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ラッキークローバー

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第六章

「それでもね」
「馬が吐いた場所にだけというと」
「その関係で科学的な証明はね」
 それはというのだ。
「はっきりとはされていないよ」
「都市伝説ですか?」
 剣は紅茶を飲みつつ先生に聞いた。
「このお話は」
「そうなるね」
「そうしたものなんですね」
「うん、まあ百年前に吐いた場所に生えるとかはね」
 そうした場合もだ、先生は言葉に出した。
「そんなのわからないから」
「はい、百年前になりますと」
「もうそれこそ」
「だからね」
 それでというのだ。
「このことはまあね」
「特に関係のない」
「そうしたものですか」
「そうだと思うよ、あそこによく生えるのは実際のことだけれど」
 農学部の馬の厩舎の傍に四つ葉のクローバーがよく生えること自体はというのだ。
「あれはあれで言い伝えがあってね」
「この学園に沢山ある」
「そう、それの一つでね」
 それでというのだ。
「あそこには幸せの妖精がいるって言われているんだ」
「幸せのですか」
「この学園は多くの神秘的なお話があるけれど」
 先生は怪談の類も含めてこう言ったのだ。
「その中の一つでね」
「あそこにはですか」
「幸せの妖精がいてね」
「そしてですか」
「そう、あそこには四つ葉のクローバーが多いんだ」
「そうなんですね」
「幸せの妖精が人々に幸せをプレゼントする為にね」
 まさにそれが為にというのだ。
「あそこに多く用意してあるってね」
「言われてるんですか」
「そう言われてるよ」
「そうですか」
「うん、そしてね」
 それでというのだ。
「君はそこで幸せを手に入れたんだね」
「妖精から貰ったんですね」
「そうなったんだ、じゃあその幸せをね」
 四つ葉のクローバーを通して幸せの妖精が渡してくれたそれをというのだ。
「大事にするんだよ」
「わかりました、それじゃあ」
「うん、僕は充分に幸せだからいいけれどね」
 先生はにこりと笑って剣に話した。
「君はその幸せを大事にするんだよ」
「そうさせてもらいます」
「じゃあこれからね」
 晴香はここで剣ににこりと笑って述べた。
「お家に帰るまでデートしましょう」
「二人で幸せにだね」
「そうしましょう」
「そうしたらいいよ」
 先生も二人に笑顔で告げた。
「四つ葉のクローバーの幸せに感謝してね」
「はい、それじゃあ今から」
「二人で楽しんできます」
 二人も笑顔だった、そして先生と別れた後で二人で手を繋いで帰った。ささやかなデートを幸せな気持ちで楽しみながら。


ラッキークローバー   完


                        2017・3・17 
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