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八条荘はヒロインが多くてカオス過ぎる

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第百十四話 ワインとデザートその十三

「休みながらね」
「観るのね」
「イルミネーションと花火をね」
「わかったわ、それじゃあね」
 ダオさんは僕の言葉に微笑んで応えてくれた。
「今日はね」
「うん、じゃあね」
「そうしましょう」
「ではベンチに座りましょう」
 小夜子さんは微笑んで近くのベンチを見付けて言った。
「そのうえで観ていきましょう」
「ゆっくりとね」
「そうしましょう」
 こうしてだ、僕達は三人でベンチに座って花火とイルミネーションを観ることになった。だがその座る時にだ。
 僕はベンチの端、右のそこに座ろうとしたがダオさんに言われた。
「ちょっと待って」
「待ってって?」
「そう、義和は真ん中に座って」
「僕がなんだ」
「そう、真ん中よ」
 そこにというのだ。
「座ってね」
「またどうして」
「どうしてって女の子二人でね」
 そしてというのだ。
「男の子一人だからよ」
「それでっていうんだ」
「そうよ」
 まさにという返事だった。
「だからよ」
「ううん、それってつまりは」
「両手に花ですね」
 小夜子さんも言ってきた。
「そうなりますね」
「うん、まさにね」
「いいと思います、私も」
 小夜子さんはここでも微笑んで言った。
「両手に花は」
「そう言うんだ」
「はい、やはりこうした場合はです」
 女の子二人で男が一人という場合はというのだ。
「文字通り両手に花としてです」
「そうした座り方がいいんだ」
「はい、面白いと思います」
「そう、面白いからよ」
 まさにとだ、ダオさんはまた言った。
「じゃあいいわね」
「何か恥ずかしいな」
「恥ずかしがることはないでしょ」 
 ダオさんはまた僕に言った。
「うちのアパートは元々そうだし」
「八条荘は」
「そうよ、女の子ばかりでね」
 合わせて二十四人だ、洋館を改装したその中にこれだけの娘が入居者として住んでいる。そして同時にだ。
「義和がいるじゃない」
「それでなんだ」
「今日もそれでいいじゃない」
 まさにというのだ。
「そうでしょ」
「ううん、そうなるかな」
「じゃあいいわね」
「何か強引だけれど」
「強引上等よ」
 それを肯定もしてきた。 
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