マイ「艦これ」「みほ2ん」
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第47話<姉妹艦>(改)
前書き
「姉」の相次ぐ着任に、ふと寂しい顔をする日向。そして北上が持ってきたものは……
「あいつ、食べたんだ」
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第47話 <姉妹艦>(改)
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指令室の無線機から声が聞こえる。
『山城、大丈夫?』
『お……お姉さま?』
山城さんが直ぐに反応する。
「なに?」
また新しい艦が着たのか?
わけの分かっていない私に日向が淡々と説明する。
「美保鎮守府に新しく戦艦『扶桑』も着任です」
「ええ! 立て続けに?」
普通の海軍では有り得ない事態に私は驚いた。
祥高さんも書類を取り出して説明する。
「先ほど軍令部から来た命令です。本日付けで戦艦『金剛』と戦艦『扶桑』の2隻が着任しました」
「なんと……いきなりの増強か」
さすが艦娘の鎮守府、対応は早いな。
もっとも、ここ数日の敵の猛攻を見れば、むしろ遅いくらいか。
「あの青年将校が中央で手を回したのかな?」
私は呟くように言った。
(もし、本当にそうなら感謝すべきだが。お歳暮でも贈ろうかな?)
ただ真面目な秘書艦も日向も、すまし顔だった。
私が妙な思案していると隣の日向がボソッとつぶやく。
「お姉さんか。いいな……」
「え?」
意外な艦娘の、これまた意外な発言に私はちょっと驚いた。
彼女の方を振り返ると私の考えを悟ったように日向は応えた。
「はい。私の姉は『伊勢』です。もちろん私が個人的に希望しても叶うものではありませんが」
無表情に呟く日向。確かに艦娘は姉妹艦が多い。
(いつも淡々としている日向でも、お姉さんへの想いはあるんだな)
無線機からは山城さん(妹)の涙声と、それを慰める扶桑(姉)らしき声。さらに、そこに群がって一緒に泣いているらしい第六駆逐隊。
無線機から流れる妙な涙声の合唱に私は苦笑した。
「なんだよ、これ?」
さすがに祥高さんと日向も苦笑している。
制帽を外して、顔を扇ぎながら私は言った。
「……まあイイか」
これで山城さんが少しでも落ち着いてくれれば、むやみに美保湾に発砲することも無くなるだろう。
山城さんに比叡。どちらも「妹」だ。今回二人の姉さんが相次いで着任したというわけだ。賑やかになるな。
(でも他の鎮守府は大丈夫なのだろうか? ちょっと心配になる)
その時、私はふと秘書艦が気になった。
……口には出さなかったが彼女にも姉妹が居るのだろうか?
島風のような子は特別だ。祥高さんだって単独で建造されたわけではないだろう。
「コンコン」
そのとき誰かがドアをノックした。
「はい」
私が応えるとサンドイッチを大きなお皿に盛った北上が入ってきた。
「お腹すいたでしょう。とりあえず、作ったから……皆で食べて」
「おお、北上か」
気が利くな。
ただサンドイッチを見た私は一瞬「え?」っと思った。
今日の昼、食べたものとほぼ同じ……というか一緒じゃないか?
私は彼女に聞いた。
「あれ? もしかしてお昼に大淀さんの撤収部隊が持ってきたサンドイッチも?」
サイドイッチの大皿をデスクに置いた北上は言った。
「そうだよアタシ……まぁ、さすがにこれは鳳翔さんも手伝ったけど」
意外と言ったら失礼だけど。北上は料理というかサンドイッチも作るんだな。
私の疑問を察知したのか北上は、こっちを見上げて言った。
「なに? アタシが作ると、どっかおかしい? 変?」
「いや」
詰問してくる北上にタジタジになりながら私は心の中で範唱した。
(そうか、北上が作ったのか)
何か、この意外さにも感慨深いものがあった。
午前中のことを思い出した私は彼女に言った。
「さっきのサンドイッチだけどな」
「ん?」
持ってきた北上本人が早速イスに座ってサンドイッチを摘んでいる。
「あの深海棲艦が、おいしそうに……涙を流して食べてたぞ」
「えぇ?」
不意打ちを食らったように目を丸くしている北上。
でも、そばに立っていた日向も腕を組んで軽く頷いていた。
そして祥高さんも微笑んでいる。
(あれ?)
二人の反応を見た私は逆に意外な印象を受けた。
少なくともこの二人の艦娘は私が深海棲艦に対して取った行動を容認しているようだ。
特に……ついさっきまで私の判断に対して激しく抵抗を見せた日向が、これまた一体どういう風の吹き回しだろうか?
そんな私の思いは露知らずアゴに手をやる北上。
「へぇ、そうかぁ。あいつ食べたんだ」
彼女は何か遠くを回想するような目をして嬉しそうだ。
いつの間にか指令室は和やかな雰囲気になった。
「そういえば確か北上と大井も姉妹艦だよな」
「うん、そうだね」
急にそんな言葉が私の口から出た。もちろん、その深海棲艦が大井だとは
一言も言っていない。
ただ一連の状況を見ながら私は思った。
『あの深海棲艦は、やはり大井か艦娘の誰かなのだろうか?』と。
境港の神社で見たときのあいつの瞳も、どこかしら北上を連想させた。
妙に義理堅いのも、そういう背景があれば納得がいく。
艦娘の姉妹艦には理屈を越えて引き合う何かがあるのだろう。
だからこそ秘書艦や日向、そして北上は何かを感じた。
さらに敵である、あの深海棲艦自身も何かを感じて涙を流した……そんな可能性もあるだろう。
あれこれ葛藤して悩んだけど……結局は見逃して正解だったか。
もちろん捕虜として確保できれば最高だったが今回は仕方がなかったな。
だが、あの執念深さだ。奴はまた来るだろう。
そしていずれ必ず救出してやる。私は、そう決意するのだった。
そのとき無線機が鳴った。
『大淀艦隊、鎮守府に帰還致しました。ただ今より接岸します』
「おお、無事に戻ったか」
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
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