巻き込まれている。
おまけに、敵はどうやら生身で戦う……いわゆる、PTやMSといった人型機動兵器の類を使うような存在ではないのは間違いない。
あのスライムもどきが乗っている人型機動兵器とか、見てみたい気はするけど。
ああ、意外とメギロートとかなら、それなりに合うかも?
もしくはバッタとか。
「魔法使い……ね。普通ならとても信じられるような話じゃないんだけど」
「だろうな」
黒い棺になった人に、スライムもどき、そして空を飛んだり、どこからともなく見て分かる程の槍を取り出した俺。
それを見て、ここがファンタジーの世界ではないと言われても、ちょっと信じられないだろう。
目の前に、証拠がこれでもかと言わん程に存在しているのだから。
そう考え、ふと納得する。
恐らくこの世界は、ネギま世界のように魔法の類が秘匿されてるのだろうと。
そもそもの話、あんなスライムもどきが存在している以上、それに対抗する為の存在が皆無というのは考えにくい。
だとすれば、ネギま世界やFate世界のように秘匿されていると考えるのが正しい。
となると、どうにかしてそっちの存在に関わる必要があるか。
いや、別に無理にそっちに関わらなくてもいいのだが、W世界に続いてこの世界でもゲートが起動しない以上、どうにかしてホワイトスターと連絡を取る必要がある。
その方法として可能性が高いのは、やはりそんな未知の能力を持っている存在と接触する事だろう。
Fate世界でも、凛が魔術で……いや、魔法でW世界にやってきたんだから、そう考えれば可能性は皆無という訳じゃない……と思いたい。
可能性は低いが、それでも絶対ではない。
……まぁ、W世界の時と同じように、レモンがこっちを見つけてくれるのを待った方が手っ取り早いと思うが。
W世界という前例がある以上、レモンが俺を見つけるのに掛かる時間はそう多くない筈だ。……もっとも、ゲートで繋がっていない状況ではホワイトスターとこの世界に時差が出る。
事実、俺がW世界で活動していたのは半年以上にもなるが、ホワイトスターの方では1ヶ月半程度だったらしいし。
「それで、魔法使いとしては、この現象をどう思ってるの?」
女の声で、我に返る。
一応周囲の様子を警戒して握っていたゲイ・ボルクを空間倉庫に収納しながら、女に手を伸ばす。
「どうって言われてもな。……難しいところだ」
PTとかMSのような兵器がある世界であれば、それこそ傭兵だなんだと誤魔化す事も出来るだろう。
だが、この世界では違う。
少なくても昼間に色々と情報を集めた結果では、ロボットの類は表向きには一切存在していなかった。
であれば、いつものように傭兵と言い張るのはちょっと難しい。
いや、この世界でも普通に戦争とかはあるんだから、普通の意味での傭兵はいるんだろうが……残念ながらと言うべきか、この女には俺の魔法とかを既に見せてしまっている。
そうである以上、まさか傭兵だと言っても信じては貰えないだろう。
寧ろ、魔法世界とかの傭兵だと言った方が説得力はあるか?
けど、その辺りの事情とかを詳しく突かれれば、色々と問題があるのも事実だ。
一時的に誤魔化すのはそれ程難しくないだろうが、この女は現状で唯一の協力者だ。……協力してくれるかどうかは分からないけど。
ともあれ、そんな状況で嘘をつき……このスライムもどきに関わっていった結果、それが嘘だと知られたら、色々と不味いのは確実だろう。
そうである以上、素直に話すしかないのか?
「難しいところって、それどういう意味? まさか、何か隠してる訳じゃないわよね?」
「それは当然だろ。誰にだって隠したいことの1つや2つあって当然だ」
「それは……」
女にも、何か心当たりがあったのだろう。
そのまま口籠もるように黙り込む。
まぁ、どっちかと言えば俺の方が圧倒的に隠し事は多いんだが。
そもそも、俺に関して何か言っても、普通ならお伽噺か何かにしか思われないだろう。
「そんな訳だが……そうだな、これだけは言っておくか」
「ん?」
「俺はいわゆる、この世界とは別の世界の人間だ」
この先色々と誤魔化すのが面倒になった俺は、そうぶっちゃけるのだった。
後書き
アクセル・アルマー
LV:43
PP:1435
格闘:305
射撃:325
技量:315
防御:315
回避:345
命中:365
SP:1415
エースボーナス:SPブースト(SPを消費してスライムの性能をアップする)
成長タイプ:万能・特殊
空:S
陸:S
海:S
宇:S
精神:加速 消費SP4
努力 消費SP8
集中 消費SP16
直撃 消費SP30
覚醒 消費SP32
愛 消費SP48
スキル:EXPアップ
SPブースト(SPアップLv.9&SP回復&集中力)
念動力 LV.10
アタッカー
ガンファイト LV.9
インファイト LV.9
気力限界突破
魔法(炎)
魔法(影)
魔法(召喚)
闇の魔法
混沌精霊
鬼眼
気配遮断A+
撃墜数:1389
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