憑依先が朱菜ちゃんだった件
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第5話 改訂版(2019/04/30)
前書き
どうも、沙羅双樹です。
今回は鬼一族のリムル傘下入り、及び原作より一足早いリムルの建国足掛かり編的な話です。
目指すは「うたわれるもの」のヤマトもしくはトゥスクル、または「十二国記」の慶東国といった所でしょうか?(笑)
【視点:リムル】
俺が大鬼族の姫巫女である仙鬼――大筒木朱菜と共に大鬼族達に名付けを行ってから早数時間。
つい先程まで、俺は名付けの際に供給して貰っていた仙術尾獣チャクラを変換した魔素の影響で獲得した特別技能『忍法』と『仙法』、究極技能『千手之系譜』についての説明を朱菜から受けていた。
忍術使用時に必要となる印の組み方や忍術における属性――性質変化の優劣関係、本来合成できない複数の性質変化を合成することで得られる血継限界、血継淘汰、血継網羅という特殊や究極に相当するスキルなど、覚えるのが面倒そうなことを教えて貰っていた。
ちなみに究極技能『千手之系譜』は水と土の性質変化を組み合わせた木遁を使える血継限界だそうだ。
あと、新たに獲得した特殊技能『妖怪仙人』の説明を『大賢者』から受けた。この技能のお蔭で俺も朱菜と同じ仙人に至ったそうだ。
まぁ、同じって言っても俺の方が格下なんだけどな。兎も角、この技能のお蔭で俺は完全な人間に擬態することができるようになったんだ。
そう!完・全な人間に!!完全な人間。それは俺の息子の復活を意味する!いや、元がスライムで無性だから、女に性転換もできるんだけどな。
つまり、俺の意思次第で息子を復活させたり、男を受け入れて子供を身に宿すことができるって訳だ。朱菜曰く、『妖怪仙人』に含まれる妖怪仙人化という技能で人間に変化できるそうだ。
…………うげぇぇ!後者は想像するだけで悍ましい!情報収集とかで使えそうだけど、極力女性体にはならない様にしよう。
そして、現在。俺と朱菜は存在進化を果たし、姿の変わった元大鬼族の上役及びその子息子女達に跪かれている。
「リムル様、大鬼族の民一同、名を賜ったことで問題なく進化することができました」
「そ、そうか。ところで、お前は大鬼族の長だよな?」
「はっ!リムル様と朱菜から名と姓を賜ったことで妖鬼を経て帝鬼へとなりました。今は大筒木紅麗と名乗っております」
進化前は身長200cm近くあった某暗殺拳法四兄弟の長兄を彷彿させるムキムキの40代半ばから後半といった美中年が、同四兄弟の次男か四男を彷彿させる肉体を持った身長180cm前後の20代後半から30代前半の青年へと変わっていた。
これはあれか?ヨボヨボの爺さんからラ○ウへと進化したリグルドショックの再来か?内に秘めた魔素量も俺と同等か、少し下くらいな気がする。
「我が妻――穂乃花も妖鬼を経て月鬼へと進化し、息子――紅丸も鬼人族を経て羅刹へと進化しました」
紅麗のすぐ後ろには白髪美人巫女と赤髪の青年が控えていた。そういえば、白髪美人巫女さんは朱菜のお母さんだったんだな。
進化前は20代後半といった美人巫女さんだったけど、進化後は朱菜と同じ10代後半か20代前半といった美少女になっている。ってか、若返ったせいで二児の母親には全く見えなくなった。進化前も見えなかったけど……。
紅麗の息子である若様も大柄だった体格が一回り小さくなったものの、内に秘めた魔素量が進化前とは比べられない程に増えていた。
「……で、穂乃花と紅丸の後ろに控えている3人は俺の腕を斬り飛ばしてくれた爺さん――千手白老と、お前の両腕であるうちは蒼月、日向紫呉か?」
「はっ!その通りです。白老は紅丸と同じく鬼人族を経て羅刹へ、蒼月は鬼人族を経て忍鬼へ、紫呉は鬼人族を経て修羅へと進化しました」
「ほっほっほっ。リムル様、余りこの老体を苛めて下さいますな」
白老は自分のことを老体と言っているが、進化後の見た目はどう見ても30代半ばから30代後半にしか見えない。紫呉は紅麗と同じく20代後半から30代前半、蒼月は20代半ばから20代後半といった見た目だ。
「残りの254名も鬼人族を経て妖鬼へと進化しています」
「白老殿を除く全員が究極技能『団扇之系譜』と『日向之系譜』のどちらかを獲得しており、特殊技能持ちも120名いることが確認済みです」
「……えっと、その2人は?」
「青髪は自分の息子の蒼影で―――」
「―――紫髪は俺の娘の紫苑です」
「蒼月の息子と紫呉の娘か。報告、ご苦労。……で、何でお前らは俺に跪いてるんだ?俺達の関係が傭兵と雇い主とは言ったが、実際の所は対等な――異種族間同盟といった関係だ」
「大鬼族の歴史の中でも鬼人族以上の上位種族に進化できた者はそう多くありません。262名もの大鬼族が妖鬼以上の存在へと進化できたのもリムル様と朱菜が名付けを行ってくれたからこそ。
どうか、我ら一同を家臣として召抱え、忠誠をお受け取り頂きたいのです。何卒、宜しくお願い致します!!」
この場にいる元大鬼族で紅麗の発言に反論する者もいないことから考えて、紅麗の発言は嘘偽りのない一族の総意なのだろう。
しかし、元大鬼族達が今の種族まで進化できたのは、8割近くが朱菜のお陰と言える。なのに、俺がこいつらの上に立っていいのか?
俺がそんなことを考えていると、俺の隣に座っていた朱菜が立ち上がり、紅麗の前へと移動すると紅麗達と同じく俺に跪いた。
「私もお父様達と同じ思いです。どうか我ら鬼の一族をリムル様の配下にお加え下さい。必ずやリムル様の求める理想を叶える手足となります」
「ちょっ、分かった。分かったから、朱菜まで跪かないでくれ!!」
俺からすれば魔素量だけでなく、その他の能力値も圧倒的に上な朱菜は会社の専務や常務の様な存在だ。精々部長か次長ポジの俺が朱菜に跪かれるのは違和感しかない。
多分、ここで俺が主になることを断って、朱菜を推薦しても当の本人が受け入れないんだろうな。血の繋がった両親や目上の大鬼族に名付けを行えない人間的な娘だし。
「……本当に俺が主でいいんだな?」
「リムル様には王の資質があります。どうか、人鬼族と嵐牙狼族だけでなく、私達鬼の一族も束ねる王となり、私達の忠誠をお受け取り下さい。我らが聖上」
うおっ!いつの間にか同盟の盟主じゃなくて王様にされた!?聖上って確か皇帝の敬称だっけ?こいつら、ガチだ。
【視点:朱菜】
私達がオーバー■ードに登場するナザリックのNPCの様にリムル様への忠誠を捧げた後、人鬼族の町の広場に全人鬼族、嵐牙狼族、鬼一族が集められ、リムル様の演説が行われました。
内容はリムル様の傘下に私達鬼一族が加わったことと、この町をいずれは他種族共生国家へと発展させるという宣誓だった。
この宣誓を聞いた全ての町民が興奮し、歓声を上げたのですが、その描写を詳しく説明する必要はないと思います。
そして、私達の王になることを覚悟したリムル様はこの町を中心に国を成り立たせる為に必要な国政の部門を6つ作り、町の幹部に当たる者達に各部門の役職を与えました。
まず1つ目の部門は宮中の諸事を司る天官。その長である天官長・太宰という役職には元行政機関長であった人鬼卿のログルドさんが就きました。
2つ目の部門は土地、戸籍を司る地官。その長である地官長・大司徒という役職には元管理大臣であった人鬼卿のリリナさんが就きました。
3つ目の部門は式典、祭祀、教育関係を司る春官。その長を務める春官長・大宗伯という役職には我が母・穂乃花が就きました。
4つ目の部門は軍事、警備、警邏、土木事業を司る夏官。その長――軍事総大将に当たる夏官長・大司馬という役職には我が父・紅麗が就きました。
5つ目の部門は法令、裁判、外交を司る秋官。その長を務める秋官長・大司寇という役職には元司法機関長であった人鬼卿のルグルドさん、次席の秋官次長・小司寇には元立法機関長であった人鬼卿のレグルドさんが就きました。
6つ目の部門は造作を司る冬官。その長を務める冬官長・大司空という役職にはドワーフのカイジンさん。次席の冬官次長・小司空には原作キャラでもあるうちは黒兵衛が就きました。
あと、元警備部隊長であった人鬼族のリグルさんと我が兄・紅丸、日向紫呉、日向紫苑、うちは蒼月、うちは蒼影がそれぞれ夏官に属する部署に就きました。
リグルさんとお兄様はリムル様直属の親衛隊――右近衛府と左近衛府の長に任命され、リグルさんが右近衛大将、お兄様が左近衛大将という役職になりました。
紫呉はリムル様の身辺警護長である大僕、紫苑はその部下に当たる小臣という役職です。蒼月はリムル様の裏の近衛府といえる隠密御庭番衆の御頭、蒼影はその次席という役職です。
そして、天官、地官、春官、夏官、秋官、冬官の6つの部署を取り纏める冢宰という役職には町長的な役割であった人鬼王のリグルドさんが就きました。
その他、リムル様への助言や諫言、剣術指南を務める太師という役職に千手白老が就き、私もリムル様の補佐、相談役を務める大老という役職に就きました。
自分で説明していて何ですが、与えられた役職がうたわれるものシリーズと十二国記が混ざったものになってますね。もしかしたら、リムル様の元いた世界には十二国記の小説が存在したのかもしれません。
うたわれるものに関しては偶然でしょうか?リムル様が母・穂乃花を見ても大きな反応を見せていなかったので、うたわれるものシリーズは存在しなかった可能性が高いです。
仲間が増えたら夏官に属する優秀な人材に八柱将の役職を与えて貰うのもありな気がします。その場合、八柱将に選ばれるのは紫呉、紫苑、蒼月、蒼影、ゴブタ、ランガ、ガビル、ゲルドでしょうか?
ディアブロはリムル様の身辺の世話をする天官の内小臣に自分から志願しそうですし……。
……まぁ、今はいない人のことを考えても仕方がないですね。それよりも―――
「リムル様――いえ、聖上。私達の王となることを決意して頂き、私達は心より感謝致します。また、本日は聖上が神仙へと進化された大変めでたき日。
私達鬼一族から聖上へと忠義の証も兼ね献上したいものがあるのですが、よろしいでしょうか?」
「献上したいもの?それは一体何だ?」
私が神仙へと進化したリムル様にスーパー宝貝を渡す方便を口にすると、リムル様は興味津々といった感じでそう尋ねてきた。
私はリムル様の質問に答える為、輪廻転生写輪眼を発動させ、神威空間で保管していた鬼の忍刀と六道宝具、スーパー宝貝などを出した。
「私達鬼一族が使用する忍具や魔導具、宝貝と呼ぶ特殊な武装の中でも並の魔物が手に持つことが許されない強力な武具や神仙へと進化し膨大な魔素を得た者しか使用できない武具です。
こちらの鬼の忍刀は神仙でなくとも使用できますが使い手次第で上位の魔人を屠れる忍具で、こちらの六道宝具は能力こそ高いものの、動力源である魔素やチャクラの燃費が悪く、手にした者をミイラにしてしまう可能性の高い武具です。
スーパー宝貝に関しましては、神仙でもない者が手にすれば魔素やチャクラが吸い尽くされ、確実にミイラにしてしまう強力な武具です」
「そ、そうか」
「本来、スーパー宝貝は11あるのですが、内スーパー宝貝・雷公鞭並びに四宝剣の所有者は私が勤めさせて頂いております。
そして、スーパー宝貝の中でも危険極まりない禁光銼、三宝玉如意、五火神焔扇の3つは誰の手にも触れられぬ場所に封印管理させて頂いております」
「危険極まりないって、どのくらい危険なんだ?」
「出力調整を誤れば世界が滅びます」
「な、成程。それは危険極まりないな、うん。そんな危険物は献上されても困るから、そのまま朱菜が封印管理してくれ。
………ところで献上するということは、神仙となった今の俺ならスーパー宝貝と六道宝具という武具を扱えるということか?」
「はい、その通りです。しかし、現時点の聖上ではスーパー宝貝と六道宝具――特にスーパー宝貝を複数扱うのは難しいと思われます。
武具として所持されるならスーパー宝貝を1つのみ、またはスーパー宝貝を1つと六道宝具を1つ。もしくは六道宝具を3つが宜しいかと……」
「成程。では、スーパー宝貝を1つ所持するとするなら、どれがいいと思う?」
「……聖上の御立場を考えるなら、この太極図が宜しいかと」
リムル様の質問に答えながら私は先端に太極図の付いた打神鞭を差出し、説明を続けます。
「この太極図には大気を操る能力と特定範囲内のスーパー宝貝を含む全宝貝の能力無効化。そして、特定範囲内の宝貝所持者の魔素、チャクラの吸収と収束による太極図所持者の全能力強化能力がございます。
使い様によって最強にも最弱にもなりえますが、他の宝貝に干渉する能力は王たる者に相応しい能力ではないかと思われます」
「ふむ。確かに王たる者に相応しい能力だな。よし!その太極図を貰おうか。他の武具は―――」
「これらは全て聖上へと献上したもの。臣下へと下賜するもよし、捨てるもよし。全ては聖上の御心のままに」
「下賜って言っても、現時点で渡せるのは鬼の忍刀である7振りだけだろう?」
「お父様とお母様であれば、1つだけなら六道宝具を扱えると思います。ただ、単体で意味を為す六道宝具は芭蕉扇と琥珀の浄瓶だけなので、下賜されるならその2つが宜しいかと。
スーパー宝貝に関しましては、臣下で神仙へと至った者がいた時、その者に下賜するのもありかと思われます」
「成程。取り敢えず、豚頭族の軍勢との戦を考えると、即戦力となるのは鬼一族だし、六道宝具と忍刀を下賜するのも戦場へ連れて行く可能性の高い者にした方がいいな」
「その前にリムル様が所持される忍刀を選ばれるのが先決かと思われます」
「えっ?いや、俺には太極図があるし―――」
「確かに太極図は遠近両用ですが、どちらかというと遠距離寄りの宝貝です。聖上も戦場に出られるなら太極図以外にも近距離用の武具も持っておくべきだと思います」
「そ、そうか?なら、この双剣を貰おうかな」
「雷刀・牙ですね。これは刀身に雷を纏わせることで、切れ味を最高まで高めた忍刀になります」
リムル様が雷刀・牙を選ばれた後、私は他の忍刀と六道宝具の説明を行い、それを聞いたリムル様は改めて忍刀及び六道宝具を下賜し始めました。
「夏官長・大司馬が大筒木紅麗、前へ」
「はっ!」
「紅麗、お前には軍事総大将として、また1人の武人として戦場での活躍を期待している。よって、お前には六道宝具の1つである芭蕉扇を与える」
「ははっ!有難く頂戴いたします!!」
「そして、夏官・左近衛府大将が大筒木紅丸、前へ」
「はっ……」
「紅丸、お前にも左近衛大将として、また武人として豚頭族との戦での活躍を期待している。よって、お前には鬼の忍刀の1振りである断刀・首斬り包丁を与える」
「はっ!左近衛大将の名に恥じぬ働きを首斬り包丁と共に必ずや御見せ致します」
「次、夏官・大僕が日向紫呉、前へ」
「はっ!!」
「紫呉、お前は平時においては俺の身辺警護長を務めて貰うが、戦場においては最前線で戦う斬り込み隊長を務めて貰おうと思っている。よって、お前には鬼の忍刀の1振りである爆刀・飛沫を与える」
「はっ!」
「次、夏官・小臣が日向紫苑―――」
と、この様にリムル様は忍刀と六道宝具を下賜していき、紫苑は鈍刀・兜割、蒼月は双刀・ヒラメカレイ、蒼影は長刀・縫い針を下賜されました。
鬼の忍刀の1振りである大刀・鮫肌は意思を持った忍具で、鮫肌自身が所持者を選ぶので今回は下賜されませんでした。私の予想ではゲルド辺りが気に入られて、所持者になりそうな気がします。
そして、リムル様を除いた忍刀所持者にはリムル様直々に鬼の忍刀五人衆の称号が与えられ、お兄様が五人衆のまとめ役を務めることになりました。
あと、スーパー宝貝と六道宝具、鬼の忍刀の他に鬼一族が所有する宝貝と魔導具の製作者が私であることをお伝えした結果、無理しない程度に宝貝と魔導具の増産を頼まれました。
宝貝と魔導具の増産を強制ではなく依頼する所が、リムル様の暴君ではなく名君であることを象徴するいい所だと思います。
まぁ、左近衛大将のお兄様に断刀・首斬り包丁を渡して、右近衛大将のリグルさんに何も渡さないのはおかしな話ですし、リグルさんに似合いそうな宝貝か魔導具を作らなければいけませんね。
後書き
今回、リムル王国(仮)に所属する鬼一族の幹部に武器が下賜された訳なんですが、同じく幹部で夏官(軍部)であるリグルが何も下賜されていない状きゃうだったりします。
魔導具か宝貝を上げたい所なんですが、何がいいでしょう?RPG的職業で考えると剣士っぽいので、磁双刀か海月、降魔杵あたりがいいかな?とも思うんですが……
追記
朱菜は宝貝・如意羽衣を持っているので部分変化で忍刀を再現できることに思い至った為、首斬り包丁の所有者を紅丸に変更しました。
追記
スーパー宝貝である禁光銼、三宝玉如意、五火神焔扇を封印管理している場所は神威空間です。(笑)
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