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嗚呼三十三対四

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第二章

 その彼等が球場を埋め尽くしていた、マリンスタジアムにも黒と黄色の旗が待っていた。
「こっから栄光の歴史がはじまるで」
「さあ、これからや」
「ロッテに一気に四タテやで」
「名付けてヨン様や」
 四とヨンをかけているのは言うまでもない。
「さあ、ロッテには悪いけど勝たせてもらうで」
「一戦目で勝って流れを掴むんや」
「意気を上げたるで」
「交流戦で井川は完封しとる」
 そのロッテをだ。
「これはいけるわ」
「j阪神勝てるわ」
「負ける筈がないわ」
 こう言ってた、誰もが阪神は勝つと思っていた。そしてその中でプレーボールとなった。
 試合は一回裏に今江がシリーズ初打席にしてだった、いきなりホームランを出した。しかしこれでどうにかなる阪神ファンではない。
「たかだか一点や」
「まあ一点位やるわ」
「けどこっからやで」
「こっから阪神やで」
 今年の阪神の真骨頂が発揮されるというのだ。
「ロッテ覚悟せい」
「正々堂々と打ち破ったるわ」
「逆転や逆転」
「ここからはじまるで」
 すぐに逆転出来ると思っていた、そして実際にだった。
 阪神は五回表に藤本の犠牲フライで同点とした、これでだった。
「互角や」
「互角になったら負けんで」
「互角という土俵に上がったら阪神のものや」
「今年の阪神に勝てるかいな」
 某車田正美先生の忍者漫画の様な台詞も出ていた。
「九回までに試合決まるで」
「何しろ七回からこっちは一点もやらんからな」
「いけるいける」
「今日の試合はもらった」
「まず一勝や」
 同点でファン達のボルテージは勝利の様に上がった、しかし。 
 その裏だった、ロッテは渡辺正のレフト前ヒットからだった。西岡がプッシュバントという奇襲で出塁してだった。
 ノーアウトランナー一塁二塁とした、これを見てだった。
「ちょっとやばいか?」
「いやいや、まず三振か内野フライでワンアウトや」
「そっからゲッツーで終わりやろ」
「井川はそう簡単に打てるピッチャーやないで」
「これは抑えるで」
「ロッテの打線はつながるらしいけどな」
「マリンガン打線らしいけどな」
 この通称で知られているのだった。
「井川に勝てるかいな」
「うちのピッチャーは十二球団一やで」
「阪神伝統の投手陣や」
「その投手陣の真骨頂発揮や」
 三塁側を中心にここからの井川のショーがはじまると思われた、だがそのショーを行ったのはというと。彼ではなかった。
 まずはだった、またしても今江であった。
 タイムリーツーベースを打った、それはサブローもで。
 彼もツーベースを打ってだ、何とここで三点を取り。 
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