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【RB1】
  【RB第九話】

 その日の夜、学生寮食堂。

 ライダーズ、メンテナーズ、デザイナーズの生徒が一堂に揃う食堂は賑わっていた。

 大半はライダーズ及びメンテナーズの生徒だが、生徒数の少ないデザイナーズもちらほらと見受けられる。


「海くん、やっぱいきなりは倒せなかったっすね」

「仕方ないっすよ、操作は難しくないけどやっぱ乗り慣れなきゃ佐久間先生から一本はとれないっすよ」

「うーん……。俺はいけそうな気がしたんだけどなぁ」


 食堂のカツカレー定食を食べる三人、最新機の五式も最初こそ注目されたが今はもう特に触れられていない。

 ――が、メンテナーズの生徒達から早速整備契約を持ち出されて契約を結べたのは単に最新機の話題性のお陰だろう。


「畠山、次の土曜日早速五式を整備させてもらうぜ?」

「了解した。勿論俺も立ち会わせてもらうよ」

「当たり前だろ? ライダーズにとって自分の分身みたいな物だからな」


 メンテナーズ生徒数人と契約――彼等自身複数の機体を掛け持ちしてるがRB自体整備が共通してるのが特徴だ。

 モジュール関連は特に他社製品とも合う――それ用にOSは書かないといけないがそれだけ済ませれば問題はなかった。

 RBのアームモジュールのOSは特に複雑なOSも必要はない、大半は消耗品として扱われてるのも要因の一つだろう。

 一方で畠山海達とは離れた位置にいるクルス、一人でうどん定食を食べながら今日の敗因を考えていた。

 奇襲としては悪くないワックスソードの投擲――だが佐久間弥恵はそれに対応したという事は過去にあれを行った人間がいたのだろう。

 水を飲んで一息入れるクルス――其処に義妹である由加が現れ、クルスは怪訝そうに見つめた。


「兄さん、一緒に食べましょう」

「チッ……。好きにしな。それよりも、アリスはどうした?」

「……あの子はお風呂です。というか兄さん、何故あの子を気にしたのですか?」


 ジト目で見てくる由加、めんどくさい事を聞いてきた由加にクルスは――。


「お前ら二人セットで付きまとうからだろ?」

「……それもそうですね。兄さんすみません……」

「けっ……」


 うどん定食を食べるクルス、由加も向かい側に座って焼き魚定食を食べ始めた。

 顔は幼いものの、やはり出るところは出て引っ込むところは引っ込む由加は男子の注目の的だった。

 だが――二日目ながらも彼女は兄であるクルスにぴったりくっついているためライダーズ男子は遊びに誘うことすら出来なかった。

 その頃加川有栖は、風呂に入り終わって食堂へと向かっていた。

 クルスの義妹である由加が最大の壁――離れた年月を埋めたいアリスにとっては悩みの種だった。

 義理とはいえクルスの妹――仲良くしたいのだが……と。


「あ、加川さん?」

「え?」


 不意に呼び止められたアリスは声のした方向へ振り向く。

 ライダーズの男子がそこに居た――クラスが違うため名前はわからないが、午後の授業は一緒なので見たことはあった。


「今、少し大丈夫かな?」

「んー、急いでるんだけど……」

「す、すぐ済むから。今週の日曜日って空いて――」

「ごめんなさい、日曜日は空いてないんだ。じゃ、あたし急ぐからっ!」


 一発で撃沈、休み時間や一人を狙われてアリスは自分のクラスや他のクラスの男子から誘われるが全て断っている。

 デートの誘いだというのはアリスにもわかっていた、だけどアリス自身はクルスに一途にいたかった。

 放心する男子に頭を下げ、アリスは食堂へと走っていった。

 アリスが食堂に着いた頃にはクルスと由加は食事を終えていた。


「アリスか、今から食べるのか?」

「そ、そうしようと思ったんだけど、やっぱあまりお腹空いてないからやめようかなって」


 アリスはそう言うが由加は――。


「加川さん、食事はライダーズの基本です。私達の事は気になさらずにどうぞ食事を摂ってください」


 明らかに排除しようとする由加だがアリスは――。


「大丈夫! 一食抜いても大したことないし!」


 力強く告げたアリス、女の子にとって一食抜くのは軽いダイエットなのだ。

 だけど本当に痩せたいのなら、炭水化物を抜くのが一番なのは言うまでもない。

 ともかく、アリスはクルスと一緒に居ることを選んだのだ、そしてそれを遠巻きに見てる畠山海にとっては面白くない。

 まだ二日目、だけどアリスに一目惚れした海にとってはクルスの存在が邪魔なのだ。


「……今はまだ堪えるとき。というよりも……あの天使をデートにさえ誘えれば!」


 意気込みは食堂全体に聞こえていて辺り一帯から失笑が聞こえるが海は気にしなかった。

 早速自室に戻り、デートプランを考えようと駆け足で戻ったのだった。 
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