レーヴァティン
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第十一話 空の港町その三
「そして新しい門出を祝おうな」
「そうするか」
「それは何処かで居酒屋を見付けてな」
「そこでか」
「祝ってな」
酒や馳走でというのだ。
「それから港に行こうな」
「そうするか」
「ああ、そうしような」
こう話してだ、久志は英雄と共に港の方に向かった。そして港まですぐという区画まで来てだった。久志は英雄にあらためて言った。
「この辺りで探すか」
「よさそうな居酒屋をか」
「ああ、美味い酒と食いものがあるな」
「何か悪いな」
「悪くないさ、暫くお別れだろ」
「こちらの世界ではそうなるな」
彼等の本来での世界では別にして、というのだ。
「お互いそれぞれの島を統一するまではな」
「だからな、御前の門出の祝いと暫くの別れの惜別のな」
その二つを理由として、というのだ。
「それをしようぜ」
「今からだな」
「ああ、飲んで食ってな」
「そうするか」
「たらふくな」
飲んで食ってというのだ。
「そうしような」
「わかった、ではな」
英雄は久志の申し出を受けた、そのうえでだった。
二人で店に入った、そうしてだった。彼等は店の中で実際に酒と料理を頼んだ。酒は赤ワインそして料理はパスタや肉料理だった。
トマトと茄子それにガーリックを効かしてオリーブオイルをふんだんに使ったスパゲティを食べつつだ、久志は英雄と乾杯をしたその赤ワインを飲みつつ彼に言った。
「こっちじゃ食えるよな」
「こうしたものがな」
「そうだよな、けれどな」
「東では違う」
「和食みたいだな」
「どうもあちらは和風らしい」
東の島はというのだ。
「だからだ」
「こうしたものも食えないか」
「おそらくな」
「そうだよな、じゃあ暫くは食えないな」
スパゲティはというのだ、他にはペンネアラビアータやフェットチーネのペペロンチーノ、それにラザニアもある。肉料理は鳥肉をからっと焼いて香辛料で味付けをしたものだ。他にはアップルパイもデザートとしてある。
「こうしたものは」
「この世界ではな」
「ワインもか」
「あちらの酒は日本酒だ」
つまり米から作った酒だというのだ。
「そして和食だ」
「それじゃあな」
「ここで飲んで食っておく」
実際にとだ、英雄もトマトと茄子とガーリックのスパゲティを食べつつ言った。
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