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全ては我が趣の為に

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GEIZA

久しぶりかな、諸君。
私はヴァリオット・ゲイザーだ。
突然だが、忍とはどの様な職業だと思っているかね?
暗殺、護衛、警護、伝達…多種多様に利用されてきた職業だ。
しかし。しかし、だ。
私にはそのどれもが正しいとは思えない。認めることなど出来ない。
忍とは忍ぶ者。気配を消し、人に悟られず、任務を遂行していく隠密員。
それはやはり、覗きに打ってつけ出はなかろうか…。

「曲者ぉ!」

町の銭湯。女湯にて、忍の道具であるクナイが飛び交う。
標的はただ一人。この銭湯の常連であり、連続犯でもあるヴァリオット・ゲイザーである。

「ふはははは!よくぞ見破った!」
「ヒナタが教えてくれたのよ!あんたってば毎回毎回…いい加減にしなさいよ!」
「成る程、やはりヒナタ嬢が…。だがそれはできぬ!何故ならそこに女性の裸があるからだ!」
「今日と言う今日は許さないわよ!」
「ほほう。許さないときたか…。処で…素晴らしいスタイルだなサクラ嬢」
「へ?あ、きゃあっ!」

サクラと呼ばれた少女は何を言われたか理解し、湯船へと体を隠す。
しかしもう遅い。何故なら変態の変態による変態の為の脳内カメラに保存されてしまったからだ。

「覗きとは!忍の本懐である!」
「違うわよ!変態!」
「違う!ド変態だ!」

毎度のごとくお決まりの文句を垂れる。
しかし、何時もならば、何事もなかったかのようにその場から姿を消すゲイザーが、何故かその場にとどまり続けている。
まぁそんな観察するような女性はいるはずもないわけだが。

「覚悟!」
「甘い!」

その理由がこれである。

「ヴァリオット・ゲイザー。あんたを強猥魔として捕縛するわ!」
「女の敵!ここで仕留める!」
「あの、捕まってくれると、ありがたいです」
「ジライヤ見たいな奴だねぇ…顔はにてないけど」

とうとう任務にまで成ってしまったヴァリオット・ゲイザーの捕獲作戦であった。

「ほほう。私を捕まえる、と…」
「当たり前じゃない!まだサスケ君にだって見せたこと無いのに!」
「な、ナルト君…あわわ」
「まぁ減るもんじゃないんだけどねぇ」
「他の男子陣を見習いなさいよ!」

次々に武装していく女子たち。そんな彼女達を流し目で見て、ゲイザーはやれやれと頭をふった。

「な、何よ」
「諸君らは私を捕まえると、そう言ったね?」

おかしい。実におかしい。そう宣うお前がおかしいだろう。

「君たちは理解していない。私がしていることを、私の理念を」
「変態が理解されるとでも言いたいわけ!?」
「馬鹿な…そんなことはあり得ない。故に君たちは私を捕まえに来た…そうだろう?」

ゲイザーは髪をかきあげ、スタイリッシュに姿勢を正す。一々メンドクサイ奴である。

「依頼として正式に出されたんだ。私らが動くのも当然だろう?
ま、大人しくお縄につきな。今なら骨の一二本で勘弁してやるよ」
「違う。間違っているぞツナデ様…。私がいっているのはそう言うことじゃない」
「なら何が違うのか聞こうじゃないか」
「確かに私は変態として捕縛する依頼が出された。それは認めよう。嗚呼、私は変態だ。当然然るべき処置をもって裁かれる存在なのだろう。
がしかし、私が諸君らに言っているのはソコじゃない。ならば何か…」
「な、何だって言うのよ…言っとくけど、見逃してとかはあり得ないんだからね!」
「ではここで問いを一つ…。
ふむ。ここは私を見破ったヒナタ嬢に答えていただこう」
「えっ、私?」
「なに、人が歩くかのように当然で、息をするかのように簡単で自然な質問だよ。
新年に新品のパンツを穿いた気分で答えてくれると良い」
「そ、それはちょっと解らないかな…」

一々言うことが変態なゲイザーである。

「私の問いはただ一つ。
ヒナタ嬢、ここは何処だ?」

「……………銭湯?」
「そう!銭湯だ!銭湯とは身体を清め、日々の疲れを癒す為の大衆浴場をさす!
がしかし君達の格好と来たら…!
何だ!その完全武装は!?ここは銭湯、裸で語り合う場だ!今すぐ脱ぎたまえ!」

銭湯に限らず、浴場でのマナー。衣服は脱衣所で脱ぐべし。
これを守らずして浴槽に出でること片腹痛し。

「馬鹿じゃないの!?変態…と言うか男の前で脱げって…出来るわけ無いじゃない!」

そーだそーだとサクラ嬢の言葉に賛同する女性群。
しかし相手は変態である。
一般常識における正論は、右から左である。

「成る程。脱がないではなく脱げない、か」
「もう良いだろ?さっさとお縄につきな」
「ならば全員脱がせて新是よう!」

その瞬間。ゲイザーの姿が欠き消える。
そして瞬く間に現れたと思ったら、その手には数枚の女性下着が。

「…は?」
「へ?」
「きゃああああ!!?」

先ほどまで完全武装だったはずの女性陣は、全員漏れなく裸に剥かれていた。
因みに衣服は其々の持ち主の目の前に、綺麗に折り畳まれていた。

「ふはははは!これぞゲイザー108の奥義の一つ!全裸待機である!
因みにツナデ様。他の女性はオパントゥィーなのに、一人だけフンドシとはこれいかに」
「…死ね!」

゛ズドオォォォンッ!゛

その日、木の葉隠れの里にある銭湯の一件が、瞬く間に消滅してしまった。
尚、ゲイザーは無傷で逃げおおせたトノコト。 
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