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マイ「艦これ」「みほ2ん」

作者:白飛騨
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第44話<日向の涙>

 
前書き
珍しく司令の命令に反発していた日向だったが葛藤の末、彼女が出した結論は? 

 

「航空戦艦『日向』は、もう迷いません!」

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マイ「艦これ」「みほ2ん」
 第44話 <日向の涙>(改)
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「はい。そうです……よろしくお願いします」
日向は通信を終わった。

たまらず私は重ねて言った。
「日向、済まない」

 私としては、あの深海棲艦(大井・仮)とのいきさつも彼女にも話すべきか一瞬悩んだ。

 だが日向は私の言葉を打ち消すように急に笑顔で言った。
「司令、作戦変更は受理されました。直ぐに私たちの救出部隊が来ます!」

(日向、無理するなよ)
そう言いかけた私は口をつぐんだ。普段から、あまり喜怒哀楽を出さない、お前の顔が珍しく引きつってる。

 やはり彼女にとっては敵を逃がすというのは相当、耐え難い判断だったか。私は彼女の報告に「そうか」とだけ応えた。

 それにしても少し動くだけで身体の節々が痛む。

それに気づいた日向は言った。
「司令、お体が」

 彼女は手を差し出す。

だが私は敢えてそれに応えず「ああ、大丈夫だ」とだけ言って掌を左右に振った。

 正直これは、やせ我慢だな。ただ同時に彼女への後ろめたさと恥ずかしさもあった。

だが日向は、そんな私を見ても落ち着いて言う。
「司令」

「なんだ?」
彼女は私に近寄ると私の身体を支えるようにした。『おやっ』と思う間もなく日向は私の正面から無言でソッと抱き付いてきた。

「お、おい!」
私は慌てた。だが彼女はジッとして離れない。

 さっきは、お互い感情的になっていたからだろう。私も日向に抱き付かれても別に何も感じなかった。

 ところが、なぜか今回は妙な恥ずかしさがあった。自分の頭に血が上るようでカーッとなる。

「……」
彼女はジッとしたままだ。だがこの感じ……誰かに似て居るよな。

 えっと沈着冷静な艦娘……例えば秘書艦の祥高さんか司令部の大淀さんかな?

 その時フッと遠い記憶が蘇った。
(……確か加賀という艦娘も、似た感じだったな)

 もちろん彼女は美保には居ない。ただ一度だけ呉かどこかで同じ作戦に加わった際に見かけただけ……たったそれだけでも強い印象を残す子だった。

 直ぐに傷みで現実に戻される。
(き、筋肉痛が……)

 恥ずかしいだけでなく身体中がズキズキする。
筋肉痛と併せて日向に張り付かれたこの状況は、どうしたものか?

 しかし、ようやく彼女は静かに言った。
「司令、申し訳ありません。命令違反の数々に先ほどの反抗心……艦娘としての至らなさを悔いるばかりです」

 日向もパワー全開ではないだろうが艦娘の腕力は侮れない。特に力んでなくても彼女たちに確保された男性は容易に離れることが出来なくなる。

(あ痛てて……)
お、お前はアマゾネスか? 失礼ながら一瞬そんな連想がよぎった。

 だが彼女の純粋な気持ちを思うと邪険にも扱えない……私は、ただ苦笑して冷や汗(脂汗)をかくばかりだ。

 日向は私の胸に顔を押し付けながら絞り出すように言った。少し声が震えている。
「もし私が艦娘でなければ! 司令のご苦労や苦悩を、もっと理解して差し上げられたのに……悔しいです!」

「いや、そんなことはない」
どうして彼女はここまでクソ真面目に成れるのだろうかと思うんだ。

 そこまで根を詰めなくても……ただ単に私が、お馬鹿なだけだ。つくづくそう思うんだが。

 それでも純粋な彼女の気持ちは痛いほどに嬉しい。

「……」
日向の体が小刻みに震えている。別に意味でギョッとした。

(あれ……日向、お前もしかして泣いてるのか?)
 お前でも涙を流すことあるのか。

 恐らく『涙を流すなんて絶対に有り得ない艦娘』の筆頭に数えられる日向だ。逆に彼女を、そこまで思い詰めさせてしまった自分の不甲斐なさに呆れた。

(やれやれ……もはや自分が極悪人に思えてきた)

 だが私は、ここで悩む。
物語の定番(セオリー)通り今、この子を抱きしめるべきか、否か?

 しかし指揮官として一人の兵士である艦娘=日向に対して個人的な感情を抱くのも問題だ。

 もし彼女とケッコンするのなら話は別だろうが……いきなりそれは有り得ない。

 悶々としていたそのとき目と鼻の先にある美保鎮守府から別の軍用車が近づく音がした。それを聞いた私と日向は反射的に、お互いの身体を離した。

(正直ホッとした)
妙な解放感と筋肉痛で私は少しよろめいた。

 しかし、そんな私に向かって日向は急に敬礼をする。

「えっ?」
咄嗟(とっさ)のことに私は驚く。

 同時に日向の足下の水がザブンと跳ねた。そして今しがた彼女が顔を埋めた私の胸にも水が飛んできた。
「冷たいっ!」

(あ……)
その時、私は『しまった』と思った。

 つまり先ほどまでの珍しい(レアな)日向の『涙』は永遠の謎になってしまったわけだ。
(まさか日向、わざとやったのか?)

(いぶか)しがる私に構わず彼女は続けた。
「航空戦艦『日向』もう迷いません! 全力で敵と戦い、時には引いて……粉骨砕身、完全に司令に従う所存です!」

 ……おい! さっきから、どうしたんだ日向?
今日のお前は『らしく』ない、変だぞ!

すると直ぐに2機の瑞雲が同じ水路に着水してきた。
「え?」

やがてハルともう一人の妖精がキャノピーを開いて……私に敬礼した。
「ボクたちも同じです」
「同じく!」

「何だ? お前たち聞いてたのかよ!」
(無線回線が、いつの間にか開いていたのか?)

 思わず日向を見るが彼女は、いつものポーカーフェイスだ。何処までが本音で何処までが演技なのか? 一筋縄では行かない子だな、日向。

「やれやれ……」
肩をすくめた私は、それでも敬礼を返した。

「分かった、今後も頼む」
『ハッ!』

 何だかんだ言っても、お前たちの気持ちは嬉しい。本当に一途な……

「あ痛っ」
筋肉痛が痺れた。

 やがて軍用車が崩れた橋のたもとに到着した。水路の上から声がする。
「大丈夫ですかぁ?」

上から覗いたのは青い髪の青葉さん。もう一人は龍田さんだな。
縄梯子(ばしご)ですぅ。降ろしますね」

 ほわっとした龍田さんは「それっ」と言いながら縄梯子を放った。髪の毛までが、ふわっと舞っている。
「大丈夫ですか?」

「ああ、上るぞ」
 私は降ろされた縄梯子を使って、ようやく水路から上がった。
(うぅ、身体の節々が痛いぞ)

水路から出るとホッとした。出迎えた青葉さんが敬礼する。
「司令、ご無事で何よりです」

「ああ……何とかね」
ふと見ると彼女はカメラを持っていない。

私は青葉さんに言った。
「珍しいな」
「え? ……えへへ。緊急出動でしたから」

何となく笑って誤魔化された。ちょっとは遠慮しているのだろうか?

 そんな私には構わずに彼女さんはテキパキと別のカゴで瑞雲と妖精を回収し始めた。

水路に残っていた日向は妖精たちをカゴに乗せ終わると手馴れた様子で縄梯子から上がってきた。

 龍田さんが交信する。
「秘書艦ですかぁ? はい、回収は無事に終わりましたぁ」

 そのとき美保湾からズドン! という大きな砲声が響いた。
「艦娘か……? そういえば大淀艦隊はどうなったのだろうか」

 私と日向にバスタオルを渡しながら青葉さんが海を見て言った。
「報告します。大淀艦隊は大破6、中破4、小破2です。轟沈は免れましたけど実質的には敗北寸前でした」

 さすが記者だけあって、さらりと凄いことを言うな。
そのとき、また海のほうから砲声が響く。

 気になった私は美保湾が見える位置に移動した。すると、海面に水柱が上がっていた。

「あの砲声は?」
(記憶違いでなければ山城さんのような気がする)

「はい、あれは山城さんです」
青葉さんは確認するように言う。

「いったい何してるんだ?」
山城さんは、何かを攻撃してるのか?

 
 

 
後書き
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※これは「艦これ」の二次創作です。
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サイトも遅々と整備中~(^_^;)
http://www13.plala.or.jp/shosen/

最新情報はTwitter
https://twitter.com/46cko/
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PS:「みほ2ん」とは
「美保鎮守府:第二部」の略称です。
 
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