レーヴァティン
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第十話 巨人その十一
「まさに四分五裂でだ」
「厄介な状況だってことだな」
「そうだ、モンスターや追い剥ぎ達もいてだ」
そのうえでとだ、英雄は周囲を警戒しつつ久志に話した。
「そのうえでだ」
「人間社会もそんなのか」
「このままでは魔神に向かうなぞ夢のまた夢だ」
「魔神が軍勢まで持っていたらな」
「どうしようもない、だからだ」
そうした現状をどう打開するのか、英雄はデルフォイでこれまで書を読み久志を話したうえで辿り着いた結論を述べた。
「まず俺達がすべきことはだ」
「それぞれの島を統一してな」
「そして人間社会を一つにする」
「そこから軍隊を整備して治安もしっかりしないとな」
「モンスター達も出来る限り排除していく」
「そこまでしてからだ」
ようやくというのだ。
「魔神と対することが出来る」
「そうなるな」
「先程の巨人達も気になる」
「あの連中も絶対に何かあるな」
「それ調べきることだ」
絶対にとだ、こう話しつつ二人でさらに先に進む、すると二時間程歩くとまたモンスターが出て来た。今度は全身を青銅の鎧で覆った赤い目の巨大な牛だった。
その牛を見てだ、久志は眉を顰めさせて舌打ちした。
「厄介なのが出て来たな」
「書の一つにあったな」
「ゴーゴンだよな」
「そうだ、青銅の鱗で全身を覆った牛だがな」
「この牛は息を吐く」
英雄はこのことを指摘した。
「炎の息と相手を石にする息だ」
「石が問題だな」
久志は瞬時に看破した。
「何ていってもな」
「そうだ、石になってしまえばだ」
「俺達両方共石になったらな」
「それで全部終わりだ」
まさにとだ、英雄は久志に話した。
「何もかもがな」
「そうだよな、やっぱり」
「だからだ、いいな」
「ああ、すぐに倒すか」
久志は剣を抜きつつ英雄に応えた、ゴーゴンは燃え盛る目で二人を睨んでいる。敵意があるのは明らかだった。
「石にされないうちにな」
「メデューサの倒し方は知っているか」
「ギリシア神話の蛇の髪の毛を持つ魔物だよな」
「かつては女神だったともいう」
「あいつの顔を見たら恐ろしさで石になる」
「石にされたくないならか」
「ペルセウスは盾てメデューサの姿を見つつ倒したが」
アテナより授けられたヘルパー、鎌で首を刎ねたのだ。
「他にも倒し方がある」
「メデューサの顔を見る前に倒す」
「それだな」
「若しくはメデューサに見付かる前にだ」
「倒す、か」
「そうしたやり方もある」
こう久志に話した。
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